埼玉県毛呂山町の「桂木ゆず」郷土のゆず料理 と“日本最古”ブランド化で行った戦略は?
- 2025年1月14日
埼玉県毛呂山町で収穫される「桂木(かつらき)ゆず」は、“他の産地に比べ4倍強い”と言われる香りが特徴で、「日本最古の産地の一つ」としてブランド化もされ、人気となっています。
「桂木ゆず」の風味と手ざわり、素朴な郷土の「ゆず料理」の紹介のほか、町を関東屈指の“ゆずの里”にしようと努力した地元の人たちを取材しました。
(さいたま局キャスター/福地礼奈)
「桂木ゆず」は香りが強い!
埼玉県毛呂山町の阿諏訪地区のゆず畑。
11月から収穫が始まったゆずは冬至の日に合わせてピークを終えました。
ここでとれるゆずは地元の山「桂木山」が由来となり、「桂木ゆず」といいます。
手に持っているだけでとってもいい香りが広がります!
ゆずといえば四国や九州のイメージがありますが、そうした地域よりも寒い地域で育っている「桂木ゆず」。そのため皮が厚く、香りが強いのが特徴です。
地元の大学の研究によると、「桂木ゆず」は一般的なゆずの約4倍も香りが強いという結果が出ています。
ゆず農家の大野謙一さんに聞きました。
収穫のピークを終え、ことしはいかがでしたか?
ことしは記録的な猛暑で不作でしたが、畑が山あいにあるおかげで、台風の影響は少なく、品質のいいものがたくさんとれました。
“日本最古のゆずの産地”ブランド化目指す
「日本最古のゆずの産地」の一つといわれる毛呂山町。
江戸時代後期の資料にも、桂木山のほか、ゆずを産出しているという記述がみられます。
この歴史を武器に「埼玉にもゆずがある」とPRしていったのが、観光協会の中里公哉さんです。
具体的にどんなことをされましたか?
東武東上線の電車内の中吊り広告、1編成10両に桂木ゆずの広告を入れました。
電車内を「桂木ゆず」でいっぱいにしたのです。
広告だけではありません。
多くの人にゆず湯を楽しんでもらおうと、目をつけたのは銭湯です。
板橋区の組合に「桂木ゆず」を送り、冬至の日には板橋区の銭湯24か所で、「桂木ゆず」のゆず湯が楽しめるようにしました。
さらに、観光バスでゆずの里ツアーも企画しました。
こうした取り組みを通じて、県内外の人に知ってもらうきっかけになり、ブランド化も進んでいったといいます。
とっておきの「ゆず料理」
これからも関東有数のゆずの産地であり続けたいと、良質な苗木を町ぐるみで育てている毛呂山町。
とっておきの「ゆず料理」を大野さんの妻、明代さんに作っていただきました。
ゆずを大根の漬物で巻いた「ゆず巻き」。
こちらは、みその中にゆずを入れたみそだれの「ゆずみそおでん」です。
上からゆずの皮を乗せると、より一層ゆずの香りがしておいしいといいます。
みそが甘めなんですけど、その上に乗せたゆずがさっぱりしているので、おいしいだけでなく、いくらでもいけます!
「桂木ゆず」は、地元の直売所で1月中旬ごろまで販売されます。
また「桂木ゆず」を使ったお菓子やジャムなどの加工品は、直売所などで一年を通して購入できます。