癌と向き合うための知識と選択
現代は日本人の3人に1人が癌で亡くなっており、2人に1人は癌にかかってしまう時代です。癌は痛みを感じるとか、非常に苦しむ病期というイメージがありますが、癌は相当進行しなければ痛くもかゆくもありません。癌の種類ごとの生存率は異なるのですが、ほとんどの癌の生存率は高くなっていて、全国癌センター協議会の生存調査で全部位の癌の5年相対生存率は男女あわせて64.1%でした。癌を経験した方は「癌サバイバー」と呼びますが、厚生労働省などの調査によると全国に500万人以上いると言われています。
- 日本人の2人に1人は癌になる
- 生前率は向上している
- 癌サバイバーも増加している


癌の診断で準備する事

癌の診断を聞く日は、不安や緊張で頭が真っ白になってしまうことがあります。そのため、できるだけ一人で行かず、自分が信頼している人と一緒に医師の説明を聞くことが大切です。家族や友人など、落ち着いて話を聞いてくれる人がそばにいるだけで、受け止める負担が大きく変わります。
また、医師の説明を正確に理解するために、事前に録音の許可を取り、説明を録音しておくと安心です。説明の内容は専門用語も多く、一度で覚えるのは難しいため、家に帰ってから聞き直したり、家族と共有するのに役立ちます。
さらに、自分が不安なときは、信頼できる人に診察に同席してもらうことで、質問を代わりにしてもらったり、聞き漏れを防ぐことができます。医師との大事な話し合いをサポートしてもらうことで、治療方針をしっかり理解し、冷静な判断ができるようになります。
- メモやノートを持参する
- 許可をとって医師の説明を録音
- 信頼できる人に同席してもらう
癌が確定するまでの流れ

癌が見つかるきっかけは、「癌診断」、「自覚症状」、「癌以外の病気で通院している時に見つかる」の,3つがおおいでしょう。そういったきっかけで精密検査を受けるわけですが、確定するためには、診察、血液検査、画像検査、病理検査など様々な検査が必要となります。確定診断まではだいたい2週間~1ヶ月はかかるとおもいます。癌は2人に1人はなる時代ですので珍しい病気ではありません。そのため現在の癌の告知のほとんどはあっさりとしたものが多いかもしれません。
- 確定診断に欠かせない病理検査
- 確定診断まで2週間から1ヶ月ほど時間がかかる
- 癌の告知はあっさりが多い
POINT患者さん自身が癌の症状ではないかと感じて医師を受診した場合に最終的に癌と診断される可能性は十人から数十人に1人程度、癌検診の結果、発見されるのは癌全体の2~3割です。
出典:静岡県立静岡がんセンター「親ががんになったら読む本」
| 脳腫瘍 |
頭痛、吐き気、まひ、意識障害 |
| 舌がん |
舌のしこり、潰瘍、出血 |
| 頭顎のがん |
潰瘍、出血、血痰 |
| 甲状腺がん |
顎部のしこり、声のかれ |
| 肺がん |
咳、血痰、肺炎 |
| 乳がん |
乳房のしこり、乳首から出血 |
| 肝臓がん |
食欲低下、だるさ、黄疸 |
| 食道がん |
飲み込みにくい、しみる |
| 膵臓がん |
食欲低下、腹痛、背中の痛み、黄疸 |
| 胃がん |
食欲低下、胃部不快感、腹痛、体重減少 |
| 大腸・直腸がん |
下痢、便秘、腹痛、血便、体重減少 |
| 腎臓がん |
血尿 |
| 膀胱がん |
血尿、排尿痛 |
| 卵巣がん |
腹部、腹部膨満感、下腹部痛、排尿障害 |
| 前立腺がん |
血尿、排尿障害 |
| 子宮がん |
不正出血、おりものの異常 |
| 悪性黒色腫 |
異常なほくろ、出血、治りにくい潰瘍 |
| 皮膚がん |
皮膚の変化、できもの、治りにくい潰瘍 |
| 悪性リンパ腫 |
リンパ節の腫れ、発熱、体重減少、寝汗 |
| 白血病 |
発熱、貧血、出血傾向、感染症、だるさ |
癌診断で確認が必要な大事な事
癌の確定診断を受ける日は、誰にとっても不安と緊張が伴うものです。しかし、このタイミングで大切な情報をしっかり確認することで、これからの治療方針や生活の見通しが大きく変わってきます。診察時に必ずおさえておきましょう。
- どんな種類の癌がどこにできたか確認する
- 病期(ステージ)の確認
- 治療法の選択肢の確認
確定診断で必ず確認する事、できればもらっておきたいもの
- どの臓器に、どのようながんが見つかったのか
- 確定診断なのか/どの検査結果によって判断されたのか
- 腫瘍の大きさや、どの範囲まで広がっているのか
- 進行度(病期・ステージ)はどの段階にあたるのか
- 考えられる治療方法と、その選択肢の違いは何か
- 病状説明書:
病状説明書とは、医師が患者さんに説明した「病気の状態、検査結果、治療方針」をわかりやすくまとめた書類のことです。病名やどこがどのように悪いのか、検査で何がわかったのか、これからどんな治療を行うのかが記載されます。家族に説明したいとき、保険会社へ提出が必要なとき、セカンドオピニオンを受けるときなどに役立つ、病状を整理した公式の文書です。
- 病理検査レポート:
病理検査レポートとは、手術や内視鏡、生検で採取した細胞や組織を病理医が顕微鏡で詳しく調べ、その結果をまとめた正式な報告書です。がんかどうか、どんな種類のがんなのか、どこまで広がっているのかといった確定診断に必要な情報が記載され、治療方針を決める際に最も重要な資料となります。
- 画像診断レポート:
画像診断レポートとは、CTやMRI、PET、超音波などの医療画像を放射線科の専門医が読み取り、その結果をまとめた報告書です。体のどこに異常があるのか、その大きさや広がり、周囲の臓器やリンパ節との関係、転移が疑われる部位などが詳細に記載されます。
- 血液検査報告書:
血液検査報告書とは、採血によって調べた血液の成分や数値をまとめた医療文書で、体の状態や臓器の働き、炎症の有無などを客観的に評価するための重要な資料です。赤血球・白血球・血小板の数、肝臓や腎臓の機能、炎症や感染の有無、腫瘍マーカーなどが項目ごとに数値として示され、基準値(正常値)と比較することで異常の有無を判断できます。
確定診断された際のストレス
癌の確定診断を受けた直後は、多くの方が強いストレスを感じます。最初は「衝撃」で頭が真っ白になり、そのあと気持ちが不安定になったり、涙が出たり、眠れなくなったりと、心が大きく揺れ動く時期が続きます。
医療の世界では、確定診断後の最初の2週間ほどは、気持ちが落ち込みやすく、不安が強くなったりする時期だと言われています。これは決して“弱いから”ではなく、誰にでも起こる自然な反応です。
時間がたつにつれて、少しずつ気持ちが整理され、治療に向き合う「適応」の状態に移っていきます。大切なのは、この時期に一人で抱え込まないこと。家族や友人、医療スタッフに話を聞いてもらうことで、心が軽くなることも多くあります。
- 衝撃➡不安定➡適応と心が揺れ動く
- 確定診断後、2週間は「「不安定」の時期

