手紙の頭語/結語の慣用句
1. 最も改まった手紙
謹啓/謹呈/恭啓/粛啓 - 敬白/謹言/謹白/頓音
2. 通常の手紙
拝啓/拝呈/啓上/拝進 - 敬具/敬白/拝具
3. 緊急の手紙
急啓/急呈/急白 - 草々/不備/不一/不尽
4. 返信の手紙
拝復/復啓/謹復/ご状拝読 - 敬具/敬答/拝答/謹答
5. 再信の手紙
再啓再呈/追啓 - 敬具/敬白/拝具
6. 前文省略した手紙
前略/冠省/略啓 - 草々/不備/不一/不尽
7. 初めての相手に手紙をだす時
初めてお手紙を差し上げます/突然お手紙を差し上げますご無礼をお許しください
- 敬具/敬白/拝具
頭語/結語で注意すべきこと
1.頭語/結語は一対で正しく対応させてください。
2.頭語は次を一文字空けて文章を書き出しす。ただし、主文が短い場合などは改行して書き出してもよい。結語は文書の最後尾、行の最下部に書きます。
3.冠省/急啓/略啓-頭語の場合は、前文/時候の挨拶を省かないといけません。
4.個人的な普段のやり取りの手紙(儀礼的な手紙以外)には、堅苦しい頭語/結語を書く必要はありません。
5.死亡通知/お悔やみ/喪中欠礼/年賀状/寒中見舞いには、頭語/結語/時候の挨拶をいれませんし、状況によっては、詫び状/督促状/抗議の手紙にも敢えて入れなくてもよいでしょう。
月別 時候の挨拶に適した季語一覧
1月 時候の挨拶に適した季語
- 1月 時候の挨拶に適した季語
- 1月上旬の季語 迎春の候 / 新春の候 / 初春の候
- 1月中旬の季語 小寒の候 / 寒冷の候 / 寒風の候
- 1月下旬の季語 大寒の候 / 厳寒の候 / 酷寒の候
- 1月の二十四節気 1/5頃 小寒 1/20頃 大寒
【言葉の意味、季節的情感】
「頌春の候」は、"しょうしゅん"の候と読みます。新春を褒め称えるという意味です。目上の方には使わないのがよいでしょう。
「迎春の候」は、”新しい年を迎えました”という意味です。
「新春の候」は、新しい年(春)のことをあらわしています。
「初春の候」は、新しい年(春)の始まりのことをあらわしています。
「七草の候」は、七草粥を食べる時期になったとの意味です。
「小寒の候」は、小寒(1月5日頃〜1月19日頃)は二十四節気の一つで、寒くなり始める時期をあらわしています。
「寒冷の候」は、ひえびえとして寒いことをあらわしています。
「寒風の候」は、冬の寒い風が吹く季節という意味です。1月中旬から下旬にかけて使います。
「大寒の候」は、大寒(1月20日頃〜2月3日頃)は二十四節気の一つで、一年で一番寒い時期とされています。
「厳寒の候」は、冬の厳しい寒さをあらわしています。春の始まり立春(2月3日頃)まで使えます。
「酷寒の候」は、文字通りの厳しい寒さを以外にも冬の終わりの意味もあり、立春まで時期の寒さをあらわしています。他にも「極寒の候」「厳寒の候」も同様の意味です。
2月 時候の挨拶に適した季語
2月 時候の挨拶に適した季語
- 2月上旬の季語 厳寒の候 / 晩冬の候 / 立春の候
- 2月中旬の季語 余寒の候 / 春寒の候 / 残雪の候
- 2月下旬の季語 梅花の候 / 向春の候 / 早春の候
- 2月の二十四節気 2/4頃 立春 2/19頃 雨水
【言葉の意味、季節的情感】
「厳寒の候」は、冬の厳しい寒さをあらわしています。春の始まり立春(2月3日頃)まで使えます。
「晩冬の候」は、冬の終わり頃を表しています。春の始まり立春(2月3日頃)まで使えます。
「立春の候」は、立春(2月4日頃〜2月18日頃)は二十四節気の一つで、春の始まりのころをあらわしています。
「余寒の候」は、立春を迎えてもまだ残る寒さをあらわしています。立春(2月3日頃)から2月中旬ころまで使えます。「残寒の候」「春寒の候」も同様の意味合いです。
「春寒の候」は、まだ寒いですが春が訪れましたという意味です。2月上旬から下旬にかけて使われます。
