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リテンションマーケティングの重要性や手法・成功事例を紹介

目次

現在日本国内では人口減少に伴い、新規顧客獲得の難易度は年々上昇しています。これに伴いリテンションマーケティングをはじめ、既存顧客にフォーカスしたマーケティング手法に対するニーズが高まっています。しかし、既存顧客と継続的な関係を築くのは簡単ではありません。リテンションマーケティングの重要性や活用方法を理解したうえで戦略に取り入れる必要があります。当記事では、既存顧客と長期的な関係を築くために有効なリテンションマーケティングのメリットや具体的な方法、リテンションマーケティングを用いて成功した事例について紹介します。

リテンションマーケティングとは顧客との継続的な関係を築くこと

リテンションとは、英語で「Retention」と表記し、維持・保持を意味する言葉です。つまり、リテンションマーケティングとは、顧客との継続的な関係を築くためのマーケティング手法を指します。マーケティングには大きく2種類の手法があります。1つは「新規顧客獲得」、もう一つは「既存顧客との関係構築」です。

リテンションマーケティングは、「既存顧客との関係構築」を目的としたマーケティング手法に該当します。顧客へのリピート促進施策や、顧客満足度を高める施策などを活用することで優良顧客を育成し、会社の安定的な発展を実現できるマーケティング手法です。

リテンションマーケティングがビジネスにおいて重要な理由

リテンションマーケティングがビジネスにおいて重要な理由は4つあります。
具体的には以下の通りです。

  • 既存顧客の維持はコストパフォーマンスがよい
  • 既存顧客のロイヤルティが上がりLTV向上につながる
  • SNSによる情報の取得・発信が一般化している
  • 離反・休眠顧客の掘り起こしにつながる

既存顧客の維持はコストパフォーマンスがよい

マーケティングにおける1:5の法則をご存じでしょうか。
1:5の法則とは、新規顧客の獲得は、既存顧客の維持と比較し5倍のコストが必要であるという法則のことです。これは既存顧客の維持が新規顧客の獲得と比較し、費用対効果に長けていることを意味します。それでは、なぜ既存顧客の維持は新規顧客の獲得と比較し費用対効果で優れているのでしょうか。

主な理由としては、顧客がすでに商品やサービスについて認知しているため、認知を促す施策にかかる費用が不要であることが挙げられます。また、顧客情報を収集済みである場合、ユーザー属性に合わせ最適化した手法でリーチ可能であることも理由の1つです。

既存顧客のロイヤルティが上がりLTV向上につながる

LTVとは、企業に対し顧客が生涯にわたりどのくらいの利益をもたらすかを意味します。リテンションマーケティングを行い顧客のロイヤルティを高めることは、商品やサービスのリピートを促すことから、LTV向上に貢献します。このことはパレートの法則によって明らかにされています。

パレートの法則とは、全体の売り上げや利益の8割は、2割の優良顧客によって産出されているという法則です。また、ロイヤルティの高い既存顧客の育成は新規顧客の獲得にもつながります。なぜならEmotion Techの独自調査データにおいて、ロイヤルティが高い顧客の85%が商品を他者に勧めた経験があると回答しているからです。

SNSによる情報の取得・発信が一般化している

近年、SNSでの情報収集や情報発信が一般的になり、購買活動に対しても大きな影響を与えるようになりました。買い物をする際、SNSでの口コミを頼りに商品を購入した経験のある方も多いのではないでしょうか。ロイヤルティの高い既存顧客は、SNSを通じて企業の商品やサービスに関する良い情報を発信します。

商品やサービスに関する良い口コミを発信するユーザーが増えれば増えるほど、口コミを閲覧して興味を持つユーザーが増え新規顧客の獲得につながります。

離反・休眠顧客の掘り起こしにつながる

離反・休眠顧客とは、商品の購入やサービスの利用経験はあるものの、一定期間購入や利用がストップしている顧客のことを指します。離反・休眠顧客は商品に対し興味があり利用したものの、何かボトルネックがあり利用をやめてしまっていることから、それらを解決することで再度利用を促すことが可能です。

