【2024年最新版】MA(マーケティングオートメーション)のシェア|トップ5製品を比較・解説
更新日:2024-10-11 公開日:2020-01-21 by SEデザイン編集部
日本でもマーケティングオートメーション(MA)の概念が浸透し、導入が促進されています。従来の一方的な電話セールスやメール配信は顧客の反応が悪く、非効率であるとの認識が広まってきたためです。代わって、顧客の関心に応じたコンテンツを通してリードを獲得し、さらに育成したうえで、適切な方法でアプローチするという手法が注目されるようになりました。
こうしたなかで、リード獲得からリードナーチャリング、営業への引き継ぎまでのマーケティング業務を効率化・自動化するマーケティングオートメーションツールの導入が進んでいます。マーケティング担当者の業務効率向上と企業の売り上げアップに寄与するため、投資すべき施策の一つといえるでしょう。そこで今回は、マーケティングオートメーションツールの国内トップシェアの5製品を解説します。
MAツールのシェアランキングと各ツールの比較
株式会社 DataSignが提供する「Webサービス調査レポート 2023年12月度」の中で、「Webサービス調査150,781サイトで検出されたマーケティングオートメーション TOP 44」が発表されました。その上位10サービスは以下のとおりです。
- BowNow
- Marketing Cloud Account Engagement
- HubSpot
- Adobe Marketo Engage
- SATORI
- List Finder
- Kairos3 MA
- KASIKA
- B-dash
- SHANON MARKETING
参照元: https://www.datanyze.com/market-share/marketing-automation/
国内で導入数が多い1〜5位のマーケティングオートメーションツールについて、それぞれ概要を説明します。
1.BowNow(バウナウ)
BowNowは、日本のクラウドサーカス株式会社が開発したマーケティングオートメーションツールです。直感的に使えるよう設計されているため、初心者でもデジタルマーケティングの効率化や、見込み客の獲得から育成までの自動化に取り組めます。
企業情報の分析やアクセスログ解析、フォーム作成、リスト作成、レポート出力、メール配信といった基本機能が、フリープランから無料で利用可能です。ユーザー行動に基づき、パーソナライズされたコミュニケーションを実践でき、コンバージョン率の向上に寄与します。低コストながら豊富な機能を兼ね備え、日本のビジネス環境で使いやすく設計されています。
BowNowの最大の特徴は「始めやすさ」です。マーケティングオートメーションは、要件定義や運用体制、ルールの取り決めなどの事前準備に数ヶ月かかることがあります。ベンダーサポートやコンサルティングを受けなければ、運用開始までに手間取るケースも少なくありません。BowNowなら、用意されたテンプレートに沿うことでスピーディに体制づくりができ、導入初月からでも運用を始められます。
お試しで使用感を確かめられるフリープランでは、月額0円でリード数は100まで、1ヶ月間のみ企業解析や個人解析ができます。上限はありますがメール配信も可能です。エントリープランも月額15,000円(税別)で、小規模事業者にも導入しやすい価格設定となっています。ノーコードLPやチャットボットの作成、SalesCloud連携、kintone連携といった高度な機能を利用したい場合は、資料をダウンロードすることでプランごとの料金を確認できます。
■価格:月額0円〜
2.Marketing Cloud Account Engagement(旧Salesforce Pardot)
Marketing Cloud Account Engagementは、マーケティング部門と営業の連携を可能にするマーケティングオートメーションツールです。見込み顧客を発掘する、引き合いを増やす、一人ひとりに合わせたカスタマイズメールを送る、マーケティング投資対効果の可視化といった一連の業務を行うことができます。Growth、Plus、Advanced、Premiumの4つの料金プランが用意されており、中小企業から大企業までを対象にしています。
Marketing Cloud Account Engagement の主要な機能は、ランディングページや入力フォームをカスタマイズできる作成ツールやABテストツール、Googleリスティング広告と連動させて見込み顧客を追跡するトラッキングツールなどです。さらに、リードジェネレーション(見込み顧客育成)ツールや、アカウントベースの分析ツール、AIスコアリング、フルファネル測定といったBtoBマーケティングに役立つ機能があり、有望な見込み顧客を営業チームに引き渡すことができます。カスタマイズメールでは、見込み顧客のスコア、業界、役職などに基づいて、顧客ごとに特化したメールを動的に生成し、メールの開封率を向上します。
また、メールやランディングページなど、それぞれの施策に対するマーケティング投資対効果(ROI)の分析も可能です。営業サイクルの全体像を評価して、プロセスのボトルネックを明らかにするライフサイクルレポートの機能もあります。
■価格:月額150,000円(税別・年間契約)〜
3.HubSpot(ハブスポット)