癌の原因とは?

癌の原因というと「生活習慣が悪いのでは?」と考えがちですが、実際にはそうとは限りません。喫煙や飲酒、食生活などがリスクになることは確かですが、ほとんどの癌は生活習慣だけで説明できるものではありません。


出典:国立がんセンター
実は、癌の最大の原因は“偶然”によるものだと分かっています。
細胞が分裂するときに、ごくまれに起こる“エラー(遺伝子の傷)”が積み重なって発生することが多く、誰にでも起こり得る現象です。健康に気をつけている人でも癌になる可能性があるのはこのためです。
また、定期的に検査を受けていても、すべての癌を必ず早期に見つけられるわけではありません。 癌の種類によっては成長が早いものや、検査では見つかりにくい場所にできるものもあります。マメに検査をしていても万全とは言えず、「検査を受ければ絶対安心」というものではありません。
つまり、癌は「生活習慣が悪いから」「自分が悪いから」なる病気ではなく、多くの場合はコントロールできない偶然が関わっています。だからこそ、定期的な検診や早期受診は大切ですが、必要以上に自分を責める必要はありません。
- 生活習慣が悪いわけではない
- 最大の原因は偶然によるもの
- マメな検査が万全なわけではない
出典:治験ジャパン
余命宣告は当たるの?生存率は?
余命宣告という言葉を聞くと、とても不安になると思います。しかし、実は余命というのは“正確に当たるもの”ではありません。どれだけ経験のある専門病院でも、予測が当たるのは3人に1人くらいといわれており、多くの方は予測より長く生きることも、体調が変わることもあります。
また、よく聞く5年生存率は、「同じ病気の人がどれくらい生きられたか」という統計の数字で、未来を決めるものではありません。体の強さや治療の効き方、生活環境などは一人ひとり違うため、同じ病気でも経過は大きく変わります。数字にとらわれすぎる必要はありません。
- 実は専門病院でも当る可能性は1/3
- 5年生前率も1つの目安
主要な癌の5年生存率
単位=%
出典:国立癌研究センター
癌治療で迷わないため
癌治療は最初が大事

癌の治療では、早期発見をはじめ最初の段階がとても大切です。診断の内容や治療方針について、主治医としっかり話し合い、納得できる形で治療を始めることが重要です。どんな治療を選ぶのかは、これからの生活や体調に大きく関わるため、自分の希望や大切にしたいことを遠慮せずに伝えることが欠かせません。
治療を進めるうえで最も大切なのは、「この治療でいく」と心から納得できることです。そのために、疑問があれば何度でも聞き、必要であればセカンドオピニオンを活用することも選択肢のひとつです。
- 診断や治療方針について納得いくまで話し合う
- 理想的な治療に関する意思決定を行う
- 自分の希望や大切なことを伝える

癌治療はチームで進める時代
今の癌治療は、一人の医師だけで進める時代ではありません。多くの専門家が集まり、チームとして治療方針を考える時代になっています。癌の種類や体の状態に応じて、外科医・内科医・放射線科医、看護師、薬剤師、栄養士、リハビリ専門職、相談支援のスタッフなど、さまざまなプロが力を合わせて支えます。
このように、専門職が連携して治療・生活・心のケアまでを総合的にサポートする仕組みが「チーム医療」です。複数の専門家が話し合うことで、より安全で質の高い治療が選びやすくなり、患者さんの不安や負担を減らすことにもつながります。一人で抱え込まず、チームと一緒に進めていく。それが、今の癌医療の大きな特徴です。
- 多くの専門家と一緒に治療方針を決める
- 専門職が連携するチーム医療
根拠ある医療で後悔しない治療選択を

癌の治療では、根拠のある医療(エビデンスに基づいた医療)をもとに、自分が納得できる治療を選ぶことがとても大切です。治療の良し悪しを決めるのは、周りではなく、ほかでもない 患者さん自身 です。医療は「病気を治すこと」だけが目的ではありません。自分らしい人生を続けるために治療を選ぶという考え方が、今では広く大切にされています。
世界中の研究やデータに裏付けられた治療法があり、それを背景に、主治医と一緒に最適な選択ができます。根拠ある治療をもとに、あなたの価値観や希望をしっかり反映させることで、後悔しない治療選択につながります。
- 「良い医療」を決めるのは患者自身
- 良い人生を送るために治療する
- 世界共通の根拠を背景とした治療
後悔しないための医師とコミュニケーション
癌の治療で後悔しないためには、医師とのコミュニケーションがとても大切です。診察のときには、気になることを遠慮せずに質問できるよう、あらかじめ相談の時間をしっかりとってもらうようお願いすることが役に立ちます。
また、病院には心強い味方がいます。それが、患者さんの気持ちに寄り添ってくれる経験豊富な看護師さんです。医師には聞きづらい内容でも、看護師さんに相談すると整理しやすくなり、医師との話し合いもスムーズになる場合もあります。コミュニケーションを深めることで、医師が考えていることや治療の意図、心の中の本音に近い部分まで理解できるようになります。疑問や不安をそのままにしないことが、納得できる治療選択につながります。
- 相談する時間をとってもらうようにお願いする
- ベテランの看護婦を味方にする
- 医師の本音を聞き出す
納得のいく病院で治療を受けるには

