昨年末に放送されたNHKの番組「河瀬直美が見つめた東京五輪」で、五輪反対デモの参加者が金銭をもらって動員されたとする裏付けのない字幕が流された問題で、NHKは10日、これまで「不確か」と表現していた字幕の内容について、初めて「誤り」と認める調査報告書を発表した。
この番組は、五輪公式記録映画で監督を務める河瀬直美さんら撮影スタッフにNHKが密着取材した内容。撮影スタッフの島田角栄さんが匿名の男性をインタビューしている場面で「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」という字幕が付けられた。放送後に抗議が殺到したことを受け、NHKが再度事実確認したところ、男性が東京五輪反対デモに参加したかどうかを確認していなかったことが判明した。
◆「五輪反対デモは行かない」という主旨の音声も
報告書によると、問題の場面が撮影されたのは昨年8月7日で、放送された部分以外には「お金をもらって、いろいろなデモに参加している」「五輪反対デモは行かない」「コロナが増えるから五輪はやめた方がいいと思う」という主旨の音声が撮影素材に残されていた。一方で担当ディレクターは、男性からは「デモに参加することで2000円から4000円をもらうことがある」「五輪反対デモに参加する可能性はある」という話を聞いたと説明。しかし、NHK内部調査チームの聞き取りに対し、男性は「五輪反対デモに行ってみたい、という話をしたと思う」としつつも「8月7日以降も、五輪反対デモには参加していない」と証言したことから、報告書は「男性が五輪デモに参加したという確証は得られなかったため、字幕の内容は誤りだったと判断した」と結論づけた。
問題となった字幕...
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