もうすでに乗り遅れている感がありますが、先日、京大卒で専業主婦になった人が周りからもったいないと言われて落ち込んでいるというブログが話題になっていました。
賛否両論(主に賛)いろいろな意見が出ていますが、個人的には自分の人生だし好きにしたらいいんじゃないの? の一言に尽きます。一昨日はそう思い、そっとはてブを閉じてしまいました。
すると、翌日(つまり昨日)、以前働いていた会社で同期だった京大卒A君(理系院卒)から一通のLINEが。「今日、名古屋出張だから夜飲まない?」
急なLINEにもすぐさま「いいよ!」と返信する僕。返信ボタンを押したときは既にこの記事のタイトルが頭に浮かんでいました。許せA!
(面倒くさがりの僕はおそらくこの誘いも普段は断っていたでしょう。)
そんなわけで、当事者である京大生(専業主婦ではないので当事者ではない気もするが・・・)が、今回の話題についてどう思っているのか? お酒を飲みながら直接聞いてみることにしました。(もちろん、ブログに載せることは最初に説明して了承を貰っています。)
Aとの会話
乾杯後しばらく近況を話し合う二人。(このときはまだブログに載ることを知らず陽気な友人A。)
Q. ところで、昨日から京大卒専業主婦の人のはてぶがすごいことになってるの知ってる?
A. あー、なってるね。なんであんなに火がついてるのか分からないけど・・・。
Q. ちなみに、あれ見てAはどう思った?
A. そもそも京大生にとって「もったいない」は褒め言葉だからなんでそんなに悲しんでるのか分からなかった。ある意味才能があると思われてるってことでしょ?
Q. もったいないって褒め言葉なの?
A. うん、だって、文化祭のテーマに「溢れる才能の無駄遣い」とか選んじゃうようなメンタリティだよ?
↑2006年度の文化祭統一テーマの看板↑
Q. (笑)今回は、社会貢献できる能力があるのにしないことに対して問題視されてたみたいだけど、それについてはどう思う?
A. いやいやいや! そもそも社会貢献できる京大生自体稀だから。ってか、普段は「高学歴は勉強しかできないし、プライド高いだけだから使えない」みたいなことばっかり言ってて、こういう時だけノブレスオブリージュみたいなことを言うのってダブスタもいいところでしょ!!!
Q. たぶん、はてなの人はみんな高学歴だから、高学歴ディスってる人とは層が違うと思うけど・・・。ちなみに、「社会貢献できる京大生が稀」っていうのはなんで? ノーベル賞とか取ったりしてるよね。
A. 京大に入って先輩に言われたのが、「京大は1人の天才と99人の廃人を生む」っていう言葉で、まぁ、実際過ごして思ったけど、教育機関としてはかなり微妙だと思うよ。松本総長に代わってからだいぶ真面目になったって聞くけど、それまでは、つまり俺の代ぐらいまでは全体的にゆるゆる。単位も、阪大は地面に埋まっていて、神大は地面に落ちていて、京大は空から降ってくるなんて言われてたし。ちなみに、神大と京大の差は、腰を曲げて手を伸ばして拾わないといけないか、手を出してぼーっとしてるだけで勝手に手の中に落ちてくるかの差ね。そんな状態でも手を出すのがめんどくさいといって留年してるやつはたくさんいたけど。(笑)