納得のいく治療を受けるためには、自分が安心して通える病院を選ぶことがとても大切です。確定診断を受けた病院でそのまま治療を続けなければならない、という決まりはありません。
患者さんには、自分に合った病院を自由に選ぶ権利があります。治療内容や医師との相性、通いやすさなどを考えて、ほかの病院で治療を受けたいと思った場合は、遠慮せず主治医に相談して大丈夫です。医師に転院したい気持ちを伝えれば、必要な紹介状や検査結果を準備してもらえます。あなたが納得して治療を進められる場所を選ぶことが、より良い治療につながります。
- 確定診断をうけた病院で治療する決まりはない
- 患者には病院を選ぶ権利がある
- 医師に相談すれば転院も可能
迷わずセカンドオピニオンを
癌の治療に迷いがあるときは、セカンドオピニオンを受けることをためらわないでください。まずは、担当医からのファーストオピニオン(最初の説明)をしっかり聞き、診断内容や治療方針をできるだけ理解することが大切です。
そのうえで、ほかの専門医の意見を聞くことで、別の選択肢やより自分に合った治療が見つかることがあります。セカンドオピニオンは、確定診断の直後に受けるのが最も効果的で、治療開始までの大切な時間を最大限に活かすことができます。不安や疑問を抱えたまま治療に進む必要はありません。複数の専門家の意見を聞くことは、より納得できる治療を選ぶための大切な一歩です。
- ファーストオピニオンをしっかり聞く
- セカンドオピニオンは確定診断の直後に
病院選びのチェックポイント
癌の治療を受ける病院を選ぶときには、いくつか大切なポイントがあります。まず、各都道府県には、癌医療の中心となる「癌診療連携拠点病院」が指定されています。専門的な治療体制が整っているため、安心して相談できる場所です。
また、可能であれば、腫瘍内科医(癌治療の総合的な専門医)が在籍している病院を選ぶと安心です。手術・抗癌剤・放射線治療のバランスを見ながら、あなたに合った治療を一緒に考えてくれます。さらに、治療は一度で終わるものではなく、通院が続くことも少なくありません。自分が無理なく通える距離かどうかも、とても大事なポイントです。通いやすい病院を選ぶことで、治療の負担が少なくなり、安心して続けやすくなります。
- 癌診療連携拠点病院が都道府県ごとにある
- できるだけ腫瘍内科医がいる病院を選ぶ
- 今後の治療も考えて通いやすさも重要
焦って初期治療の決断をはやまらない
癌と診断されると、不安から「早く治療を始めないといけない」と思ってしまいがちです。しかし、焦って初期治療の決断を急ぐ必要はありません。検査には時間がかかることもありますが、それは病気の状態をしっかり見極め、最も良い治療方法を選ぶために欠かせない大切なプロセスです。
多くの癌は、2〜3週間で急に進行してしまうことは少ないとされています。そのため、必要な検査を受け、治療方針について十分に話し合う時間を取ってかまいません。
また、病院の名前や知名度だけで判断する必要もありません。大切なのは、自分が納得し、信頼して治療を続けられる環境かどうかです。焦らず、一つひとつ確認しながら、自分に合った治療を選ぶ事を心がけましょう。
- 検査にかかる時間は見極めのため
- 2,3週間で急に癌が進行する事は少ない
- 病院の名前にこだわらない
出典:静岡県立静岡がんセンター「親ががんになったら読む本」
癌治療の基本
「標準治療」ってなに?

「標準治療(ひょうじゅんちりょう)」とは、世界中の研究やデータをもとに、もっとも効果が高く、安全性が確認されている“最善の治療”のことをいいます。これは特別な治療ではなく、科学的根拠に支えられた「ゴールデン・スタンダード(最良の基準)」として、多くの専門医が推奨する治療法です。
標準治療は、しっかりとした根拠があるからこそ、健康保険で受けられる治療として認められています。つまり、効果や安全性が証明されているからこそ、保険適用という形で誰でも受けられるようになっているのです。癌治療にはさまざまな情報がありますが、迷ったときは「標準治療が何か」を知ることが、後悔しない治療を選ぶ大きな目安になります。
- 最も最善の治療は「標準治療」
- 科学的根拠があるゴールデン・スタンダード
- 根拠がある治療は保険適応になっている
癌の三大治療

