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villa del nido(ヴィッラ デル ニード)/島原(長崎)

長崎県は島原半島の北、サッカー強豪の国見高校の近くにある「villa del nido(ヴィッラ デル ニード)」。ビニールハウスが並ぶ農園の中にポツンと意思を感じる佇まい。ミシュラン1ツ星を獲得しており、食べログでは4.00(2021年2月)と高評価を得ています。
温かみが感じられる素敵な内装。スタイリッシュではあるものの、親しみやすい色合いの木や円みのある家具を多用しており居心地が良い。無印良品の家のレストラン版のような雰囲気です。

吉田貴文シェフは雲仙市生まれ。福岡で料理人としてのキャリアをスタートさせ、イタリアで腕を磨き、2015年に当店を開業。ランチは12時一斉スタート、ディナーは19時一斉スタートで各回10席マックスぐらいかな。
私は運転があるので自家製のジュースを。ジンジャーエールやお庭になる果物(この日はタンカン)を用いたサイダーなど、きちんと手間がかかっていて嬉しい。1杯500~600円というのも良心的。ワインだと8杯ペアリングで1万円とかそんなだった気がします。
さっそくフォカッチャがやって来ました。地元の小麦粉と湧き水を用いたものでありシミジミ旨い。そう、当店は地元島原の食材の旬を志向するイタリアンレストランなのです。
アミューズは原木のシイタケにイカ。シイタケはシャラっと揚げており香ばしい香りが沸き立ちます。透き通るような味わいのイカもお見事。
地元のヒラメを紅芯大根で包みます。ジャガイモやら豆乳やら麹やらとかなりややこしい料理なのですが味覚が上手く一体化しています。葉ニンニクの風味が爽快なアクセント。
キジハタとクルマエビ、チンゲン菜にフキノトウを豚の網脂で包み、バリっと油で揚げました。うひょー、これは美味しいですねえ。魚の淡泊な味わいに海老で旨味と甘みを補強し、豚の脂でコクをガッチリ固めます。脳に残る味わい。本日一番のお皿でした。
牡蠣は身とスープの2段階発射方式。ぷっくりと太った部分がミルキーで美味。ヒモなどのビラビラな部分はスープに仕立てて外観のグロさは消え去り、旨味のみが弾けます。料理の醍醐味である。
パスタではなく地元のプレミアム素麺。何でも世界一細い麺だそうで、その隙間にワタリガニの身を組み込み、トップに内子をあしらいます。麺からはオリーブオイルの派手な香りが感じられ、正直何料理かわかりませんが、ジャンル分けを超越した楽しさがあるひと皿です。
こちらはリゾット。在来米の朝日を用いているそうで(在来米の朝日が何かは知らない)、米の味が力強い。芝海老の旨味と食感も同時並行で愉しむことができ、ファサっとクミンを振りかけるあたりセンスを感じました。
ラビオリには自家製のフロマージュブランにイリコ(だっけ?)を詰め、軽く炙ったハードチーズ(なんだっけ?)をあしらいます。イリコが海の旨さを凝縮して刺すような旨味。器に伊万里をもって来るのが面白い。
お口直しに特大のイチゴ。当店からすぐそこの、シェフお友達の農園の朝摘みのもの。香り高く瑞々しく、とにかく新鮮。「かたわらイチゴ」としてブランド化されており、なんでもその農園で採れるトップ0.01パーの品質だそうで、イチゴ界の東大理三の美味しさです。
メインは地元のラム。ラムらしいミルキーな獣臭さが食欲をそそります。備え付けの有機白菜も清澄な美味しさ。シンプルな料理ですが記憶に残る味わいでした。
デザートはショートケーキ。醗酵クリーム由来のコッテリとした酸味が美味。また、スポンジって口の中の水分が全部持っていかれることが美味しいですが、当店のそれは謎にしっとりとしており、口の中がモイスチャーに保たれました。
食後のコーヒーは寺門さんという達人が焙煎したもの。綺麗な酸味が心地よい品の良い逸品です。
酒を飲まなかったのでお会計はひとりあたり1万円と少しに着地。わーお、これはナイスな費用対効果です。食事の美味しさはもちろん、皿出しのテンポも良く、それでいて肩ひじを張っていないシェフの身のこなしも好印象。近くの話題店「pesceco(ペシコ)」に比べると、断然に大人の余裕を感じるお店です。次回はワインペアリングでお邪魔したいのですが、運転がなあ。運転ができて酒が飲めなくて島原まで一緒に来てくれる人いないかなあ。

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