例えば、業務効率化に関するシステム導入において、使い方がわからず離反顧客になっている場合、使い方に関するサポートを徹底することで利用意欲を高めることが可能です。

BtoBにおいてもリテンションマーケティングは重要

BtoBにおいてもリテンションマーケティングは非常に重要です。なぜなら、BtoCと比較し、取引先の分母が少なく取引額が高額だからです。また、CACの高額化やサードパーティーcookieの規制も要因の1つです。

CACとは、「Costomer Acquisition Cost」の略称であり、新規顧客を獲得するために必要な単価を意味します。インターネット広告市場の拡大により競争が激化し、広告の入札単価は上昇、それに伴い、CACの価格も上がっています。また、サードパーティーcookie の規制により、ターゲティングの難易度が上昇しました。このような現状を踏まえ、BtoBでは特に既存顧客との関係を強めるリテンションマーケティングが重要です。

リテンションマーケティングの手法・施策を紹介

それでは、実際にリテンションマーケティングを実施する場合、どのような手法・施策があるのでしょうか。

  • メールマーケティング
  • SNSマーケティング
  • オフラインマーケティング
  • プッシュ通知
  • レコメンド
  • カスタマーサポート
  • カスタマーサクセス
  • データ分析ツールの導入

以上が主な手法・施策です。

メールマーケティング

メールマーケティングとはメール配信を活用し既存顧客に対しリテンションを図る施策です。一言でメールマーケティングといっても、様々な手法があります。
具体的には以下の通りです。

  • メールマガジン
  • シナリオメール
  • ターゲティングメール
  • リターゲティングメール
  • 休眠発掘メール

定期的に発信するメールマガジンや資料請求した日などを起点に予め用意した内容のメールを順番に送付するステップメールなど種類は様々です。有益な情報で顧客をナーチャリングしたり、割引情報で休眠発掘するなど目的に合わせて様々な手法をとることが可能です。

SNSマーケティング

X (旧Twitter)やInstagramなど様々なSNSを用いてリテンションマーケティングを実施します。SNSマーケティングでは、主に商品やサービスに関する情報やそれにまつわる有益な情報の発信、企業のことを身近に感じられるような社内情報の発信などを行います。

加えて、カスタマーサポートなど顧客にとっての便利ツールとして使用することも可能です。SNSはメールマーケティングと異なり不特定多数に対しリーチできます。拡散力が高いSNSは顧客のロイヤリティの向上や新規顧客獲得につながる有用な手法です。

オフラインマーケティング

オフラインマーケティングとは、ワークショップやイベント、製品発表会、セミナーなどのことを指します。実際に商品やサービスを体験できるほか、ユーザー同士が交流する場としても利用可能です。文字や画像、動画などを使用してリテンションを試みる他の手法と比較し、理解が深まりやすいといった特徴があります。オンラインに比べリーチできる人数は少ないものの、商品やサービスに関する知識が深まりやすく、ロイヤリティ向上につながりやすい手法です。

プッシュ通知

プッシュ通知とは、スマホ画面にメッセージを表示することでアプリの休眠顧客に対しリーチできる機能です。表示するメッセージはお得情報やイベント情報などが考えられます。スマホアプリは手間なくダウンロードできる反面、継続して利用される割合は非常に少ないのが特徴。Localytics社の調査によると、アプリインストール後90日間で71%の顧客が離脱することがわかりました。以上のことからプッシュ通知を使用し、定期的な起動を促すことは有効な手法です。

レコメンド

サイトやアプリで、「あなたへのオススメ」の表記を見た経験のある方も多いのではないでしょうか。これがレコメンドです。レコメンドとは、購買履歴や閲覧履歴などの情報に基づき顧客のニーズを把握し、おすすめの商品やサービスをサイトやアプリ内で紹介する手法です。

