■地上で5年後に実用化か
宇宙空間で太陽光から作り出した電力を電波で地球に送り届ける「宇宙太陽光発電」の地上実験に、三菱重工業などが相次いで成功した。実用化の目標時期は遠い先だが、この技術を地上で応用する「無線送電」は5年程度で実現しそうだ。(伊藤壽一郎)
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◆10倍の高効率
宇宙太陽光発電は、地球で太陽に最も近い赤道の上空約3万6千キロの静止軌道に、約2・5キロメートル四方の巨大な太陽電池パネルを備えた発電衛星を設置し、原発1基分に相当する100万キロワットを発電する壮大な構想だ。
生み出した電力は、電子レンジなどにも使われている波長がごく短いマイクロ波という電波に変換し、無線で地上に送信。地上で電力に再変換して利用する。経済産業省が中心になって研究開発を進めており、2040年代の実用化を見込んでいる。
わざわざ宇宙空間で発電する理由について、宇宙システム開発利用推進機構の中村修治担当部長は「太陽光エネルギーを、地上の約10倍もの高効率で利用できるからだ」と説明する。