日本シリーズといえば、日本球界最高峰の戦いになる。しかし、セ・リーグを制した巨人と、リーグ優勝を逃しながらCSで勝ち上がってきたソフトバンクの戦いは、戦力差が歴然としていた。こう言っては失礼だが、パ・リーグ同士で戦う方が戦力差は拮抗(きっこう)し、日本一を決める戦いにふさわしいのではないかと感じてしまった。
とにかく戦力差が違いすぎる。3点をリードした6回に登板したスアレスは今シリーズ初登板。岡本に2ランを打たれたが、球速は160キロ近いスピードをマーク。こんな投手が第4戦まで投げていないし、第5戦の先発が見込まれていた武田は結局、登板なしで終わった。第3戦で高卒ルーキーを登板させたり、体調不良で第4戦まで先発できなかった菅野の起用法と比べれば、次から次へと好投手を送り込んでくるソフトバンクとの差は、比較するまでもない。
今試合だけでなく、シリーズを通じて巨人はエラーが多かった。若い選手が大一番に慣れていないせいもあるが、これはソフトバンクの圧力がもたらした結果だと思う。グラウンドで相手選手の能力の高さを感じると「ミスをすれば勝てない」と動きが硬くなるのは当然。攻撃陣を比べても、ソフトバンクは首位打者のタイトルを獲得している長谷川勇と内川が代打出場し、好打者の中村晃は守備固めで出場。走力を比べても、巨人は6回の攻撃でゲレーロ、阿部に代走を出せなかった。試合展開にもよるが、走攻守のバランスがいい選手が多いソフトバンクとの差になっている。
セ・リーグは7年連続で日本シリーズ敗退。交流戦の戦績を比べても、例年パ・リーグが圧勝している。巨人だけでなく、セ・リーグの各球団は、この悲しい現実を受け止めなければいけない。日本最高峰の戦いだと胸を張れる日本シリーズを取り戻してもらいたい。(日刊スポーツ評論家)