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放送現場の疑問・視聴者の疑問

「荒(あら)らげる」と「荒(あら)げる」どちらがよい

政局をめぐる最近の新聞記事の中で、ある政党の幹部が怒って「声を荒(あら)らげた」という表現がありました。放送では「荒(あら)げる」という言い方も耳にします。どちらの言い方でもよいのでしょうか。

本来の言い方は「あららげる」ですが、放送では「あらげる」も使っています。

解説

「声を荒立てる」「度をこして激しい声で言う」ことをさすことばとしては、「声をあららげる」が伝統的な言い方です。新聞社などの多くは「あららげる」のみを認め、「あらげる」は俗な言い方としています。しかし、声に出して言う場合、「あららげる」より「あらげる」のほうが言いやすいことや、「荒らげる」と書いてあるのを「あらげる」と読むという思い違いもあってか、今では「声をあらげる」と言う人のほうが多くなっています。NHKが平成3年(1991年)に行った全国調査でも、「あららげる」と言うと答えた人が19%にとどまったのに対して、「あらげる」と言うと答えた人が77%にものぼりました。このため、放送でも (1)「あららげる」[アララケ°ル]とあわせて (2)「あらげる」[アラケ°ル]を使うことも認めるようにしました。

第1101回放送用語委員会(平成3年・1991・09・12)

「あららげる」と「あらげる」

<決定>

  1. あららげる
  2. あらげる

(注)漢字表記

  • 「あららげる」・・・荒らげる
  • 「あらげる」・・・・荒げる

(ことばのハンドブックP166参照)

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)