「残雪の候」は、残雪とは冬に降った雪がいまだに残っていることのことをあらわしています。
「梅花の候」は、梅の花が咲く時期になりましたという意味です。地域差があるので注意が必要ですが、概ね2月中旬頃から使います。
「向春の候」は、日ごとに春に向かっているという意味です。2月上旬から下旬にかけて使われます。
「早春の候」は、春らしさを感じられる季節をあらわしています。立春から3月中旬まで使えます。
「孟春の候」は、孟春(もうしゅん)の「孟」は始めの意味、春の始めころをあらわしています。
3月 時候の挨拶に適した季語
- 3月 時候の挨拶に適した季語
- 3月上旬の季語 弥生の候 / 仲春の候 / 浅春の候
- 3月中旬の季語 春暖の候 / 萌芽の候 / 春陽の候
- 3月下旬の季語 麗日の候 / 春風の候 / 桜花の候
- 3月の二十四節気 3/5頃 啓蟄 3/21頃 春分
【言葉の意味、季節的情感】
「弥生の候」は、弥生は3月の和風月名で3月となりましたの意味です。
「仲春の候」は、春の半ばをあらわしています。3月上旬から4月上旬頃まで使えます。
「軽暖の候」は、冬の寒さから少しずつ春らしい暖かさを感じるようになってきたころをあらわします。
「浅春の候」は、寒さがまだ残る春の始めころをあらわしています。
「啓蟄の候」は、啓蟄(けいちつ-3月5日頃〜3月20日頃)は二十四節気の一つで、春の到来を感じて虫がが土から出てくることをあらわし、春らしく暖かくなってきたころです。
「春暖の候」は、春の暖かな陽気のことをあらわしています。他にも「春陽の候」(春の暖かな日差し)「陽春の候」(陽気に満ちた暖かい春)は同様の意味合いです。
「萌芽の候」は、草木の芽が出るころをあらわしています。
「麗日の候」は、春らしい景色になりましたの意味です。3月中旬から下旬頃まで使えます。
「春色の候」は、春らしい景色になったことをあらわしています。3月中旬から下旬に使います。
「春風の候」は、春風が心地いいという意味です。
「春分の候」は、春分(3月21日頃〜4月3日頃)は二十四節気の一つで、春分の日を迎えるころになりましたの意味です。
「春和の候」は、穏やか和らいだ春の様子のことをあらわしています。3月下旬から4月上旬に使います。
「桜花の候」は、桜の季節を迎えましたの意味です。3月下旬から4月上旬、地域によっては下旬まで使えます。
4月 時候の挨拶に適した季語
- 4月 時候の挨拶に適した季語
- 4月上旬の季語 桜花の候 / 桜花爛漫の候 / 春和の候
- 4月中旬の季語 春暖快適の候 / 春粧の候 / 春陽麗和の候
- 4月下旬の季語 麗春の候 / 若草の候 / 惜春の候
- 4月の二十四節気他 4/5頃 清明 4/20頃 穀雨
【言葉の意味、季節的情感】
「桜花の候」は、桜の季節を迎えましたの意味です。3月下旬から4月上旬、地域によっては下旬まで使えます。
「桜花爛漫の候」は、桜の花が満開になっているころをあらわしています。
「清明の候」は、清明(せいめい-4月4日頃〜4月19日頃)は二十四節気の一つで、すべてのものが清らかで生き生きしているころという意味です。
「春眠の候」は、春眠暁を覚えずのころで、ぽかぽかとした春の暖かさををあらわしています。3月下旬から4月始めころまで使えます。
「春和の候」は、穏やか和らいだ春の様子のことをあらわしています。3月下旬から4月上旬に使います。
「春暖快適の候」は、春の暖かさのおかげで快適に過ごせるころをあらわしています。
「春風駘蕩の候」は、駘蕩(たいとう/のどかの意)の春風がのどかに吹いている様子をあらわしています。
「春日華麗の候」は、暖かな春の日のことをあらわしています。
「春粧の候」は、春粧(しゅんしょう)は春らしい景色のことをあらわしています。
「春陽麗和の候」は、春の麗らか(うららか)な日和をあらわしています。
