東海道新幹線が22日の始発から一部の列車を除いて運転見合わせとなり大きな混乱が発生した。1日36万人(令和4年度)が乗車し、日本の経済や暮らしを支える東西の大動脈が停止したことによる経済的損失は大きい。事故や災害時にバイパスとしての役割を担うリニア中央新幹線の早期開業を求める声も上がる。
東海道新幹線は最高速度285キロメートルで走行し、東京-新大阪間を最短2時間21分で結ぶ。4年度の1年間で1億3100万人と日本の総人口(約1億2000万人)よりも多い数の人を運んだ。
「羽田-大阪(伊丹)の往復する臨時便を2往復分設けたが、予約開始から30分もかからずに満席になった」と全日本空輸の担当者は語る。JR東海によると、東京と大阪を結ぶ新幹線と航空便には10倍を超える輸送能力の差があり、臨時便も焼け石に水だった。
「大都市間の移動にはバイパスが必要だ」と東京都市大学の西山敏樹准教授は指摘する。新幹線の停止はビジネスマンにとって入札ができなかったり、取引が成立しなかったりするケースが出るなど、影響は甚大だ。今回は北陸新幹線を利用し、敦賀経由で迂回するような形で東京-大阪間を何とか移動しようとする人も多かったという。
そうした中、期待されるのがリニアだ。東海道新幹線とは違う内陸側のルートで計画され、大災害などがあった際に大動脈を代替することを最大の目的としている。昨年8月に台風7号による大雨で東海道新幹線が運転見合わせになり、影響は約50万人にも及んだ。これを受け、政府は「災害に強いリニアを早期に開業し、ダブルネットワークを形成することが必要」と打ち出している。(万福博之)