堺市は22日、使用済み食用油(廃食用油)を原料とした「持続可能な航空燃料」(SAF、サフ)の製造推進に向け、関連企業3社と協定を締結した。商業施設などに回収ボックスを設置し、家庭から出る廃食用油を回収。市内に建設中の製造工場で、集めた廃食用油からSAFを製造する。本格的なSAFの製造は国内初といい、来年度初めにも供給が始まる見通し。
日揮ホールディングス、コスモ石油、レボインターナショナルの3社と協定を締結。イオンモール堺鉄砲町(同市堺区)で行われた締結式で、永藤英機市長は「ものの始まり何でも堺、といわれる堺市で国内唯一の先進的なプラントでSAFが生産されることは大変意義深い。皆さんの協力で持続可能な社会を作り上げたい」とあいさつした。
SAFは廃食用油やサトウキビ、古紙などから精製される航空燃料。化石燃料と比べて二酸化炭素の排出量を削減できるとされる。脱炭素の観点から世界的に注目されており、国は令和12年に国内航空機の燃料使用量の10%をSAFにする目標を掲げている。
この日、イオンモール堺鉄砲町に回収ボックスを設置。来年1月中旬には、堺北花田(同市北区)▽藤井寺ショッピングセンター(大阪府藤井寺市)▽りんくう泉南(同府泉南市)▽日根野(同府泉佐野市)-の各イオンにも回収ボックスを設置し、以降も増やす方針。
家庭で植物性の油を使用した後、天ぷらかすなどを取り除いてペットボトルに入れ、回収ボックスに持ち込む。集まった廃食用油は、コスモ石油堺製油所(同市西区)内に建設中の工場でSAFの製造に使われる。ラードなど動物性の廃食用油や事業所から出るものは受け付けない。
堺市が廃食用油の回収に取り組むのは初めて。市は、年間約27トンの回収を見込んでいる。廃食用油を回収ボックスに持ち込むと、プレゼント抽選などに応募できる「堺エコライフポイント」がもらえる。(中野謙二)