強すぎる-。香港の最強馬、ロマンチックウォリアー(セン7、D・シャム)が中東遠征初戦を鮮やかな勝利で飾った。鞍上はジェームズ・マクドナルド騎手で、勝ちタイム1分45秒10はコースレコード。2着ポーカーフェイスに4馬身半の差をつける大楽勝だった。昨年12月の香港カップで史上初の3連覇を果たした名馬。2月のサウジC、その先のドバイワールドカップ(あるいはドバイターフ)へ向けた始動戦もアッサリとクリアした。

レースはライバルと目されていた地元ゴドルフィンのメジャードタイムが大逃げを打つ展開。12月のG2アルラシディヤで14年にジャスタウェイが記録したコースレコードを更新(1分45秒11)した実力馬だったが、ロマンチックウォリアーとマクドナルド騎手は離れた2番手で余裕の追走。直線を向いてゴーサインを出されると、一気に差を詰め、残り400メートルで10馬身近くあった差は、あっという間になくなり、残り100メートルで先頭へ。ノーステッキのまま、最後は流しながらのゴールだった。大逃げで力尽きたメジャードタイムは残り50メートルで前に崩れ落ちるように倒れ、競走を中止。オーナーのゴドルフィンはメジャードタイムの命が助からなかったこと、落馬したビュイック騎手が無事だったことを伝えている。

ロマンチックウォリアーにとっては地元香港で行われるG1、一昨年のコックスプレート(オーストラリア)、昨年の安田記念(日本)に続き、UAEで自身4カ国目のG1制覇。これがG1・10勝目となり、23年コックスプレートからの連勝は8まで伸びた。

いよいよ次走はダート初挑戦となる2月22日のサウジC(G1、ダート1800メートル、キングアブドゥルアジーズ)か。ドバイレーシングクラブの公式ニュースは関係者のレース後の談話を伝えている。シャム師は「彼は素晴らしい馬ですし、私はジェームズ(マクドナルド)を信頼しているので、レース中もまったく心配していませんでした。世界クラスのジョッキーですから。ロマンチックウォリアーは世界最高の馬の1頭です。脚が速く、鞍上の指示にも従います」とたたえた後、サウジCについては「半信半疑です。芝なら勝てると自信を持って言えますが、ダートについてはわかりません」と謙虚に語った。また、マクドナルド騎手は「彼はとても優れた競走馬で、レース中のどんな状況、どんなペースにも対応します。強い精神力も持っています。スプリンターになることもできるくらい脚が速い。パドックでは調子がもうひとつかなと思いましたが、スタートラインに立つと、落ち着き十分でした。まさにスーパースターです」と絶賛している。前哨戦のG1を大楽勝。サウジC参戦が実現すれば、今回も日本馬にとって、脅威の存在になるのは間違いない。