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ソフトウェア分野の脱炭素化に向けた業界連携活動が「LCA日本フォーラム 会長賞」を受賞

トピックス

2025年1月28日

株式会社NTTデータグループ

株式会社NTTデータグループ(以下:NTTデータグループ)は、LCA日本フォーラム注1の「第21回LCA日本フォーラム表彰」注2において、「ソフトウェア分野の脱炭素化に向けた業界連携活動」が評価され、「LCA日本フォーラム 会長賞」を受賞しました。LCAとは、製品やサービスのライフサイクル全体にわたる環境影響を評価する手法で、本受賞は日本電信電話株式会社、NTTアドバンステクノロジ株式会社、NTTテクノクロス株式会社、NTTコムウェア株式会社、株式会社クニエ、株式会社日立製作所、日本電気株式会社、富士通株式会社と共同での受賞となります。

図1:授賞式の写真
(左:共同受賞企業との集合写真、右:当社社員の写真)

背景

NTTデータグループでは、ソフトウェア分野の脱炭素化に向けてITシステムのCO2排出量の評価・削減に向けた技術開発に長年取り組んできました。2021年以降はGreen Software Foundation注3の運営メンバーとして、ソフトウェア運用時のCO2排出量をスコアとして評価する手法の策定やグリーンソフトウェアを実現するためのOSS開発への貢献、それらの標準やOSSの普及展開を推進してきました。

近年ではGHG(温室効果ガス)プロトコル注4のScope1、2に加えてScope3を含むサプライチェーン全体のCO2排出量算定・削減に向けグリーンな製品が選択されるような市場の創出が求められています。そのため、そのような市場を創出するために必要な製品単位のCO2排出量の算定・開示への関心が高まっています。しかしながら、ソフトウェア製品のCO2排出量算定に関しては、開発費用に関する情報を用いた金額ベースの算定以外に標準的な算定方法が確立されておらず、開発者の削減努力が反映されにくいことが課題でした。そこで、課題解決のために、NTTデータグループは今回の受賞企業と連携し経済産業省が公募した「令和5年度GX促進に向けたカーボンフットプリントの製品別算定ルール策定支援事業」注5に2023年8月より参画し、ソフトウェア開発時のCO2排出量算定ルールの検討を業界連携で推進してきました。

概要

受賞した「ソフトウェア分野の脱炭素化に向けた業界連携活動」では、脱炭素化にむけた取り組みとして、ソフトウェア開発時のCO2排出量算定ルールの策定を通して、ソフトウェア業界のサプライチェーン全体でのCO2排出削減に向けたルール整備と継続的な業界連携活動の基盤を受賞企業で連携し、整備しました。

<成果>

  • ソフトウェア開発時の消費電力計測実験によるCO2排出量算定にあたっての算定範囲・データ収集方法などの知見を蓄積。
  • 経済産業省「カーボンフットプリント ガイドライン」注6に整合した算定ルールの一つとして、開発者のCO2排出量削減努力の反映が可能な算定ルール注7を策定。
  • 特定非営利活動法人 日本環境倶楽部注8内にソフトウェア分野の脱炭素研究会注9を発足させ、算定ルールの業界標準化とブラッシュアップに向けた活動を開始。

<NTTデータグループの役割>

NTTデータグループはITシステムのCO2排出量算定および削減技術の研究開発、C-Turtle®などの排出量可視化プラットフォームの製品開発と事業展開、およびGreen Software FoundationやJEITA Green x Digitalコンソーシアム注10等の団体活動を通して培ったCO2排出量の評価・算定に関する知見を提供し、本算定ルールの具体化、国際標準との適合性、実用性の分析を推進しました。

図2:ソフトウェア分野の脱炭素化に向けた業界連携活動の概要

受賞企業
NTTデータグループ、日本電信電話株式会社、NTTアドバンステクノロジ株式会社、NTTテクノクロス株式会社、NTTコムウェア株式会社、株式会社クニエ、株式会社日立製作所、日本電気株式会社、富士通株式会社