癌の治療にはさまざまな方法がありますが、基本となるのが「三大治療」と呼ばれるものです。三大治療とは、手術・放射線治療・薬物療法(抗癌剤やホルモン療法など)のことを指します。
癌の種類や広がり方によって、これらの治療は単独で行うことも、組み合わせて行うこともあります。 たとえば、手術の前後に薬物療法を行ったり、放射線と薬物療法を同時に行うケースもあります。
治療の選び方には、「診療ガイドライン」と呼ばれる全国共通の指針があり、その病気に対して最も効果が認められた治療法が示されています。医師はこのガイドラインを参考にしつつ、患者さんの年齢や体力、希望に合わせて最適な治療プランを提案します。
- 三大治療は「手術」、「放射線治療」、「薬物療法」
- 治療法は組み合わせる
- 診療ガイドラインを参考にする
三大治療のメリットとデメリット
出典:プレジデント社(癌を告知されたら読む本)
ステージで決まる癌医療
癌の治療は、どのステージ(病期)にあるかによって大きく変わります。ステージ1や2の比較的早期の癌では、手術や放射線のような“局所治療”が中心となり、癌がある部分を集中的に治すことができます。
一方で、ステージ3や4、あるいは再発の場合は、体のあちこちに広がっている可能性があるため、“全身治療”が中心になります。全身治療には、抗癌剤・分子標的薬・免疫療法などがあり、体全体に働きかけて癌の進行を抑えます。
また、よく誤解されがちですが、ステージ4=末期癌という意味ではありません。
ステージ4でも、長く病気と付き合いながら治療を続けている方がたくさんいます。治療の選び方や効果は人それぞれで、今はさまざまな薬や治療法が進歩しているため、治療の選択肢も広がっています。
- ステージ1,2は局所治療
- ステージ3,4、再発は全身治療が中心
- ステージ4=末期癌ではない
注意が必要な「先進医療」
「先進医療」という言葉を聞くと、最先端で特別に効果の高い治療のように感じるかもしれません。しかし、先進医療には注意が必要です。先進医療は、一定の研究で効果が期待されているものの、まだ信頼性が十分に確立されていない段階の治療です。
実際に、先進医療として研究された治療のうち、科学的な効果がしっかり実証されて保険適用されるのは約6%程度と言われています。つまり、多くの先進医療は「効果が確定している治療ではない」ということです。
また、先進医療は基本的に治療費が全額自己負担となり、費用が高額になることも少なくありません(一部の検査を除く)。
受ける前には、効果・リスク・費用について十分に説明を受け、納得して選ぶことが大切です。
先進医療は、あくまで“将来の可能性”として研究中の治療であり、「必ず効く治療」ではありません。迷ったときは主治医や相談支援センターにも気軽に相談してみてください。
- 一定の研究効果はあるが信頼性が低い
- 硬貨が実証されて保険適用になるのは6%
- 治療費は一部を除き全額自己負担
代替医療ってなに?
実は、代替医療にははっきりとした公式の定義がありません。一般的には、漢方、サプリメント、食事療法、マッサージ、鍼灸、アロマなど、通常の医学(標準治療)とは別に行われる療法を指すことが多いとされています。
ただし、これらの代替医療には“治療としての効果が科学的に証明されていない”ことがほとんどです。癌そのものを治す目的で代替医療を選んでしまうと、治療のタイミングを逃す危険があるため注意が必要です。
一方で、代替医療には リラックス効果や睡眠の改善、食欲の増進など“生活の質(QOL)を向上させる可能性” があるため、上手に取り入れることで気持ちが楽になることもあります。大切なのは、代替医療を“治療の中心”にせず、あくまで生活を支える補助として使うことです。利用したい場合は、主治医や看護師に相談して安全を確認しながら進めていくことをおすすめします。
- 代替医療には公式な定義はない
- 治療としての効果は実証されていない
- 生活の質を向上させる

痛みや不安を和らげるための緩和ケアとは?

緩和ケアは、治療をあきらめるものではなく、“よりよく生きるためのケア” です。「終末期のケア」というイメージを持ちやすいですが、本来の緩和ケアは、癌と診断された“その時から”受けてもよい大切なケアです。基本的には担当の医師や看護師から受けますが、必要に応じてさまざまな職種の人がチーム(緩和ケアチーム)となって支えてくれます。
今では、手術・放射線・薬物療法に続く “第4の標準治療” として正式に位置づけられており、癌治療のごく自然な一部として考えられています。また、緩和ケアは「気持ちを楽にするだけのケア」ではありません。痛みや不安を早い段階からしっかりコントロールすることで、延命効果があることも科学的に証明されています。
- 第4の標準治療に位置づけられている
- 延命効果も科学的に実証されている
出典:がん情報サービス
大事な「お金」について
公的制度はとことん活用する
癌の治療や療養には、思っている以上にさまざまな公的な支援制度があります。これらの制度は、申請しなければ受けられない仕組みになっているため、「自分は対象ではないかも…」と思わずに、まずは情報を集めて相談してみることが大切です。公的な経済的支援には、医療費の負担を減らす制度、仕事を休んだときに支えてくれる制度、生活費を助けてくれる制度など、複数の制度が用意されています。 うまく活用することで、治療や生活の不安を大きく減らすことができます。
- 公的制度は申請しないともらえない
- 公的な経済的支援は複数ある
一定額以上はもどってくる高額療養費制度
高額療養費制度は、医療費が高くなってしまったときに、一定額を超えた分があとから戻ってくる公的な制度です。たとえ高額な治療や入院が続いたとしても、払いすぎた医療費が戻る仕組みがあるため、経済的な負担を大きく減らすことができます。
この制度で決められている自己負担額(上限額)は、人それぞれの所得に応じて設定されています。収入が少ない人ほど負担が小さくなるようになっており、誰でも安心して医療を受けられるよう配慮されています。また、医療費を後から戻してもらうだけでなく、事前に「限度額認定証」を申請しておくと、病院や薬局の窓口での支払い自体が最初から軽減される仕組みもあります。治療が続く方にとって、とても便利な制度です。
- 所得によって自己負担額が決まっている
- 病院や薬局の窓口での支払いを軽減できる仕組みも

払い戻しについて

払い戻しは、医療機関等から提出される診療報酬明細書(レセプト)の審査を経て行いますので、診療月から3ヵ月以上かかります。払い戻しまで時間を要するため、医療費の支払いに充てる資金として、高額療養費支給見込額の8割相当額を無利子で貸付する「高額医療費貸付制度」もあります。詳しくは協会けんぽ支部までお問い合せください。
出典:全国健康保険協会
確定申告で費用を取り戻す医療費控除
医療費控除は、1年間に支払った医療費が多かったときに、確定申告をすることで税金の一部が戻ってくる制度です。癌治療や入院などで医療費がかさんだ場合、とても役に立ちます。
基本的には、1年間で10万円を超えた医療費があると申請できます(※所得によっては10万円以下でも申請可)。対象になるのは、治療に必要なお金であれば幅広く認められており、世帯全員の医療費をまとめて合算できるため、家族の医療費も無駄なく使えます。
意外と知られていませんが、入院したときの部屋代(差額ベッド代)や食事代の一部が対象になるケースもあります。 ただし内容によって対象外になるものもあるため、領収書はすべて保管しておくのがおすすめです。
- 1年間に10万円を超えると申請できる
- 世帯全員の医療費を合算できる
- 部屋代や食事代も適用される