「春爛漫の候」は、春になり花が咲き誇るようになったころをあらわしています。
「麗春の候」は、「麗春」(春から初夏に咲くヒナゲシ)が咲くころの意味です。4月下旬から5月上旬の立夏まで使われます。
「若草の候」は、の草花が芽吹き、新緑に包まれるころをあらわしています。4月始めから5月上旬に使います。
「惜春の候」は、「惜春」(せきしゅん)は行く春を惜しむこををあらわしています。4月中旬から5月上旬に使います。
「花冷えの候」は、桜が咲く頃の寒の戻りのことをあらわしています。3月下旬から4月上旬に使います。
「春嵐の候」は、春先に吹く強風のことをあらわしています。
「花曇りの候」は、桜の咲く頃に曇りがちの天気のことをあらわしています。
「花信の候」は、花が咲いた便りを聞くころのことをあらわしています。
5月 時候の挨拶に適した季語
- 5月 時候の挨拶に適した季語
- 5月上旬の季語 若草の候 / 葉桜の候 / 立夏の候
- 5月中旬の季語 新緑の候 / 薫風の候 / 緑風の候
- 5月下旬の季語 初夏の候 / 向暑の候 / 軽暑の候
- 5月の二十四節気 5/6 立夏 5/21 小満
【言葉の意味、季節的情感】
「麗春の候」は、「麗春」(春から初夏に咲くヒナゲシ)が咲くころの意味です。4月下旬から5月上旬の立夏まで使われます。
「若草の候」は、の草花が芽吹き、新緑に包まれるころをあらわしています。4月始めから5月上旬に使います。
「葉桜の候」は、桜の花が散って若葉だけになったこをあらわしています。
「余花の候」は、遅咲きの桜が山に残っているころをあらわしています。5月上旬立夏まで使えます。
「惜春の候」は、「惜春」(せきしゅん)は行く春を惜しむこををあらわしています。4月中旬から5月上旬に使います。
「残春の候」は、春の終わり、春の名残というをあらわしています。4月下旬から5月上旬の立夏まで使われます。
「暮春の候」は、春の終わり、のことをあらわしています。4月下旬から5月上旬の立夏まで使われます。「老春の候」「晩春の候」も同様です。
「万緑の候」は、青々とした緑の季節をあらわしています。春の終わりから初夏にかけて使います。
「新緑の候」は、春が終わり、夏の到来をあらわしています。5月上旬から使います。
「立夏の候」は、立夏(5月5日頃〜5月20日頃)は二十四節気の一つで、夏の始まりのころをあらわしています。
「薫風の候」は、薫風(くんぷう)若葉の香りのする風がふくころをあらわしています。
「初夏の候」は、立夏以降夏の始まりのころをあらわしています。立夏〜芒種(5月6日頃から6月6日頃)まで使います。
「緑風の候」は、初夏に青々とした草木を通って吹く爽やかな風をのことをあらわしています。
「向暑の候」は、春の暖かさから次第に夏の暑さを感じられるころをあらわしています。「軽暑の候」「軽夏の候」も同様です。
6月 時候の挨拶に適した季語
- 6月上旬の季語 入梅の候 / 薄暑の候 / 麦秋の候
- 6月中旬の季語 梅雨の候 / 長雨の候 / 短夜の候
- 6月下旬の季語 薄暑の候 / 初夏の候 / 向暑の候
- 6月の二十四節気他 6/5 芒種 6/11頃 入梅(雑節) 6/21頃 夏至
7月 時候の挨拶に適した季語
- 7月 時候の挨拶に適した季語
- 7月上旬の季語 長雨の候 / 七夕の候 / 小夏の候
- 7月中旬の季語 盛暑の候 / 猛暑の候 / 盛夏の候
- 7月下旬の季語 灼熱の候 / 酷暑の候 / 炎暑の候
- 7月の二十四節気 7/7頃 小暑 7/22頃 大暑
8月 時候の挨拶に適した季語
- 8月 時候の挨拶に適した季語
- 8月上旬の季語 厳暑の候 / 猛暑の候 / 酷暑の候
- 8月中旬の季語 避暑の候 / 残暑の候 / 立秋の候
- 8月下旬の季語 処暑の候 / 新涼の候 / 初秋の候
- 8月の二十四節気 8/7頃 立秋 8/23頃 処暑
