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鮨 奈可久 星野/新潟


今回の旅行は突発的なもの、すなわち新幹線に乗り込む10時間程前に決定したのであり、自宅にはガイドブックすらない状態でした。
慌てて食べログで新潟市内のレストランを検索し、最も評価の高かった当店を選択。なんとか予約できましたが、入店してみると満席であり、席によっては2回転していました。
ビールはアサヒのプレミアム生ビール熟撰。その名の通り熟成感があり、コクがあって美味しいです。
お通しに煮ダコ。煮詰められているとは考えられないほどの柔らかさ。味付けはもとより、タコそのものに味があります。ランチの煮ダコとは雲泥の差です。
ヒラメ、中トロ、アオヤギ。無難に美味しいです。ただし何となく無表情というか、新潟に来て地の物を食べているという感動に乏しい。もちろんマグロは築地からのものなのかもしれませんが。
真鯛はおろし煮で。これはいいですね、厚く味の濃い真鯛にたっぷりの大根おろしと出汁。脊髄反射で誰もが美味しいと感じる一皿でしょう。
鶴齢の大吟醸。美山錦(お米の種類)の酒であり、極めて柔らかな口あたり。香りが豊かでコクと甘味のバランスが良い。大好きなお酒です。

が、1合で1,600円は高すぎ。ワインの値付けは結構安いのに(ケンゾーのあさつゆが13,500円)なぜか日本酒は割高。酒を持つ手を緩めた瞬間です。
ホタルイカ。裏側にはおじゃこがたっぷり隠れています。美味しいですが、質の良いスーパーや百貨店で買うそれとは大差なし。
ガリは酸味と甘味が極めて強い。これだけで充分に酒のアテとなります。個人的にはもう少し厚みのあるスライスが好き。
水菜のおひたし。これも悪くはないのですが、大戸屋のお惣菜と比べて大きな違いがあるかというと、うーん。
にぎりに入ります。アオリイカ、これは旨い。どんな感動を抱いたかを思わず語りたくなる味わいです。カンパチも脂がのって胃腸が踊る。ううむ、当店はにぎりの店かもしれないぞ。ただし大将が握って出してくれるのではなく、遠くで握ったものをお弟子さんが運んで置いて行く形なので中々気分が上がらない。
マダイの昆布締め。おろし煮と全く方向性の異なる調理であり今後の展開に確かな希望を抱かせてくれました。ヅケはとにかくマグロの味が濃く、品の良い味付けと相俟って思わず笑みがこぼれます。
茶碗蒸しには桜えびと白魚がたっぷり。出汁の味が濃く、直線的でわかり易い一品。私はすごく好きな味。
味の濃いものが続いたので八海山の本醸造を。これだと1合700円なので気楽に飲めます。
コハダはビリっと酢がきいており、茶碗蒸しと同じくわかり易い。赤貝は見るからに新鮮で期待できたのですが、口に含むと思ったよりも印象に残らず。
イクラとウニは標準的。あまり哲学が見えず、みんな好きだからとりあえず出しておこう的な印象を受けました。
たくあんに浅漬け。たくあんが絶品。もっともっと大量サイズをフォークとナイフで切って食べたいほどのクオリティ。
サヨリは非常に凝ってはいるのですが、その見た目とは裏腹に簡素な味わいでイマイチ。車海老は美味しいのですが、もう少し大きな個体のほうが私は好きです。
煮ハマグリが素晴らしい。あつぼったい身になまめかしいタレ。今回の食事において最も咀嚼回数が多い一品です。中トロもお見事。たまたまかもしれませんが、当店はマグロが素晴らしいですね。
アナゴは掴むだけでホロリと崩れるほどの柔らかさ。少し炙って香りを引き立たせる一手間が好印象でした。玉子は中途半端。思い切りスイーツ側に寄せるか、いわゆるギョクで通すのかの中道を行く印象を受けました。
お椀はたっぷりの海藻。あまりに海藻が多く、人に拠ってはグロテスクに捉える方もいるかもしれません。
デザートは投げやりです。特徴のない抹茶アイスに黒蜜をたらしただけ。これなら季節のフルーツを切って出すだけでいいのに。

間違いなく美味しいのですが、記憶に残らない食事でした。産地に拘った素材を駆使しているという印象に乏しく、創造性溢れる組み合わせも見えない。マグロが一番美味しいというのは東京の客としては残念なところです。

また、客層が私には合わなかったです。一番の常連が大声で話し、その方が帰られたら次の常連が大声で話し始めるなど、客同士のマウンティングが見え隠れ。常連でない場合はカウンターよりも小上がりのほうが落ち着くかもしれません。


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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。

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