マイナポータル連携を利用すると、医療費控除に使用できる医療費通知情報をマイナポータル経由で取得し、所得税の確定申告書を作成する際に、該当項目に自動入力することができます。
医療費控除のマイナポータル連携について(PDF564KB)
なお、事前にマイナポータルで代理人の設定を行うことにより、申告に含めることが可能なご家族の医療費通知情報をマイナポータル連携で取得することができます。
マイナポータルにおける代理人の設定方法はこちらをご覧ください。
POINT 代理人の設定の際には、申告される方とそのご家族のマイナンバーカードが必要になります。
取得した医療費通知情報を「確定申告書等作成コーナー」で自動入力する手順は、「動画で見る確定申告」の「
医療費控除の入力方法」をご覧ください。
出典:国税庁
会社を休職したら傷病手当金
傷病手当金(しょうびょうてあてきん)は、病気やけがで会社を休んで働けなくなったときに、収入を補うための大切な制度です。対象となるのは、健康保険に加入している会社員や公務員で、自営業の方や扶養家族は対象外です。
仕事を休んでお給料が受け取れない期間、健康保険から給料のおよそ3分の2にあたる金額が支給されます。治療が続くと収入が減ってしまう不安がありますが、この制度を使うことで生活を支えることができます。支給される期間は、通算で1年6カ月。休職と復職を繰り返した場合でも、合計で1年6カ月まで受け取ることができます。
- 会社員や公務員が対象の制度
- 給料の日額2/3が支給される
- 通算で1年6カ月支給期間がある
提出する書類等