9月 時候の挨拶に適した季語
- 9月 時候の挨拶に適した季語
- 9月上旬の季語 初秋の候 / 新秋の候 / 白露の候
- 9月中旬の季語 新涼の候 / 爽秋の候 / 野分の候
- 9月下旬の季語 秋晴の候 / 秋冷の候 / 爽涼の候
- その他 秋雨 新秋快適 灯火親しむべき 良夜
- 9月の二十四節気 9/7頃 白露(はくろ) 9/23頃 秋分
【言葉の意味、季節的情感】
「仲秋の候」の仲秋は新暦の9月をあらわし、白露(9月7日頃)から寒露(10月7日頃)のころをいいますので、この時期に使うことができます。
尚「中秋の名月」の「中秋」は(陰暦の8月15日)をあらわすとれていますので、ここでいう「仲秋」とはことなりますのでご注意ください。
「初秋の候」は、秋のはじめの頃をあらわしています。秋のはじめをあらわすのはほかに「新秋の候」「孟秋の候」(孟ははじめの意味)があります
「新秋快適の候」は、秋のはじめの頃の過ごしやすい気候をあらわしています。
「白露の候」は、草木おいた白く光ってみえる露の意味で、二十四節気(9月8日頃〜9月21日頃)をさします。この頃から秋の気配が感じられるようになるとされています。
「新涼の候」は、初秋の頃の涼気、涼しさのをあらわしています。
「爽秋の候」は、空気がさわやかで心地のよい秋をあらわしています。
「野分の候」、野の草を吹き分ける風をあらわしています。特に二百十日(9月1日頃)や二百二十日(9月11日頃)前後に吹く暴風(つまり台風)やその余波の風また、秋から初冬にかけて吹く強い風をあらわしています。
「秋冷の候」は、秋になって感じる冷ややかをあらわしています。
「爽涼の候」は、外気がさわやかで涼しいこと。また、そのようすをあらわしています。
「秋晴の候」は、秋のよく澄んで晴れ渡っている空の様子をあらわします。
「秋雨の候」は、秋に降る雨のことあらわしています。
「灯火親しむべき候」は、灯りの下で読書するのによい季節ということをあらわしています。
「良夜の候」は、月の明るく美しい夜、特に中秋名月の夜のことをあらわしています。
10月 時候の挨拶に適した季語
- 10月 時候の挨拶に適した季語
- 10月上旬の季語 秋涼の候 / 爽涼の候 / 清秋の候
- 10月中旬の季語 秋冷の候 / 秋麗の候 / 秋容の候
- 10月下旬の季語 夜長の候 / 菊花の候 / 錦秋の候
- その他 寒露 秋晴れ 秋冷爽快 紅葉 初霜
- 10月の二十四節気他 10/8頃 寒露 10/23頃 霜降
【言葉の意味、季節的情感】
「仲秋の候」の仲秋は新暦の9月をあらわし、白露(9月7日頃)から寒露(10月7日頃)のころをいいますので、この時期に使うことができます。
尚「中秋の名月」の「中秋」は(陰暦の8月15日)をあらわすとれていますので、ここでいう「仲秋」とはことなりますのでご注意ください。
「秋冷の候」は、秋のひややかさをあらわしています。
「秋涼の候」は、秋のすずしさ。秋の涼風をあらわしています。
「爽涼の候」は、外気がさわやかで、涼しく感じれあれることをあらわしています。
「朝寒の候」は、晩秋の朝方寒さを感じることをあらわしています。
「寒露の候」は、十四節気の一つで(10月8日頃〜10月23日頃)で、露が寒冷にあって凝結しようとするころとされいます。この頃から菊が満開とんり、紅葉も秋色に染まりはじめ、秋の深まりを感じられうようになります。
「秋晴れの候」は、秋にみられる空が澄んで青々晴れわたっていることをあらわしています。
「秋冷爽快の候」は、秋のひややかさが爽快であることをあらわしています。
「清秋の候」は、空が澄み、空気の清らかな秋のようすをあらわしています。
「秋雨の候」は、秋に降る雨のことあらわしています。
「菊薫る候」は、満開の菊が香るようすをあらわしています。他に菊の花やそれが香る意味で「菊香の候」、「菊花薫る候」、「菊花の候」があります。
