産業春秋／今日のウクライナを明日のアジアにしない
(2025/2/27 05:00)
ウクライナは停戦の条件として、北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）への加盟を譲れないだろう。米国が停戦後の「安全の保証」を担保しない可能性がある。駐日ウクライナ大使のセルギー・コルスンスキー氏は、むしろ「ＮＡＴＯがウクライナに加盟を招待するべき」と日本記者クラブの会見で訴えていた。
「強大な相手と３年間戦い、世界最強の軍隊となった」と続ける。ウクライナの加盟により欧州の安全保障が強化されるとみる。確かに、いくら訓練を積んでも実戦経験に勝るものはない。
最強の裏付けの一つがドローン。松田邦紀前駐ウクライナ大使は「ロシア侵攻前、ウクライナ国内にドローンメーカーは商業用の７社だった。今や８００社に増え世界一」という。
気がかりなのは、ウクライナ侵攻に投入された北朝鮮兵も実戦経験を積んだことだ。経験を持ち帰れば「東アジアに少なからず脅威になる」と松田氏は指摘する。
石破茂首相は先進７カ国（Ｇ７）首脳のテレビ会議で「力による現状変更は可能だという誤った教訓が引き出されないよう注意が必要」と訴えた。今日のウクライナを明日のアジアとしないためにも、ロシア優位の拙速な停戦は何としても避けたい。
(2025/2/27 05:00)
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