南青山「よろにく」の高級ライン「蕃 YORONIKU（えびす よろにく）」。食べログでは4.21（2020年4月）と高得点、シルバーメダルも獲得し百名店入りしています。その他の系列としては赤坂「みすじ」、末広町「生粋（ナマイキ）」など、焼肉業界の一大勢力と言えるでしょう。
恵比寿駅から徒歩数分にある飲食店ビル「GEMS（ジェムズ）」の最上階に位置します。19:30に予約を入れており、19:21に到着したのですが、「えっ？19:30のご予約ですよね？」と、私を非難するような口調が気になりました。こういう店は、まあ、つまり、そういうことである。
店内はボックスシートと個室のみであり、ある程度ゲストのプライバシーが守られています（写真は公式ウェブサイトより）。焼肉と言えど調理は全て店員にお任せ。したがって各テーブルにひとりづつバイトが貼り付くこととなり、席数に比して異常に店員がワラワラいるなあという印象を受けました。密です。
お通しに豆腐。出汁の旨味が強く悪くない味覚です。ただ、客単価1万円を超えるレストランのお通しで数百円のお通し代を請求するのは心が貧しく感じました。
8,500円のお肉中心のコースを注文。冷製盛り合せとしてセンマイ、ヒレ炙り、ユッケが到着。センマイは臭味はありませんがコクもなく無味無臭。ヒレ炙りは悪くないのですが、肉を持ち上げた瞬間に光の速さで皿が下げられ、薬味を楽しむ機会を逸しました。
ユッケはイケメンの店員が厳かにバゲットを炙ったのち盛り付けてくれます。脂たっぷりで芳醇な味わい。フランスで食べるタルタルステーキとは芸風が異なり、脂を楽しむ味覚です。
右からネギタン、上タン、ハラミ。そうそう、当店の肉は高級和牛の卸「日山」から仕入れているそうです。調理は全て店員が対応してくれ、我々の担当は二十歳そこそこのイケメン君です。
ちなみに再び薬味を光の速さで下げられそうになったので、連れが「あっ！待って！まだ食べる！」と声を上げると、イケメン君は驚愕の表情を浮かべました。
シンシンとツチノコ。ツチノコとは腰の内側の部分であり、ツチノコのようにレアなためそのように名付けられたそうです。いずれも肉としては悪くないのですが、単に柔らかいだけという指摘もある。
箸休め（？）にお椀。俺のタンを茹でる気かと思うほど温度が高く、この温度帯できちんと味を判別できるのかどうかは疑問。
シャトーブリアンにシルクロース。
シャトーブリアンもツチノコに負けない希少部位。唇で押さえつけると裂けるほど柔らかい。
スペシャリテのシルクロース。絹のようにスライスされた肉をサっと網で炙り、一口サイズのゴハンに包んで食べます。絹のようにとは良く言ったものでコンドームのような薄さでもあり、なるほど確かに美味しいのですが、はっきりいって食べ応えはありません。
続いてサーロインにザブトン。
サーロインは珍しいカットであり、エリンギのような外観が面白い。今回は薬味を取り上げられないよう、店員からめちゃくちゃ遠い位置で食べるよう心掛けました。
ザブトンはタレをたっぷりつけるよう指導され、卵黄と共にすき焼き風に。これも美味しいのですが、繊細さからはかけ離れた食べ物であり、果たしてこの立地この従業員たちに囲まれて食べる必要があるものかと思い悩んでしまいます。
途中から何だか悔しくなり、連れと共にビールを1杯づつしか飲まなかったのですが、最終的な支払金額はひとりあたり1.2万円でした。うおー、この店はマジでやばたにえんですね。現在はマジャパヒト王国のように勢力を保っているかもしれませんが、数年後には存在しないだろうなというお店の典型です。作者不詳の料理（？）が延々と続き、主題である肉も柔らかいだけで特長がなく、歯が弱くなった高齢者がそれでも焼肉を食べたいといった状況にしか用途が思いつきません。
客単価の割にサービススタッフはバイトばかり。それでもその内部統制は北朝鮮並であり徹頭徹尾クオーツのように四角四面な対応です。マニュアルを完璧にこなしていることは伝わるのですが遊びが無い。美男美女を取り揃えているのは流石の一言ですが、焼肉屋で性をマネタイズする必要はあるのかという違和感はとても強い。それにしてもこの女の子かわいいな。時給2,000円払うからウチでゴロゴロしててくんないかな。
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それほど焼肉は好きなジャンルではないのですが、行く機会は多いです。有名店で、良かった順に並べてみました。
そうそう、肉と言えばこの本に焼肉担当として私のコメントが載っています。私はコンテンポラリーフレンチやイノベーティブあたりが得意分野のつもりだったのですが、まあ、自分の評価よりも他人の評価が全てです。お時間のある方はご覧になってみて下さい。