出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)
65歳未満でも障害年金がもらえる
障害年金は「高齢者だけの制度」と思われがちですが、実は 65歳未満でも受け取れる制度 です。癌の治療や後遺症、体力の低下などで日常生活や仕事に大きな支障が出た場合、現役世代でも受給できる可能性があります。
ただし、障害年金は 自動的にもらえるわけではなく、必ず「申請」が必要 です。必要な書類をそろえ、医師の診断書を添えて提出することで審査が行われます。申請の手順はやや複雑なため、社会保険労務士や病院の相談支援センターに相談しながら進めると安心です。
役に立つサイトはココ
がん制度ドック
「がん制度ドック」は、がん治療時に患者や家族が利用できる「公的な支援制度」や「民間の支援サービス」を検索できるウェブサービスです。
NPO法人 障害年金支援ネットワーク
障害年金を受給できるのにもかかわらず、受給に至っていない人たちに適切な給付が行われるよう、電話相談や広報の活動を続けている全国規模の非営利団体です。 ご要望があれば、障害年金の手続きを代行する専門家の紹介も行っています。 障害年金のことなら何でもご相談ください。
CSRプロジェクト
患者やその家族の就労支援を目的とした、相談活動、セミナー、コミュニティ形成、政策提言など多岐にわたる活動を行っています。
がんと働く応援団
一般社団法人がんと働く応援団は、現役世代でがんを経験したサバイバーと各専門家が共に治療と仕事の両立支援を提供しています。
親や私が「癌」と診断されたら・・まず知っておいたほうがいい事
癌と向き合うための知識と選択
現代は日本人の3人に1人が癌で亡くなっており、2人に1人は癌にかかってしまう時代です。癌は痛みを感じるとか、非常に苦しむ病期というイメージがありますが、癌は相当進行しなければ痛くもかゆくもありません。癌の種類ごとの生存率は異なるのですが、ほとんどの癌の生存率は高くなっていて、全国癌センター協議会の生存調査で全部位の癌の5年相対生存率は男女あわせて64.1%でした。癌を経験した方は「癌サバイバー」と呼びますが、厚生労働省などの調査によると全国に500万人以上いると言われています。
癌の診断で準備する事
癌の診断を聞く日は、不安や緊張で頭が真っ白になってしまうことがあります。そのため、できるだけ一人で行かず、自分が信頼している人と一緒に医師の説明を聞くことが大切です。家族や友人など、落ち着いて話を聞いてくれる人がそばにいるだけで、受け止める負担が大きく変わります。
また、医師の説明を正確に理解するために、事前に録音の許可を取り、説明を録音しておくと安心です。説明の内容は専門用語も多く、一度で覚えるのは難しいため、家に帰ってから聞き直したり、家族と共有するのに役立ちます。
さらに、自分が不安なときは、信頼できる人に診察に同席してもらうことで、質問を代わりにしてもらったり、聞き漏れを防ぐことができます。医師との大事な話し合いをサポートしてもらうことで、治療方針をしっかり理解し、冷静な判断ができるようになります。
癌が確定するまでの流れ
癌が見つかるきっかけは、「癌診断」、「自覚症状」、「癌以外の病気で通院している時に見つかる」の,3つがおおいでしょう。そういったきっかけで精密検査を受けるわけですが、確定するためには、診察、血液検査、画像検査、病理検査など様々な検査が必要となります。確定診断まではだいたい2週間~1ヶ月はかかるとおもいます。癌は2人に1人はなる時代ですので珍しい病気ではありません。そのため現在の癌の告知のほとんどはあっさりとしたものが多いかもしれません。
出典:静岡県立静岡がんセンター「親ががんになったら読む本」
がんの自覚症状一覧
癌診断で確認が必要な大事な事
癌の確定診断を受ける日は、誰にとっても不安と緊張が伴うものです。しかし、このタイミングで大切な情報をしっかり確認することで、これからの治療方針や生活の見通しが大きく変わってきます。診察時に必ずおさえておきましょう。
確定診断で必ず確認する事、できればもらっておきたいもの
必ず確認する事
できればもらうもの
確定診断された際のストレス
癌の確定診断を受けた直後は、多くの方が強いストレスを感じます。最初は「衝撃」で頭が真っ白になり、そのあと気持ちが不安定になったり、涙が出たり、眠れなくなったりと、心が大きく揺れ動く時期が続きます。
医療の世界では、確定診断後の最初の2週間ほどは、気持ちが落ち込みやすく、不安が強くなったりする時期だと言われています。これは決して“弱いから”ではなく、誰にでも起こる自然な反応です。
時間がたつにつれて、少しずつ気持ちが整理され、治療に向き合う「適応」の状態に移っていきます。大切なのは、この時期に一人で抱え込まないこと。家族や友人、医療スタッフに話を聞いてもらうことで、心が軽くなることも多くあります。
癌の原因とは?
癌の原因というと「生活習慣が悪いのでは?」と考えがちですが、実際にはそうとは限りません。喫煙や飲酒、食生活などがリスクになることは確かですが、ほとんどの癌は生活習慣だけで説明できるものではありません。
出典:国立がんセンター
実は、癌の最大の原因は“偶然”によるものだと分かっています。
細胞が分裂するときに、ごくまれに起こる“エラー(遺伝子の傷)”が積み重なって発生することが多く、誰にでも起こり得る現象です。健康に気をつけている人でも癌になる可能性があるのはこのためです。
また、定期的に検査を受けていても、すべての癌を必ず早期に見つけられるわけではありません。 癌の種類によっては成長が早いものや、検査では見つかりにくい場所にできるものもあります。マメに検査をしていても万全とは言えず、「検査を受ければ絶対安心」というものではありません。
つまり、癌は「生活習慣が悪いから」「自分が悪いから」なる病気ではなく、多くの場合はコントロールできない偶然が関わっています。だからこそ、定期的な検診や早期受診は大切ですが、必要以上に自分を責める必要はありません。
余命宣告は当たるの?生存率は?
余命宣告という言葉を聞くと、とても不安になると思います。しかし、実は余命というのは“正確に当たるもの”ではありません。どれだけ経験のある専門病院でも、予測が当たるのは3人に1人くらいといわれており、多くの方は予測より長く生きることも、体調が変わることもあります。
また、よく聞く5年生存率は、「同じ病気の人がどれくらい生きられたか」という統計の数字で、未来を決めるものではありません。体の強さや治療の効き方、生活環境などは一人ひとり違うため、同じ病気でも経過は大きく変わります。数字にとらわれすぎる必要はありません。
主要な癌の5年生存率
単位=%
出典:国立癌研究センター
癌治療で迷わないため
癌治療は最初が大事
癌の治療では、早期発見をはじめ最初の段階がとても大切です。診断の内容や治療方針について、主治医としっかり話し合い、納得できる形で治療を始めることが重要です。どんな治療を選ぶのかは、これからの生活や体調に大きく関わるため、自分の希望や大切にしたいことを遠慮せずに伝えることが欠かせません。
治療を進めるうえで最も大切なのは、「この治療でいく」と心から納得できることです。そのために、疑問があれば何度でも聞き、必要であればセカンドオピニオンを活用することも選択肢のひとつです。
癌治療はチームで進める時代
今の癌治療は、一人の医師だけで進める時代ではありません。多くの専門家が集まり、チームとして治療方針を考える時代になっています。癌の種類や体の状態に応じて、外科医・内科医・放射線科医、看護師、薬剤師、栄養士、リハビリ専門職、相談支援のスタッフなど、さまざまなプロが力を合わせて支えます。