既存の商品からハイグレードの商品に乗り換えてもらうことで、顧客単価を向上させることを意味する「アップセル」や同時に様々な商品を購入してもらうことを意味する「クロスセル」に役立ちます。

カスタマーサポート

顧客からの問い合わせ全般はカスタマーサポートに該当します。カスタマーサポートに問い合わせをする場合、何かしらの問題を抱えていることがほとんどです。迅速かつ丁寧な対応で解決することで、顧客に対し安心感や満足感を与えロイヤリティを高めることができます。

カスタマーサポートは、メールや電話だけでなく、チャットサービスやLINEなど複数用意し利便性を高めるとさらに効果的です。また、顧客の声を意味するVOC(Voice Of Customer)を集めることもできるため、商品・サービスの改善に役立つといったメリットもあります。

カスタマーサクセス

カスタマーサポートは問い合わせを待つ受動的な手法ですが、カスタマーサクセスは、能動的に働きかけ顧客の目的達成や事業成長をサポートする手法のことです。優れたカスタマーサクセスには顧客の成功体験を伴うため、信頼を得やすく長期的な関係を築くことができます。カスタマーサクセスによる継続的・能動的な働きかけを徹底することで、リテンション率の向上やファン化の促進が期待できるでしょう。

データ分析ツールの導入

データ分析ツールはデータの収集・整理・加工・統合・分析などを行えるツールのことです。リテンションマーケティングを実施した結果どのような結果になったのか把握する際に使用します。
データ分析ツールを用いて分析を実施するメリットは以下の5点です。

  • データを効率よく収集できる
  • 分析工程の簡略化ができる
  • 分析精度が向上する
  • 課題を把握しやすい
  • 精度の高い仮説を立案できる

データ分析ツールを使用することで、簡単に素早く精度の高い分析結果を把握することが可能であり、結果から問題点の把握や解決に向けた仮説立案などを行うことが可能です。

リテンションマーケティングを成功に導く4ステップ

それでは、実際にリテンションマーケティングで成功するためには、どのような手順で実施すれば良いのでしょうか。リテンションマーケティングは以下のステップを踏んで実施することで成功確率を高めることができます。

ステップ1|顧客のセグメント・分析を行う

リテンションマーケティングを開始する上でまず重要なことは顧客について知ることです。顧客に関するデータの収集、セグメント化を行うことにより、顧客ごとのニーズを汲み取りましょう。セグメント化における施策の1つにRFM分析があります。Recency(最新購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(累計購入金額)の頭文字を取ったものであり、それぞれのベクトルを用いて三次元的に分析を行います。これにより、「優良顧客」や「休眠顧客」などにセグメント化することで、適切な施策の立案・実行が可能です。

また、収集したデータを分析する際は、データ分析ツールを使用することも手段の1つです。顧客が多い場合、手動での管理は難易度が高いうえミスも起こりやすくなるため、分析ソフトを導入し効率化することを推奨します。

ステップ2|分析に基づいた施策を立案する

効果的なリテンションマーケティングには、分析によりセグメント化した顧客一人ひとりに適切な施策を実行する「One to Oneマーケティング」が必要になります。
例えば以下のような施策です。

  • 優良顧客だけに感謝の意を込めたクーポンを配布する
  • 休眠顧客には、過去に配信したDMで開封率が高い内容を再構成して送付する
  • シナリオメールの反応状況を分析してチューニングする

上記のような顧客に最適化した施策を行うことで、ロイヤルティやLTVの向上につながります。とはいえ、One to Oneマーケティングを行うには的確な分析力と社内リソースが必要です。現在の環境での対応が難しい場合は、CRM/MAツールなどの自動化ツール導入を検討してみてください。

ステップ3|適切なKPIを設定する

施策を実行する前に適切なKPIを設定しましょう。KPIとは「Key Performance Indicator」の略称であり、重要業績指標を意味します。つまり、KPIを設定するとは、目標達成へのプロセスや進捗を数値化することです。リテンションマーケティングにおいてしばしばKPIとして用いられる指標に、「リテンションレート(既存顧客維持率)」と「ユニットエコノミクス」があります。

