【阪神・秋山拓巳】1月新設部署で球界へ情熱燃やし続ける/さよならプロ野球〈10〉
「引退」。プロ野球選手のだれもが迎える大きな決断の時は、新たな人生のスタートでもあります。オフ恒例の大河企画「さよならプロ野球」で、今季限りで現役のユニホームに別れを告げた男たちのリスタートにスポットを当てます。24年の第10弾は、阪神秋山拓巳投手(33)。
プロ野球
◆秋山拓巳(あきやま・たくみ)1991年(平3)4月26日、香川県丸亀市生まれ。西条では通算48本塁打を放つなど投打で注目され、3年春夏に甲子園出場。09年ドラフト4位で阪神入団。高卒1年目の10年に1完封を含む4勝。17年にはオールスターに選出され、自己最多の12勝。18年5月8日巨人戦では自ら本塁打を放ち、投げても完封勝利。188センチ、101キロ。右投げ左打ち。
「来年も投げたいなあ。投げられるんだけどなあ」
阪神秋山は毎日のように、大きな体を丸めて、右の膝がしらをさすっていた。18年に外側半月板を除去。右膝はクッションを失った。
痛みや違和感と付き合いながら、その後も活躍したが、長くは続かなかった。昨年8月を最後に、1軍に呼ばれることはなかった。今年が潮時と悟っていた。ただシーズン中、何度か本音を漏らした。「来年も投げたいなあ。投げられるんだけどなあ」。マウンドへの名残を抱きつつ、潔く区切りをつけた。
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