「秋容の候」は、秋の景色となったということをあらわしています。同様の意味で「秋たけなわの候」「秋色の候」(秋の景色。秋の気配。秋らしい趣)もあります。
「秋麗の候」は、秋の気持ちのよい日のことをあらわしています。
「紅葉の候」は、秋になって葉が紅色に変わることをあらわしています。他にも「黄葉の候」(秋になって葉が黄色く変わること)もあります。
「錦秋の候」は、錦(にしき)の織物のように自然の色の美しい秋のようすをあらわしています。他にも「錦繍の候」(錦は織物、繍は刺繍(ししゅう)のことで刺繍が施された錦のように美しい秋の意味)や「錦綾なす候」(錦の織物がさまざまの美しい模様とつくるが意味。秋となり紅葉がすすみ、美しいいろどりでにかざられていることの比喩)があります。
「初霜の候」は、今年初めて霜が降りる頃ですが、地機差がありますので、それを考慮して使うのがよいでしょう。
「秋霜の候」は、秋に降る霜の意味ですが、「秋霜」(秋霜烈日)厳しいことのたとえにもなっているように晩秋の頃に厳しい冷え込みとなった状況で使うのがよいのではないしょううか。
「霜降の候」は、二十四節気の一つで10月23日頃にあたります。霜が降りる季節という意味となりますが、現代では温暖化のせいか平地で霜が降るのはもう少し後になるので、地域や気候を考慮して使うのがよいでしょう。
「夜長の候」は、夜が長いこと、この場合は秋の夜のことをあらわしています。
「灯火親しむべき候」は、灯りの下で読書するのによい季節ということをあらわしています。
11月 時候の挨拶に適した季語
- 11月 時候の挨拶に適した季語
- 11月上旬の季語 紅葉の候 / 深秋の候 / 季秋の候
- 11月中旬の季語 晩秋の候 / 残菊の候 / 小春日和の候
- 1月下旬の季語 向寒の候 / 前寒の候 / 深冷の候
- その他 惜秋 秋霜 霜寒 初雁 落葉 初霜
- 11月の二十四節気 11/7頃 立冬 11/22頃 小雪
10月末から11月6日頃までが秋、立冬(11/7)以降は冬とされていますので、
気になる方は、それ以降は「秋」のつくものは使わないのがよいでしょう。
【言葉の意味、季節的情感】
「菊薫る候」は、満開の菊が香るようすをあらわしています。
「残菊の候」は、重陽の節句(9月9日)を過ぎたあとの菊のことで、初冬まで咲き残っている菊をあらわしています。
「紅葉の候」は、秋になって葉が紅色に変わることをあらわしています。他にも「黄葉の候」(秋になって葉が黄色く変わること)もあります。
「季秋の候」は、秋の末(季は末の意味)をあらわしています。晩秋と同じ意味合いです。
「晩秋の候」は、秋の末をあらわしています。他にも「深秋の候」、「暮秋の候」も同じ意味合いです。
「惜秋の候」は、まもなく訪れる冬を前に秋を惜しむ情感があらわしています。
「秋霜の候」は、秋に降る霜の意味ですが、「秋霜」(秋霜烈日)厳しいことのたとえにもなっているように晩秋の頃に厳しい冷え込みとなった状況で使うのがよいのではないしょううか。
「霜秋(そうしゅう)の候」も同じ意味です。
地域差はありますが、現代では初霜の知らせは11月中旬以降となるでしょうが、
厳密にいえば、その頃はすでに暦の上では冬(立冬11/7日頃以降)とされています。
もしそのことが気になるなら同様の意味で「秋」の漢字を使わない「霜寒(そうかん)の候」があります。
やはり、「晩秋となり霜が降るほどに季節が進んだ」という意味合いです。
「初雁の候」は、秋になって最初に北方から渡ってきた雁(カリ)をあらわしています。
「深冷の候」は、秋の終わりに、寒さが深まってきた頃をあらわしています。
「冷雨の候」は、秋の終わりに、冬も近づきはじめて雨もより冷たくなるころをあらわしています。
