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テーマ日銀の多角的レビュー

大規模な金融緩和の下では日銀が大量の国債を買い入れ、低金利が続いてきました。日本の財政にはどのような影響があったのでしょうか。

Q3.

日銀による大規模な国債買い入れと低金利の継続は、政府の財政規律が緩む要因となった。

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集計結果・個別の意見

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青木玲子
青木玲子
一橋大学 名誉教授
専門分野:産業組織論、競争政策
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清滝信宏
清滝信宏
プリンストン大学経済学部 教授
専門分野:マクロ経済学、金融論
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インフレ率が名目利子率を上回り実質利子率がマイナスになると、国債や預金の保有者にインフレーションタックスがかかり、他の税収を増やさなくても支出が増やせるので、財政規律が緩む。しかしインフレーションタックスは預金や年金に頼る家計の生活を脅かす逆進的な課税である。

坂井豊貴
坂井豊貴
慶応義塾大学経済学部 教授
専門分野:メカニズムデザイン
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大量の国債を発行しても低金利で消化できる場合は、当然ながら、そうでない場合と比べて、財政規律は緩む。ただし、緩んだことが悪いかどうかは、また別の話である。

佐藤主光
佐藤主光
一橋大学大学院経済学研究科 教授
専門分野:財政学
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日銀・政府は「財政ファイナンス」を否定するが結果としてそうなったと思う。国債残高の累増に対して金利が低下する状況は政治家や国民に対して安易な財政出動を促した。MMTを含めて財政赤字を問題視しない風潮にも繋がったのではないか?

仲田泰祐
仲田泰祐
東京大学大学院経済学研究科・公共政策大学院 准教授
専門分野:マクロ経済学、金融政策
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福田慎一
福田慎一
東京大学大学院経済学研究科 教授
専門分野:マクロ経済学、金融
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多角的レビューでも事実上認めている

松井彰彦
松井彰彦
東京大学大学院経済学研究科 教授
専門分野:ゲーム理論、障害と経済
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国債暴落に対する政府の懸念を払しょくしたという点で、日銀による国債買い入れは意義があったと同時に、正にその点において財政規律に対するインセンティブを阻害したと言える。低金利の継続も借金のしやすさが増すという点で財政規律に負の影響をもたらしたと言える。

安藤道人
安藤道人
立教大学経済学部経済学科 教授
専門分野:公共経済学、社会保障論
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2013年度からコロナ禍前の期間に「国・地方の公債等残高対GDP比」の上昇トレンドが加速したという統計的事実はなく(財務省資料)、この間、一般会計歳出の対GDP比は低下し、一般会計税収の対GDP比は増加し、公債発行額の対GDP比は低下した(一般会計決算統計等)。また、仮に利払い費の低下によって財政余力が高まったとしても、それは直ちに「財政規律が緩む」ことを意味しない。

伊藤隆敏
伊藤隆敏
コロンビア大学国際関係公共政策大学院 教授
専門分野:国際金融
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2016年のNIRPとYCCにより、長期金利が大きく低下、その後の国債発行の金利負担を低減してきた。1990年以降の長期金利の低下傾向が、国債の増発にもかかわらず歳出における国債費の低減に寄与したのは間違いない。ただしそれは、2013年に始まったことではない。財政規律の維持は、経済財政諮問会議、政府、国会の役目であり、中央銀行に与えられた役割(マンデート)ではない。

岩本康志
岩本康志
東京大学大学院経済学研究科 教授
専門分野:公共経済学、マクロ経済学
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国債を発行して日銀が買い入れれば問題ない、と発言する政治家が多数おり、財政規律は緩んでいる。

大橋弘
大橋弘
東京大学大学院経済学研究科 教授
専門分野:産業組織論、競争政策
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財政支出の低い機会費用を招来させただけでなく、補正予算での財政規模が増えた点にも財政規律は関連していると思います

岡崎哲二
岡崎哲二
明治学院大学経済学部 教授
専門分野:日本経済史、比較経済史
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借入れ制約という財政規律の要因を長期間にわたって緩めてきたため。

恩地一樹
恩地一樹
大阪大学経済学研究科 教授
専門分野:税制、公共経済学
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財政規律が緩めであるのは低金利政策以前からであるため