このように、専門職が連携して治療・生活・心のケアまでを総合的にサポートする仕組みが「チーム医療」です。複数の専門家が話し合うことで、より安全で質の高い治療が選びやすくなり、患者さんの不安や負担を減らすことにもつながります。一人で抱え込まず、チームと一緒に進めていく。それが、今の癌医療の大きな特徴です。
根拠ある医療で後悔しない治療選択を
癌の治療では、根拠のある医療(エビデンスに基づいた医療)をもとに、自分が納得できる治療を選ぶことがとても大切です。治療の良し悪しを決めるのは、周りではなく、ほかでもない 患者さん自身 です。医療は「病気を治すこと」だけが目的ではありません。自分らしい人生を続けるために治療を選ぶという考え方が、今では広く大切にされています。
世界中の研究やデータに裏付けられた治療法があり、それを背景に、主治医と一緒に最適な選択ができます。根拠ある治療をもとに、あなたの価値観や希望をしっかり反映させることで、後悔しない治療選択につながります。
後悔しないための医師とコミュニケーション
癌の治療で後悔しないためには、医師とのコミュニケーションがとても大切です。診察のときには、気になることを遠慮せずに質問できるよう、あらかじめ相談の時間をしっかりとってもらうようお願いすることが役に立ちます。
また、病院には心強い味方がいます。それが、患者さんの気持ちに寄り添ってくれる経験豊富な看護師さんです。医師には聞きづらい内容でも、看護師さんに相談すると整理しやすくなり、医師との話し合いもスムーズになる場合もあります。コミュニケーションを深めることで、医師が考えていることや治療の意図、心の中の本音に近い部分まで理解できるようになります。疑問や不安をそのままにしないことが、納得できる治療選択につながります。
がん治療を受ける場合の質問項目
納得のいく病院で治療を受けるには
納得のいく治療を受けるためには、自分が安心して通える病院を選ぶことがとても大切です。確定診断を受けた病院でそのまま治療を続けなければならない、という決まりはありません。
患者さんには、自分に合った病院を自由に選ぶ権利があります。治療内容や医師との相性、通いやすさなどを考えて、ほかの病院で治療を受けたいと思った場合は、遠慮せず主治医に相談して大丈夫です。医師に転院したい気持ちを伝えれば、必要な紹介状や検査結果を準備してもらえます。あなたが納得して治療を進められる場所を選ぶことが、より良い治療につながります。
迷わずセカンドオピニオンを
癌の治療に迷いがあるときは、セカンドオピニオンを受けることをためらわないでください。まずは、担当医からのファーストオピニオン(最初の説明)をしっかり聞き、診断内容や治療方針をできるだけ理解することが大切です。
そのうえで、ほかの専門医の意見を聞くことで、別の選択肢やより自分に合った治療が見つかることがあります。セカンドオピニオンは、確定診断の直後に受けるのが最も効果的で、治療開始までの大切な時間を最大限に活かすことができます。不安や疑問を抱えたまま治療に進む必要はありません。複数の専門家の意見を聞くことは、より納得できる治療を選ぶための大切な一歩です。
セカンドオピニオンを求める際の4つのポイント
病院選びのチェックポイント
癌の治療を受ける病院を選ぶときには、いくつか大切なポイントがあります。まず、各都道府県には、癌医療の中心となる「癌診療連携拠点病院」が指定されています。専門的な治療体制が整っているため、安心して相談できる場所です。
また、可能であれば、腫瘍内科医(癌治療の総合的な専門医)が在籍している病院を選ぶと安心です。手術・抗癌剤・放射線治療のバランスを見ながら、あなたに合った治療を一緒に考えてくれます。さらに、治療は一度で終わるものではなく、通院が続くことも少なくありません。自分が無理なく通える距離かどうかも、とても大事なポイントです。通いやすい病院を選ぶことで、治療の負担が少なくなり、安心して続けやすくなります。
焦って初期治療の決断をはやまらない
多くの癌は、2〜3週間で急に進行してしまうことは少ないとされています。そのため、必要な検査を受け、治療方針について十分に話し合う時間を取ってかまいません。
また、病院の名前や知名度だけで判断する必要もありません。大切なのは、自分が納得し、信頼して治療を続けられる環境かどうかです。焦らず、一つひとつ確認しながら、自分に合った治療を選ぶ事を心がけましょう。
出典:静岡県立静岡がんセンター「親ががんになったら読む本」
癌治療の基本
「標準治療」ってなに?
「標準治療(ひょうじゅんちりょう)」とは、世界中の研究やデータをもとに、もっとも効果が高く、安全性が確認されている“最善の治療”のことをいいます。これは特別な治療ではなく、科学的根拠に支えられた「ゴールデン・スタンダード(最良の基準)」として、多くの専門医が推奨する治療法です。
標準治療は、しっかりとした根拠があるからこそ、健康保険で受けられる治療として認められています。つまり、効果や安全性が証明されているからこそ、保険適用という形で誰でも受けられるようになっているのです。癌治療にはさまざまな情報がありますが、迷ったときは「標準治療が何か」を知ることが、後悔しない治療を選ぶ大きな目安になります。
癌の三大治療
癌の治療にはさまざまな方法がありますが、基本となるのが「三大治療」と呼ばれるものです。三大治療とは、手術・放射線治療・薬物療法(抗癌剤やホルモン療法など)のことを指します。
癌の種類や広がり方によって、これらの治療は単独で行うことも、組み合わせて行うこともあります。 たとえば、手術の前後に薬物療法を行ったり、放射線と薬物療法を同時に行うケースもあります。
治療の選び方には、「診療ガイドライン」と呼ばれる全国共通の指針があり、その病気に対して最も効果が認められた治療法が示されています。医師はこのガイドラインを参考にしつつ、患者さんの年齢や体力、希望に合わせて最適な治療プランを提案します。
三大治療のメリットとデメリット
ステージで決まる癌医療
癌の治療は、どのステージ(病期)にあるかによって大きく変わります。ステージ1や2の比較的早期の癌では、手術や放射線のような“局所治療”が中心となり、癌がある部分を集中的に治すことができます。
一方で、ステージ3や4、あるいは再発の場合は、体のあちこちに広がっている可能性があるため、“全身治療”が中心になります。全身治療には、抗癌剤・分子標的薬・免疫療法などがあり、体全体に働きかけて癌の進行を抑えます。
また、よく誤解されがちですが、ステージ4=末期癌という意味ではありません。
ステージ4でも、長く病気と付き合いながら治療を続けている方がたくさんいます。治療の選び方や効果は人それぞれで、今はさまざまな薬や治療法が進歩しているため、治療の選択肢も広がっています。
注意が必要な「先進医療」
「先進医療」という言葉を聞くと、最先端で特別に効果の高い治療のように感じるかもしれません。しかし、先進医療には注意が必要です。先進医療は、一定の研究で効果が期待されているものの、まだ信頼性が十分に確立されていない段階の治療です。
受ける前には、効果・リスク・費用について十分に説明を受け、納得して選ぶことが大切です。
実際に、先進医療として研究された治療のうち、科学的な効果がしっかり実証されて保険適用されるのは約6%程度と言われています。つまり、多くの先進医療は「効果が確定している治療ではない」ということです。
また、先進医療は基本的に治療費が全額自己負担となり、費用が高額になることも少なくありません(一部の検査を除く)。
