100年以上にわたり、栃木県の佐野市立植野小学校(同市植上町)の児童を見守ってきた同校のシンボル、スズカケノキが来月、伐採されることが決まった。樹木医が樹勢回復作業を続けてきたが、幹に大きな空洞が見つかり、倒木の危険もあるためだ。栃木県の名木百選に選ばれ、地域住民に長年親しまれてきた大木がその長〜い歴史を閉じる。
スズカケノキは、卒業生の大朏(おおつき)新吉が大正3(1914)年、大正天皇即位を記念して母校に寄贈したもので、大朏は東大卒業後、営林署に勤務し、当時25歳だった。スズカケノキは欧州南東部からアジア西部が原産の落葉広葉樹で、日本に入ったのは明治初年。当時、佐野ではほとんど目にすることがない珍しい樹木だった。和名は、果実が鈴に似ていることから付けられ、学名はプラタナス。
寄贈された樹木は直径約15センチで、児童が荷車で運び、校庭南側に植樹。その後、校庭の拡張に伴い、現在の校庭中央に移された。