北尾早霧
北尾早霧
政策研究大学院大学 教授
専門分野:マクロ経済学
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北川透
北川透
ブラウン大学経済学部 教授
専門分野:計量経済学、政策学習
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そう思う。

塩路悦朗
塩路悦朗
中央大学商学部 教授
専門分野:マクロ経済学
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日銀と財務省にはその意図はなかったと思います。ただ、一部政治家の意識下にまで影響がなかったと言い切るのもなかなか難しいのではないでしょうか。さらに問題なのは、当事者にその意図がなくても、市場に財政規律が失われたと思わせてしまえば、国債価格が下がって財政運営が困難になってしまうことです。

星岳雄
星岳雄
東京大学大学院経済学研究科 教授
専門分野:金融、日本経済
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政府の財政規律は日銀が大規模な国債買い入れをする前から緩んでいた。

諸富徹
諸富徹
京都大学大学院経済学研究科 教授
専門分野:財政学、環境経済学
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これは、因果関係を証明するのが難しい。日銀の量的緩和政策とともに規律が弛緩したように見えるとすれば、それはコロナ禍などの危機を背景に財政支出を拡大したものの、コロナ禍が収束しても膨らんだ支出をそれに合わせて柔軟に手じまいできない、予算提出権を持つ政府と審議権を持つ議会の側に問題があるのであって、それを日銀のせいにするのはお門違いのように思う。

保田彩子
保田彩子
カリフォルニア大学デービス校 教授
専門分野:ファイナンス
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中央銀行が、政府の財政悪化防止に配慮して、また自己のバランスシートに既存の低金利の国債を多量に背負い込んでしまっているので、インフレが進んでも金利を上げづらくなっているという今の状況は、中央銀行の中立という民主主義+資本主義の原則上、難しいジレンマであると思う。

柳川範之
柳川範之
東京大学大学院経済学研究科 教授
専門分野:法と経済学
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渡辺努
渡辺努
東京大学大学院経済学研究科 教授
専門分野:マクロ経済学
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財政規律が緩んだかどうかについてデータに基づく学術研究を見たことがない

赤井伸郎
赤井伸郎
大阪大学国際公共政策研究科 教授
専門分野:公共経済学、財政学
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日銀による大規模な国債買い入れと低金利の継続は、財政面で規律を緩ませる要因となり、真に効果的な政策を見極めるインセンティブを下げる。結果として、費用対効果が低い政策が行われてしまう。

阿部彩
阿部彩
東京都立大学人文社会学部 教授
専門分野:貧困・格差論、社会保障
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財政規律はまったく機能していないと思います。その背景にあるのが、国債に頼ることが「当たり前」となっているマインドであり、日本の財政がそのような状況であることをきちんと説明しない政治とマスコミ、また、関心を持たない国民の惰性の結果だと思います。

伊神満
伊神満
トロント大学経済学部 准教授
専門分野:産業組織論、技術革新
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政府の財政規律が過去十五年間でどのように変化したのか、私はよく知らない。金融政策との実際の因果関係についても、知らない/分からない。ただし、「大規模な国債買い入れと低金利の継続」が「緩い財政規律」を可能にする、ということだけは言えるだろう。

井深陽子
井深陽子
慶応義塾大学経済学部 教授
専門分野:医療経済学
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上武康亮
上武康亮
エール大学経営大学院マーケティング学科 教授
専門分野:計量マーケティング
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政府と日銀の独立性が崩れることによる意思決定の歪みが生じることは想定できるが、どの程度財政規律に影響を与えたかは、実証的に検討が必要と思われる。

笠原博幸
笠原博幸
ブリティッシュコロンビア大学経済学部 教授
専門分野:計量経済学、国際貿易
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大規模な国債買い入れと低金利政策の継続は、政府の利払いコストを大きく抑制し、国債発行に対する市場の懸念を和らげ、結果的に政府の財政規律を維持しづらくする要因となっていると考えられる。財政政策を適切に実施すれば経済成長を促すことも可能だが、現在実施されている給付金などの短期的な需要喚起策では、持続的な成長には結びつきにくいだろう。

