商品やサービスが一定期間、定額で使い放題になる「サブスクリプション(サブスク)」型のビジネスが広がっている。デジタル分野だけでなく美容室や飲食店などでも取り入れられ、さらに市場規模が広がるとの見方もある。一方で定額期間終了後に料金が急に値上げされるなどするケースもあり、利用者は注意が必要だ。(橋本昌宗)
東京・銀座に5月オープンした美容室「ジェットセット銀座」では、同じ月の間なら何度も髪のセットやシャンプーなどが受けられる定額プランを導入。1回20~45分で料金は月1万6000~2万3000円。基本的に髪染めやカットはしない。日本では珍しい営業形態だ。
「忙しいと髪のケアに時間や手間をかけられないが、普通の美容室に行けば毎回数千円以上かかる。いつでも行けるお店がほしかった」。オーナーのジュリア・スポッツウッドさんは導入の理由をこう話す。ヘッドマッサージ付きのコースもあり、「働く女性や子育て世代のママに気軽に立ち寄ってほしい」とPRする。
サブスクは元々、音楽や映像、電子書籍など、インターネット配信事業で主流だったサービスだ。化粧品のサンプル提供やブランドバッグのレンタル、スタイリストが選んだ洋服のレンタルなど、最近では美容・ファッション業界が積極的だが、飲食業界でも取り入れられるようになった。
キリンビールでは毎月2回、工場から家庭にビールを届ける事業を展開。定額でコーヒー飲み放題のカフェ、毎日1杯ラーメンが食べられるラーメン店なども出てきた。元を取るにはある程度の利用頻度が必要だが、店側にとっては「常連客」を囲い込むことで収入のメドが立ちやすくなるメリットがある。