「リテンションレート」とは、契約完了した顧客数に対し、引き続き契約継続中の顧客数の割合です。「ユニットエコノミクス」とは顧客や製品、店舗ごとなどユニット単位でLTV/CACを算出し、事業の経済性を測定する指標です。ユニット単位を1顧客に設定した場合、1顧客当たりの経済性を数値化できます。

ステップ4|施策の実行・効果測定を行う

ステップ3で設定したKPIを目標として実際に施策を実行しましょう。またこの際、最初に立案した施策に依存しすぎないことが重要です。効果測定を実施し、改善をしながら繰り返し行います。

KPIの確認・修正、データ収集、分析などの工程を踏んで常にPDCAサイクルを回すことが非常に重要です。この際、データ分析ツールを使用すると効率よく施策の最適化を実現できます。PDCAサイクルは迅速に回すことが重要です。現状仕組み化が難しい場合はデータ分析ツールの導入を検討してみてください。

リテンションマーケティングの成功事例

以下の企業はリテンションマーケティングにより顧客との長期的な関係構築を実現しました。

  • ZOZO TOWN
  • 星野リゾート

それでは、これらの企業はどのようにしてリテンションマーケティングで成功したのでしょうか。

ZOZO TOWN

ZOZO TOWNは様々なリテンションマーケティング施策を打ち出しています。例えば、会員限定クーポンの配布や、アプリからのプッシュ通知はリテンションマーケティングに該当します。中でも「ツケ払い」は長期的な関係構築を実現する上で有効です。

「ツケ払い」とは、商品の注文後2ヶ月間支払いを延長できるサービスです。これにより、カートに入れたまま購入を忘れてしまい休眠顧客になっていたユーザーの購入確定率を高めることに成功しました。金銭的に余裕がない場合でも商品を購入可能であることから顧客との関係が切れず、長期的な関係構築を実現しています。

星野リゾート

星野リゾートはリテンションマーケティングにより「リピート率20%以上」を達成しています。それでは、具体的にどのような施策で高いリピート率を達成しているのでしょうか。星野リゾートはアンケートにより顧客の意見を取り入れ、サービス改善を行うことで高いリピート率を実現しています。

アンケートは随時データ化し、顧客ごとのニーズや好みなどを整理しています。次回訪問した際には、あらかじめ顧客情報を把握した上で接客を行うことで一人ひとりに最適なおもてなしを提供するOne to Oneマーケティングを実現している企業です。

「Mixpanel」はリテンションマーケティングのデータ分析に最適

リテンションマーケティングを行う際は、効率よくPDCAサイクルを回すことが非常に重要となるため優れたデータ分析ツールの導入が必要です。。「Mixpanel」は、ユーザーの行動分析によりCVや顧客エンゲージメント、リテンションの向上に貢献するツールです。ファネルの構築やトップユーザーフローの確認、コホートの作成などを簡単・迅速に行えます。さらに、パワーユーザー数の推移やCVにいたるまでのユーザー行動、離脱ポイントの把握など、複数の分析を容易に実現可能です。

また、複数のデータベースを統合できるため、規模の大きい企業であっても効率よく使用できます。リテンションマーケティングを行うためのデータ分析ツールの導入を検討している方は、「Mixpanel」を検討してみてはいかがでしょうか。

自社に適した手法でリテンションマーケティングに挑戦しよう!

リテンションマーケティングは、新規顧客の獲得ハードルが上昇傾向にある現代において非常に有効な施策です。

既存顧客との長期的な関係構築により、ハイコストパフォーマンスを実現できます。また、リテンションマーケティングには、メルマガやプッシュ通知などの様々な手法があります。顧客データの収集、分析により現在リーチしたい層を把握し、KPIを設定した上で最適な手法で顧客に対しアプローチしましょう。