齊藤誠
齊藤誠
名古屋大学大学院経済学研究科 教授
専門分野:マクロ経済学、金融論
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財政規律の弛緩と強力な金融緩和政策のあいだの因果関係が判断できない。財政規律の弛緩は、好景気なのにも増税をしなかった意味で80年代後半に起源を持ち、90年代になって基礎的財政収支は恒常的に赤字になった。一方、超金融緩和は、95年秋のコールレートの超低金利誘導から始まっている。財政規律の弛緩と超金融緩和は、同時進行といえないであろうか。

砂川武貴
砂川武貴
一橋大学大学院経済学研究科 准教授
専門分野:金融政策、マクロ経済学
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2013年の異次元緩和の開始からコロナ禍を経て政府債務残高/GDP比はさらに増加した。しかし、この水準が持続可能なものかどうかは依然として議論の余地がある。インフレ率や名目金利の高騰が起こっていないことから、いまのところ、財政規律の弛緩は表面的に問題となっていないように思われる。

中室牧子
中室牧子
慶応義塾大学総合政策学部 教授
専門分野:教育経済学
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藤原一平
藤原一平
慶応義塾大学経済学部 教授
専門分野:マクロ経済学、国際金融論
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景気の回復局面においても、財政環境が改善する(政府債務残高が縮小する)見通しが立っていない。

森田穂高
森田穂高
一橋大学経済研究所 教授
専門分野:産業組織論、組織経済学
どちらともいえない
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低金利の継続が政府の財政規律の緩みに繋がる要因となり得るとは思うが、その因果関係を示す十分な根拠が見当たらない。

安田洋祐
安田洋祐
大阪大学経済学研究科 教授
専門分野:ゲーム理論、マーケットデザイン
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日銀による異次元緩和が始まる前から財政規律は緩んでおり(2012年度の政府債務残高は対GDP比で約200%)、金融政策によって追加で規律が緩んだかどうかは明らかではない。むしろ、規律が緩んでいたからこそ、大胆な金融政策を行う土壌が整っていた、とも言えるのではないか。

渡辺安虎
渡辺安虎
東京大学大学院経済学研究科・公共政策大学院 教授
専門分野:実証ミクロ経済学、計量マーケティング
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大竹文雄
大竹文雄
大阪大学感染症総合教育研究拠点 特任教授
専門分野:行動経済学、労働経済学
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高野久紀
高野久紀
京都大学大学院経済学研究科 准教授
専門分野:開発経済学、計量経済学
どちらともいえない
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専門外なのであまり自信はありません。

林正義
林正義
東京大学大学院経済学研究科 教授
専門分野:財政・公共経済学、租税論
どちらともいえない
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この「財政規律」が,資金調達の容易さが歳出を増やすことを指すのであれば,一般的にそう考えるのは自然であろう.しかし,それを示す信頼できる実証研究は存在しないのではないか.また,「日銀による大規模な国債買い入れ」が無くても,それへと向かわせた根本のしくみや構造が手つかずのままであれば,違った方法を用いて同様の歳出を続けたのではないかという感想はもっている.

森口千晶
森口千晶
一橋大学経済研究所 教授
専門分野:比較経済史、制度の経済学
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日銀が国債買入れにコミットしたことによって政府の資金調達が容易になり、それが政府のコロナ禍等に対する財政政策に影響を与えた可能性は大きい

郡山幸雄
郡山幸雄
エコール・ポリテクニーク経済学部 教授
専門分野:ゲーム理論、投票理論
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金融政策は専門外で責任を持った発言ができかねますので、控えさせて頂きます。申し訳ありません。

小島武仁
小島武仁
東京大学大学院経済学研究科 教授
専門分野:マーケットデザイン、マッチング理論
どちらともいえない
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近藤絢子
近藤絢子
東京大学社会科学研究所 教授
専門分野:労働経済学
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専門家として何か根拠のある回答ではなく素人の印象にすぎませんが国債発行に対する抵抗感が薄れる効果があったような気はします。

重岡仁
重岡仁
東京大学公共政策大学院 教授
専門分野:応用ミクロ経済学
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自信度(5段階)
高久玲音
高久玲音
一橋大学大学院経済学研究科 教授
専門分野:医療経済学
そう思う
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野口晴子
野口晴子
早稲田大学政治経済学術院 教授
専門分野:医療経済学、社会保障論
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長谷川誠
長谷川誠
京都大学大学院経済学研究科 准教授
専門分野:公共経済学、財政学
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