先進医療は、あくまで“将来の可能性”として研究中の治療であり、「必ず効く治療」ではありません。迷ったときは主治医や相談支援センターにも気軽に相談してみてください。
代替医療ってなに?
実は、代替医療にははっきりとした公式の定義がありません。一般的には、漢方、サプリメント、食事療法、マッサージ、鍼灸、アロマなど、通常の医学(標準治療)とは別に行われる療法を指すことが多いとされています。
ただし、これらの代替医療には“治療としての効果が科学的に証明されていない”ことがほとんどです。癌そのものを治す目的で代替医療を選んでしまうと、治療のタイミングを逃す危険があるため注意が必要です。
一方で、代替医療には リラックス効果や睡眠の改善、食欲の増進など“生活の質(QOL)を向上させる可能性” があるため、上手に取り入れることで気持ちが楽になることもあります。大切なのは、代替医療を“治療の中心”にせず、あくまで生活を支える補助として使うことです。利用したい場合は、主治医や看護師に相談して安全を確認しながら進めていくことをおすすめします。
痛みや不安を和らげるための緩和ケアとは?
緩和ケアは、治療をあきらめるものではなく、“よりよく生きるためのケア” です。「終末期のケア」というイメージを持ちやすいですが、本来の緩和ケアは、癌と診断された“その時から”受けてもよい大切なケアです。基本的には担当の医師や看護師から受けますが、必要に応じてさまざまな職種の人がチーム(緩和ケアチーム)となって支えてくれます。
今では、手術・放射線・薬物療法に続く “第4の標準治療” として正式に位置づけられており、癌治療のごく自然な一部として考えられています。また、緩和ケアは「気持ちを楽にするだけのケア」ではありません。痛みや不安を早い段階からしっかりコントロールすることで、延命効果があることも科学的に証明されています。
出典:がん情報サービス
大事な「お金」について
公的制度はとことん活用する
癌の治療や療養には、思っている以上にさまざまな公的な支援制度があります。これらの制度は、申請しなければ受けられない仕組みになっているため、「自分は対象ではないかも…」と思わずに、まずは情報を集めて相談してみることが大切です。公的な経済的支援には、医療費の負担を減らす制度、仕事を休んだときに支えてくれる制度、生活費を助けてくれる制度など、複数の制度が用意されています。 うまく活用することで、治療や生活の不安を大きく減らすことができます。
17歳以下が利用できる公的制度
医療費が高額になったとき
収入に不安があるとき
・身体障害者手帳制度の概要
生活や身体に支障があるとき
18歳~39歳が利用できる公的制度
医療費が高額になったとき
収入に不安があるとき
生活や身体に支障があるとき
・身体障害者手帳制度の概要
- 配偶者(事実婚を含む)
- 父母(養父母を含む)および子(養子を含む)
- 配偶者の父母
- 祖父母、兄弟姉妹および孫
一定の条件下では以下の労働者も介護休暇を取得できません。40歳~69歳が利用できる公的制度
医療費が高額になったとき
収入に不安があるとき
生活や身体に支障があるとき
・身体障害者手帳制度の概要
- 配偶者(事実婚を含む)
- 父母(養父母を含む)および子(養子を含む)
- 配偶者の父母
- 祖父母、兄弟姉妹および孫
一定の条件下では以下の労働者も介護休暇を取得できません。70歳以上が利用できる公的制度
医療費が高額になったとき
収入に不安があるとき
生活や身体に支障があるとき
・身体障害者手帳制度の概要
- 配偶者(事実婚を含む)
- 父母(養父母を含む)および子(養子を含む)
- 配偶者の父母
- 祖父母、兄弟姉妹および孫
一定の条件下では以下の労働者も介護休暇を取得できません。一定額以上はもどってくる高額療養費制度
高額療養費制度は、医療費が高くなってしまったときに、一定額を超えた分があとから戻ってくる公的な制度です。たとえ高額な治療や入院が続いたとしても、払いすぎた医療費が戻る仕組みがあるため、経済的な負担を大きく減らすことができます。
この制度で決められている自己負担額(上限額)は、人それぞれの所得に応じて設定されています。収入が少ない人ほど負担が小さくなるようになっており、誰でも安心して医療を受けられるよう配慮されています。また、医療費を後から戻してもらうだけでなく、事前に「限度額認定証」を申請しておくと、病院や薬局の窓口での支払い自体が最初から軽減される仕組みもあります。治療が続く方にとって、とても便利な制度です。
払い戻しについて
払い戻しは、医療機関等から提出される診療報酬明細書(レセプト)の審査を経て行いますので、診療月から3ヵ月以上かかります。払い戻しまで時間を要するため、医療費の支払いに充てる資金として、高額療養費支給見込額の8割相当額を無利子で貸付する「高額医療費貸付制度」もあります。詳しくは協会けんぽ支部までお問い合せください。
出典:全国健康保険協会
確定申告で費用を取り戻す医療費控除
医療費控除は、1年間に支払った医療費が多かったときに、確定申告をすることで税金の一部が戻ってくる制度です。癌治療や入院などで医療費がかさんだ場合、とても役に立ちます。
基本的には、1年間で10万円を超えた医療費があると申請できます(※所得によっては10万円以下でも申請可)。対象になるのは、治療に必要なお金であれば幅広く認められており、世帯全員の医療費をまとめて合算できるため、家族の医療費も無駄なく使えます。
意外と知られていませんが、入院したときの部屋代(差額ベッド代)や食事代の一部が対象になるケースもあります。 ただし内容によって対象外になるものもあるため、領収書はすべて保管しておくのがおすすめです。
マイナポータル連携を利用して医療費控除が申告する方法
なお、事前にマイナポータルで代理人の設定を行うことにより、申告に含めることが可能なご家族の医療費通知情報をマイナポータル連携で取得することができます。
会社を休職したら傷病手当金
傷病手当金(しょうびょうてあてきん)は、病気やけがで会社を休んで働けなくなったときに、収入を補うための大切な制度です。対象となるのは、健康保険に加入している会社員や公務員で、自営業の方や扶養家族は対象外です。
仕事を休んでお給料が受け取れない期間、健康保険から給料のおよそ3分の2にあたる金額が支給されます。治療が続くと収入が減ってしまう不安がありますが、この制度を使うことで生活を支えることができます。支給される期間は、通算で1年6カ月。休職と復職を繰り返した場合でも、合計で1年6カ月まで受け取ることができます。
提出する書類等
出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)
65歳未満でも障害年金がもらえる
障害年金は「高齢者だけの制度」と思われがちですが、実は 65歳未満でも受け取れる制度 です。癌の治療や後遺症、体力の低下などで日常生活や仕事に大きな支障が出た場合、現役世代でも受給できる可能性があります。
ただし、障害年金は 自動的にもらえるわけではなく、必ず「申請」が必要 です。必要な書類をそろえ、医師の診断書を添えて提出することで審査が行われます。申請の手順はやや複雑なため、社会保険労務士や病院の相談支援センターに相談しながら進めると安心です。
役に立つサイトはココ
がん制度ドック
NPO法人 障害年金支援ネットワーク
CSRプロジェクト
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