LCA日本フォーラムからの選評

  • 経済産業省の支援事業を活用し、過去事例のあまりない「ソフトウェア分野」の算定ルールの策定に取り組んだことは大変先進的で高く評価できる。業界標準化やブラッシュアップに継続的に取り組まれていることも素晴らしい。
  • 無形物のソフトウェア開発を対象としてカーボンフットプリントの算定ルール作りや連携を進めており、良い取り組みだと考える。
  • ソフトウェア開発段階のGHG算定ルールの策定は従来の製品LCAと異なり、一次データの考え方、収集方法も独自な形になると想定されるこの分野でGHG算定ルールを取りまとめたことを高く評価する。

今後について

今後はソフトウェア開発時のCO2排出量算定ルールを活用した実証実験やソフトウェア業界企業とのさらなる議論を通じて、ルールの実用性向上とグローバルでのコンセンサスの形成を推進します。将来的には世の中のソフトウェア製品のグリーンな調達を実現し、サプライチェーン全体のCO2排出量削減を目指します。

注釈

  • 注1 LCA日本フォーラムとは、日本のライフサイクルアセスメント(LCA)に係わる産業界、学界、国公立研究機関の関係者が集うプラットフォームです。
    https://lca-forum.org/
  • 注2 第21回LCA日本フォーラム表彰 表彰式及び記念講演
    https://lca-forum.org/commendation/
  • 注3 Green Software Foundationとは温室効果ガスの排出を最小限に抑えるグリーンソフトウェアを推進するための非営利団体です。
    https://greensoftware.foundation/
  • 注4 GHG(温室効果ガス)プロトコルとは、温室効果ガスの排出量を算定・報告する際の国際的な基準です。Scope1(直接排出量)」「Scope2(間接排出量)」「Scope3(そのほかの排出量)」の3つの区分に分けられ、これら3つの合計を「サプライチェーン全体の排出量」と考える方法をとります。
    https://ghgprotocol.org/about-us
  • 注5 令和5年度 GX 促進に向けたカーボンフットプリントの製品別算定ルール策定支援事業
    https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyou_keizai/shien_productquantificationrules.html
  • 注6 経済産業省、環境省 カーボンフットプリント ガイドライン
    https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/carbon_footprint/pdf/20230526_3.pdf
  • 注7 ソフトウェアに関するカーボンフットプリントの製品別算定ルール
    https://lca-forum.org/member/pdf/CFPCalculationRule_v1.1.pdf
  • 注8 特定非営利活動法人 日本環境倶楽部とは地球環境問題を中心とした経済・社会課題を解決するための交流、研究、政策支援事業を行い、持続可能な企業経営と、地域の豊かな自然環境の維持・回復による共生環境づくり、そして市民の日常におけるライフスタイル原則づくりに寄与することを目指す団体です。
    https://www.kankyouclub.or.jp/
  • 注9 ソフトウェア分野の脱炭素研究会とはソフトウェアのライフサイクルに於ける二酸化炭素排出削減に資する業界内の連携活動の場を提供し、脱炭素社会実現に寄与することを目的とした研究会です。
    https://www.kankyouclub.or.jp/activity/softwarekenkyu.html
  • 注10 JEITA Green x Digitalコンソーシアムとはデジタル技術の活用による社会全体でのカーボンニュートラルの実現を目指すコンソーシアムです。
    https://www.gxdc.jp/
  • C-Turtleは日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

取り組み全般に関するお問い合わせ

株式会社NTTデータグループ
サステナビリティ経営推進部
グリーンイノベーション推進室
山根、築島、立開、江田
E-mail:climate_proper@kits.nttdata.co.jp

技術的な内容に関するお問い合わせ

株式会社NTTデータグループ
技術革新統括本部
Innovation技術部
IOWN推進室
小林、末永、井村、亀田
E-mail:green-innovation@kits.nttdata.co.jp