「小春日和の候」は、晩秋から初冬にかけて現れる穏やかな暖かい晴天のことで、小春とは今の11月から12月上旬にあたります。厳しい冬を前に現れる温和な天気のことをあらわしています。他に「小春の候」も同じ意味合いです。尚、小春は冬の季語です。
「落葉の候」は、葉が落ちてしまい、冬の訪れを感じることをあらわしています。
「向寒の候」は、日増しに寒くなっていく頃をあらわしています。他に「前寒の候」も同様の意味合いです。
「初雪の候」は、今年初めて雪が降る頃ですが、地機差がありますので、それを考慮してください。
「初霜の候」は、今年初めて霜が降りる頃ですが、地機差がありますので、それを考慮してください。
12月 時候の挨拶に適した季語
- 12月 時候の挨拶に適した季語
- 12月上旬の季語 師走の候 / 忙月の候 / 小雪の候
- 12月中旬の季語 霜夜の候 / 寒気の候 / 厳冬の候
- 12月下旬の季語 歳末の候 / 短日の候/ 月迫の候
- その他 小雪 初雪 寒冷 激冬 歳晩
- 12月の二十四節気 12/7頃 大雪 12/21頃 冬至
【言葉の意味、季節的情感】
「師走の候」、師走は師(僧)を迎えて仏事を行うため、師が忙しく走り回ることを由来として、12月の異称となっています。忙しいい月の意味で「忙月の候」も同様の意味合いです。
「短日の候」は、日が短い、日が暮れるのが早いことをあらわしています。一年で昼が最も短い日のは冬至はで12/21頃です。短日の候はこのころに適しています。
「歳末の候」、歳末は年の終わりをあらわしています。「年末の候」、「歳晩の候」も同じです。
「月迫の候」は、月の末になろうとしていることで、特に一二月は年の末がさし迫っていることをあらわしています。
「初雪の候」は、初雪が降るころをあらわしています。地域差がありますので、ご注意ください。
「小雪の候」、小雪(11月22日頃〜12月6日頃)は二十四節気の一つで、小雪が降るころをあらわしています。地域差がありますので、ご注意ください。
「新雪の候」は、雪が新たに降る、雪が積もり始めるころををあらわしています。地域差がありますので、ご注意ください。
「霜夜の候」は、夜に霜が降ることをあらわしています。
「寒冷の候」は、ひえびえとして寒いことをあらわしています。
「寒気の候」は、冬の寒気が到来したことをあらわしています。
「厳冬の候」は、厳しい冬の訪れをあらわしています。「激寒の候」も同様の意味合い。
季節の挨拶で書き出すなぜか
現代において手紙を時候の挨拶からはじめる理由は、いくつかの文献を調べてもわかりませんでした。
しかし、平安時代には、貴族が和歌をおくるときにそ季節またはその歌に合った木や花の枝を折り(そのことを「折枝(おりえだ)」といいます)、その歌に添えておくるのが作法とされていたとの記述がありました。このような礼法から古来において手紙と季節は深く結びついていたたことがうかがえます。
現代において手紙を時候の挨拶ではじめるのは、季節感を大切にする日本人として「折枝」にかえて、今できる作法と捉えることもできると考えます。
また、日本では古来(古今集の頃)より人間関係が「季節」に関する共感を媒介として成り立っていたとため、手紙においても、時候の挨拶からはじめる習俗がいつのまにか始まり、
「拝啓」(あいさつ)、「・・候」(時候の挨拶)そして、時候の挨拶で締める(・・折からご自愛ください)と書くのが皆に支持され、徐々に知られるようになると、
この型に当てはめると、あれこれ考えなくても簡単に手紙が書ける利点があったため、皆が踏襲して今日に至るまで残ったのではないかという主張があります。
いずれにせよ。時候の挨拶を最初に書くことは、
1.必ずしもそうしないといけない決まりごとではない。
2.日本人の季節感を大切する民族性に根差した習俗と関係している。
3.相当昔から習慣となっている。
といえそうです。
【参考文献】
小松茂美著 1976年 [手紙の歴史] 岩波書店
安田武著 1978年 [手紙の書き方] 講談社