HubSpotは、同社が提唱するインバウンドマーケティングの概念をベースに開発された製品で、Webサイトの集客からリード獲得、リードナーチャリングまで、マーケティングファネル全体を統合して管理できます。
SEOやブログ機能により、コンテンツの作成を支援することに加え、豊富なメールテンプレート、ランディングページテンプレートなども用意されています。世界120ヶ国以上でサービスを展開しており、導入企業は19万4,000社以上です。おもに中小企業を対象にした製品として開発されていますが、大企業での導入実績もあります。
獲得したリードに対しては、Eメールキャンペーンやパーソナライズしたコンテンツを提示して、育成できます。たとえば、ユーザーの行動(資料ダウンロードなど)をトリガーにしたメール配信なども可能です。リード情報は購入意欲などの条件によってスコアリングできるので、適切なターゲットに効率的にアプローチすることができます。さらに、顧客管理を行う「HubSpot CRM」、営業支援を行う「HubSpot Sales Hub」を使えば、1つのプラットフォームでマーケティングとセールスを連携できて便利です。
また、HubSpotによって、リードがどのコンテンツを閲覧したか、カスタマージャーニーのどこにいるのかといった情報も可視化されます。それらの情報を踏まえて、HubSpot CRMでメールの送信やミーティングの予約、電話の発信といったアクションの実施、およびアクションの記録が可能です。マーケティング施策による獲得リード件数、顧客化件数などを確認できるため、マーケティングとセールスプロセス全体のROIを把握するのに役立ちます。
■価格:月額無料〜
HubSpotについてもっと詳しく知る HubSpotのソリューションパートナーであるSEデザインが、実際のHubSpotの画面を共有しながら使い方を分かりやすく解説します。
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4.Adobe Marketo Engage
Adobe Marketo Engageは、世界で5,000社が採用しているマーケティングオートメーションツールで、リードナーチャリング、スコアリング、マーケティングROI解析などマーケティングに関するあらゆる機能を集約した製品です。グローバル展開する大企業から中小企業まで、BtoB、BtoC、業種・業態に関わらず使われており、メール配信、Web広告、Webサイト、モバイルまで1つのプラットフォームで統一したメッセージを発信できます。
SEOに対応したランディングページの作成、高機能な入力フォームの作成、検索トラフィックを増やすSEOツール、行動データを基にした広告配信、Webサイトのコンテンツのパーソナライズなどで集客を支援します。リードに対しては、一斉配信のほか、ユーザーの行動をトリガーにしたメール配信にも対応しており、顧客の関心度に応じてパーソナライズされた広告をマルチチャネルで配信可能です。リード情報をスコアリングし、購入意欲の高い顧客を特定するので、営業の効率化が期待できます。
さらに、マーケティングのキャンペーンのスケジュールの計画、調整、共有ができる機能、マーケティングのROI分析などの機能も充実し、営業とマーケティングの連携強化に適したツールです。Adobe Marketo Engageには、機能範囲の異なる4つのパッケージ(Growth、Select、Prime、Ultimate)が用意されており、価格は見積相談フォームから問い合わせできます。
■価格:要問合せ
5.SATORI
SATORIは、SATORI株式会社が提供する国産マーケティングオートメーションツールで、1500社以上の導入実績があります。データベースの設計や導入作業が必要ないため、即日運用が可能です。シンプルな操作でマーケティング初心者にも使いやすく、無料セミナーや専門スタッフによるサポートも受けられます。
自社サイトにアクセスした見込み客のうち、問い合わせ前の匿名顧客にもアプローチできるのがSATORIの特徴です。問い合わせのあった実名の見込み客以外にも、ビジネスチャンスを広げられます。アクセスがあった企業の情報(IPアドレスや企業名など)を収集し、リスト化やセグメント化する機能が便利です。
見込み客にアクションを促すための機能も用意されています。たとえば、自社サイト訪問の一定期間後にブラウザ上でプッシュ通知を表示して、再アクセスを促進することができます。また、再訪した見込み客に、ポップアップ表示やパーソナライズされたバナーなどでCVページへの誘導をするといった機能も効果的です。外部ツールとも連携でき、「Sales Cloud」「kintone」「Sansan」でSATORI内のカスタマー情報を活用できます。
SATORIの料金は、初期費用30万円(税別)と月額費用14万8,000円(税別)がかかります。ただし、月額費用は年間契約での支払いです。料金プランは1種類だけで、使用状況によっては従量課金が発生する場合があります。
■価格:初期費用30万円(税別)、月額14万8,000円(税別・年間契約)
MAを導入する際の3つのポイント
MAツールを有効に活用できれば、マーケティング業務の効率化と売り上げの最大化が見込めます。ただし、導入にあたっては、十分な事前準備とシミュレーションが必要です。ここでは、MAを導入する際の3つのポイントについて解説します。
