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著者のコラム一覧
田尻一郎元ソフトバンクホークス広報

1967年、福岡県出身。86年ドラフト外で南海ホークスに入団。88年に引退し、98年まで打撃投手。その後は、一軍と二軍のマネジャー、広報などを歴任した。2023年オフに退団。一軍出場なし。

《新垣渚の巻》資質だけならナンバーワンも「うちなー時間」が玉にキズ

公開日: 更新日:

 2000年代のホークスは、好投手揃いでした。斉藤和巳という大エースがおり、杉内俊哉和田毅の左腕二枚看板もいる。しかし、僕が「素質は彼ら以上」と思っていたのが、新垣渚(44)です。

 MAX155キロの直球に加えて、決め球のスライダーの曲がりも「えぐい」のひと言。ただ、子どもの頃に足を負傷した影響なのか、下半身が細く、繰り返す故障に苦しみました。ホークスでの晩年は、足首をテーピングでガチガチに固めないと投げられなかったほどです。

 さらに、シュートを覚えたことで暴投も増えた。渚にすれば投球の幅を広げるためでしたが、決め球のスライダーとシュートは回転方向が逆。シュートを覚えたことにより、指先の感覚に狂いが生じたのか、肝心のスライダーが抜けるようになってしまいました。

 当時の藤田学二軍コーチは、「とにかく抜けるスライダーをなくそう。引っかけるのはいい。むしろ引っかけ癖をつくろう」と親身に指導をしていましたが、それだけシュートはもろ刃の剣でもある。才能はピカイチ、もっと結果を残せたはずの選手だったと思わざるを得ません。

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