宮崎県の郷土料理として知られる「冷や汁」。今回は宮崎料理専門店「でんでんでん」の店長・廣瀬智哲さんに、冷や汁のレシピを教わりました。いくつかのコツを押さえれば、宮崎の家庭の味が完全再現できます。焼き味噌の便利な保存法もご紹介。
冷や汁は“身近なもの”で簡単に作れる!
「郷土料理」というと、手に入りにくい材料を使ったり、調理が大変だったりする印象がありますが、そんな心配はご無用。「材料にこだわらないでも、本場の味ができる」と廣瀬店長は断言します。
1 魚は青魚、白身魚を使うこと
2 味噌は自宅にあるものでよい
3 「だし」も好みのもので◎
廣瀬さん
「冷や汁」はもともと、夏の間に宮崎の一般家庭で食べられていた郷土料理。そのため家ごとに「うちの味」が存在します。お魚は青魚や白身魚なら大丈夫。味噌は「麦味噌」を使うことが多いですが、こちらも食べ慣れた味で十分。だしも好みのものがいいですね。肩肘張らず「うちの味」を作ってみましょう。
【冷や汁の作り方】プロが徹底解説!
材料(4人分)
※ 味噌や魚は上記のものでなくても、お好みのものを選びましょう。
1 アジを3~4分焼く
アジは片面だけを3~4分焼き、表面が白っぽくなったら火を止める。フライパンで焼く場合は、油を少しひいてキッチンペーパーで広げ、ふたをして弱火で焼くとよい。
廣瀬さん
この後、味噌と一緒にさらに焼くため、「生っぽく」なければOKです。
2 焼いたアジの身をほぐす
焼いたアジは骨と皮を取り除いて身をほぐす。すり鉢でさらに細かく、すり身状にする。
すり鉢がない場合はスプーンで代用できる
ほぐしたアジをポリ袋に入れて、スプーンでつぶしてもOK。
廣瀬さん
魚をしっかりほぐすことで、味噌とよく合わさり、魚臭さが感じにくくなります。
3 アジのすり身と味噌を弱火で炒る
フライパンや鍋にアジのすり身と味噌を入れる。弱火にかけて木べらで練り混ぜるようにして炒る。
廣瀬さん
油は使いません。焦げないように混ぜ続けましょう。
4 味噌がかたまってきたら火を止める
次第に味噌から水分が出てやわらかくなる。さらに炒り続けると味噌の水分が飛び、かたまって団子のようになる。火を止め、粗熱をとる。
廣瀬さん
途中で木べらが重く感じるようになりますが、焦げないように手を動かし続けましょう。
5 冷たいだし汁で焼き味噌を溶かす
すり鉢に焼き味噌を入れる。冷たいだし汁を少しずつ加えながら、味噌をつぶすようにして溶かす。
すり鉢がない場合はスプーンや泡だて器でしっかり溶かす
すり鉢がない場合は、焼き味噌を入れたボウルに少しずつ冷たいだし汁を注ぎ、スプーンで味噌をつぶしながら溶かす。泡だて器やミキサーを使ってもOK。
6 きゅうり、大葉、豆腐を加える
きゅうりは2㎜幅の薄切り、大葉は千切り、豆腐はひと口サイズに手でちぎり、冷や汁に加える。
廣瀬さん
豆腐は手でちぎることで、断面が粗くなって味が染み込みやすくなります。具材はこのほか、みょうが加えるのもおすすめです。
7 最後にすりごまを入れてひと混ぜする
ごはんにかけて完成!
冷たい冷や汁を温かいごはんにかけていただきます。薬味の香りと味噌・魚の風味が絶妙で、さらさらといくらでも食べてしまいそうです。氷を2~3個入れてキンキンにして食べるのもおすすめです。
【冷や汁の保存方法】焼き味噌を冷凍ストックすれば、食べたいときにすぐに作れる!
冷や汁の素となる焼き味噌は、冷蔵保存や冷凍保存が可能。多めに作ってストックしておけば、すぐに冷や汁が作れます。
冷蔵方法
焼き味噌を保存容器に入れ、冷蔵庫の冷蔵室で保存する。2週間程度保存可能。
冷凍方法
焼き味噌を大さじ1(1人前)ずつ丸めてラップに包み、冷凍用保存袋へ入れて冷凍庫で保存する。2ヵ月程度保存可能。
解凍方法・食べ方
焼き味噌は完全には凍らないため、常温で5分程度おいたらすぐに使える。冷凍焼き味噌玉1つ(大さじ1)に対して、冷たいだし汁200mlを少しずつ加えて味噌を溶かす。具材を加えてごはんにかける。