Q. うらやましすぎる。他にはなんか面白エピソードとかないの?
A. うーん・・・ 例えば京大らしいなと思ったのが、初回の授業で「授業に来る暇があれば図書館で勉強してなさい。勉強して分からなくなった人だけが授業に来なさい」と教授に言われたり、生体人類学基礎論という一般教養科目では最終レポート一発なんだけど、そこにカレーのレシピを書いても受かった人がいたり、辞書でも何でも持ち込み可のフランス語のテストでフランス人留学生を持ち込んだ人がいたりとか。あと、これは楽さとは関係ないけど、文学研究科の院生室の入口には『この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ』というダンテの地獄の門と同じ言葉が書かれてるという話を聴いたときは腹抱えて笑った。そういえば、あのブログの人も文学研究科って言ってたね。
Q. 確かに、そんなに在学中勉強せず怠惰な暮らしをしてたら社会不適合者になりそう(笑)
A. いや、確かに怠惰な人が多いのは否定しないけど、勉強は結構してる人多いよ。ただ、自分の興味のある分野しか勉強しないけど。実際、みんな受験勉強をある程度してきてて、勉強で成功体験を持ってる人たちだから、そんなに勉強に対してネガティブには思ってないし、逆に知的好奇心が高い人は本当に多いと思う。大学時代はよく飲み会中に数学とか物理とか哲学とか歴史とかそういう話で盛り上がってたけど、社会人になってほとんどなくなっちゃった・・・。そういえば、知り合いの知り合いで、数学はものすごく優秀で、毎日ずっと図書館で数学の勉強をしてるのに、英語が嫌いすぎて語学を毎年落とし続けた結果、進級できなくてずっと学部生やってる人もいたわ。多かれ少なかれ結構そういう傾向の人が京大は多い気がする。だから、社会貢献しよう!というよりも、自分の好きなことをやっていたい!という気持ちが京大生は強いのかもね。そして、京大はそれを許してくれる「自由の学風」があったと。
Q. 社会貢献をしたいというよりは、好きなことをやった結果が社会貢献につながればいいやぐらいなのね。
A. そうそう! まさにそう!正直、好きなことをやれていたら、別に社会貢献できなくてもいいのよね。実際、ノーベル物理学賞とった先生方も別にすぐさま社会貢献につながる研究をしていたわけではないし。きなこ棒が食べたくてきなこ棒買ったら当たりが出てラッキーぐらいな感じ。最初から当たりを狙ってきなこ棒は買わないけど、みたいな?
Q. ごめん何を言っているかよくわからない。
A. すまん・・・
あとがき
いかがでしたでしょうか?
ただの京大卒の社畜とクソブロガーのつまらない会話になってしまいましたね。
正直、本題からずれて京大の面白エピソード紹介みたいになってしまった感はぬぐえませんが、お酒の席なので致し方なしというところでしょうか。
コミュニケーションに興味がなく、自分の好奇心のままに生きているAですが、会社での昇進も同期の中で1、2を争うほど早いですし、京大生の中では社会貢献できている方でしょうね。これからも頑張ってくれ!!
もちろん結論なんて出ませんでしたが、僕の中では「個人的には自分の人生だし好きにしたらいいんじゃないの?」で何ら想いに変化ありませんでした。
自分の人生なんだから、自分が納得する生き方ができていればそれでいいのですよ。それで幸せなら、周りにも幸せが伝播する、それも社会貢献の一つだと思います。
最後に、京大生の生態を知りたいならこれがいいよ、とおすすめされた本を皆さんにも紹介したいと思います。
別に本なんて紹介されたくないというそこのあなた!!
ここでこの記事をそっと閉じてください。
京大卒Aのオススメ本
森見登美彦 「太陽の塔」
「研究」と称して、振られた女の子をストーキングする京大生(5回生)の話。青春を燻らせた京大生が読むと、同族への想いに涙を禁じ得ないらしい。
万城目学「鴨川ホルモー」
陰陽道のような謎の競技「ホルモー」を行うサークルに入ることになった京大生の成長と青春を描く。青春を拗らせた京大生が読むと、もう一度大学生活をやり直したいという後悔の念に涙を禁じ得ないらしい。
松本 紘「京都から大学を変える」
今回のインタビューの途中で出てきた、この人から京大が真面目になったという噂の総長の新書。怠惰で穏やかな青春を過ごした京大卒業生が読むと、後輩への同情に涙を禁じ得ないらしい。
稲井 雄人「京大M1物語」
世の中で全く役に立たなさそうな学問をしたいと思って、京大の生物系の研究室に進学した男の話。タイトルと反してジャンルはラブコメ。第二巻が一向に出ないことに涙を禁じ得ないらしい。
「ゆとり京大生の大学論―教員のホンネ、学生のギモン」
京大生たちが教員を交えて、これからの大学教育を議論した内容をまとめた本。松本総長の代の後輩たちなので、上で紹介した松本 紘「京都から大学を変える」と一緒に読むと上と下の意見の相違があって面白い、らしい。後輩たちがあまりにしっかりしていて、親心から涙を禁じ得ないらしい。
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