戦略、設計を明確に行う
MAツールを最大限に活用するには、マーケティング全体の戦略と設計を明確にする必要があります。まず、以下の4項目を確認しましょう。
1)マーケティング戦略の決定
売上目標やリード獲得目標など、具体的な目標を設定します。自社の製品・サービスの強み・弱み、ニーズ分析を踏まえ、目標達成のためにMAツールをどのように活用するのか、
どんな施策が有効なのか、戦略を練ることが重要です。
2)MAツールの選定と設計
目的と戦略に適した機能を持つMAツールを選定し、導入します。最初にマニュアルに従ってツールの設定を行います。設定が心配な場合は、導入サポートを明記しているベンダーを選ぶとよいでしょう。
3)シナリオ設計
顧客の購買プロセスを分析し、各ステージにおける最適なアプローチ方法を検討します。メール配信、リードナーチャリング、スコアリングといったMAツールの機能を活用すれば、効果的なシナリオ設計が可能です。
費用対効果を比較する
MAツールごとに機能が異なり、価格もさまざまです。導入前によく比較検討し、マーケティング戦略の費用対効果を高めるツールを選びましょう。
1)費用
各MAツールの初期費用(導入費用)や月額費用、従量課金の有無などを比較します。後の項目で紹介する「機能性」「連携性」「サポート体制」と、費用が見合っているかを判断します。
2)機能性
コンテンツ作成やメール配信、スコアリング、CRMなど、自社の目標達成や課題解決に求められる機能が使えるかをチェックします。同様の機能でもツールによって使い勝手が違うため、各ベンダーから資料を取得して比較することが大切です。
3)連携性
既存の社内システムやWebツールとの連携が可能かどうかも重要です。そのままデータ連携ができれば、より効率的な運用が可能となります。
4)サポート体制
MAツールの導入サポートやアフターフォローが受けられるか確認しておきましょう。無料セミナーや運用支援を行っているベンダーもあります。
自社のフロー・体制に合っているか入念に検討する
MAツールは、自社のマーケティングフローや各部門の体制に合致していることが重要です。導入前に以下の点をチェックしましょう。
1)体制・現状の把握
マーケティングの業務フローを点検し、現状を把握します。人員配置やスキルレベル、予算といったマーケティングチームの体制を確認したうえで、規模感に合ったMAツールもしくはプランを選択します。
2)他部署との連携、情報共有
MAツールの導入にあたって、営業部門や顧客管理部門との連携体制を構築します。顧客データを共有することで、異なる部門に渡っても一貫性のある顧客体験を提供できます。
3)担当者の知識
MAツールの運用担当者には、相応の知識とスキルが必要です。使い方を習熟できていない場合には、ベンダーの提供するマニュアルや運用実践例などの資料、セミナー、勉強会、市販の書籍などで学習できます。
BtoB企業にはHubSpotがおすすめ
BtoB向けのMAツールとして、次の4つの理由からHubSpotをおすすめします。
- 無料プランから選べる価格体系
- 直感的なインターフェース
- オールインワンプラットフォーム
- 豊富なテンプレート
無料プランから選べる価格体系
HubSpotはCRMをはじめとして、メールマーケティングやランディングページの作成など、無料プランでも多くの機能が利用できます。無料プランからHubSpotを試してみて、必要に応じて段階的に上位プランへアップグレードしていくことが可能です。
直感的なインターフェース
HubSpotは直感的なインターフェースにより、専門知識がないユーザーでも使いやすい設計です。マーケティングリソースが限られている小規模事業者でも、効率的に利用できます。
オールインワンプラットフォーム
HubSpotは、マーケティング、セールス、カスタマーサービスを統合するプラットフォームです。顧客関係を一元的に管理することで、データのシームレスな流れを確保します。多くの機能がHubSpotに集約されていると同時に、拡張性や外部連携にも優れています。
豊富なテンプレート
Webページやランディングページ、メールなどの多様なテンプレートが用意されています。文章やデザインの作成時間を短縮し、高品質なコンテンツをスピーディに顧客へ届けることができます。
HubSpotについてもっと詳しく知る HubSpotのソリューションパートナーであるSEデザインが、実際のHubSpotの画面を共有しながら使い方を分かりやすく解説します。
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まとめ:自社に適したMAツールを選ぼう
今回は、日本語のインタフェース、日本語でのサポートに対応している海外のマーケティングオートメーションツールを紹介しました。
大きく見れば、どのツールでもリード獲得のためのランディングページ制作、フォーム制作、獲得したリード育成のためのメール配信、リードのスコアリング、コンテンツのパーソナライズ、施策の分析などの機能は備えています。
しかし、細かく見るとカバーしている機能や実現方式、実装方式、使いやすさ、価格などが異なります。自社で導入する際には、それぞれのデモを見たり、問い合わせをしたりして自社の要件を伝え、実現可能かどうかよく相談するとよいでしょう。使いたいツールとの連携、教育コスト、導入後のサポートなどもよく確認しておくことをお勧めします。