冬場の寒さが命に及ぼす危険は、北海道や東北地方より関東地方の方が高いとみられることが、10年間の厚生労働省の人口動態統計を本紙で独自集計した結果、分かった。2011年4月からの10年間で冬季(12〜3月)の死亡増加率が全国で最も大きいのは栃木県の21.5%。北海道の2倍を超えた。専門家は、住宅の断熱化が北国に比べて進んでいないことが要因と指摘する。(福岡範行、早川由紀美)
冬季死亡増加率は、冬季の死者数の平均値を他の時期の平均と比べて算出した。茨城(3位)、埼玉(8位)、千葉(10位)もワースト10に入っている。東京や神奈川も、福島を除く東北5県や北海道より増加率が大きかった。
冬季死亡増加率は、冬季の死者数の平均値を他の時期の平均と比べて算出した。茨城(3位)、埼玉(8位)、千葉(10位)もワースト10に入っている。東京や神奈川も、福島を除く東北5県や北海道より増加率が大きかった。
◆増加の理由に心疾患など多く
14年の冬季死亡増加率を調査した慶応大の伊香賀俊治教授(持続可能性工学)によると、増加要因の6割を心疾患、脳血管疾患、呼吸器系疾患が占めた。「家が寒いことで起こるだろう三大疾患だといわれている」と指摘する。代表的なのは、入浴時など急激な温度変化がもたらす「ヒートショック」だ。
伊香賀教授が、今回の本紙の集計を分析したところ、冬季死亡増加率が小さい地域ほど、断熱住宅普及率が高い傾向も明らかになった。普及率は03年から18年の総務省の住宅・土地統計調査から断熱性能の高い複層ガラスなどの窓の導入状況を基に算出。北海道は平均8割を超え、関東を含む多くの都府県は3割未満にとどまる。
死亡増加率が全国最大の栃木県健康増進課の担当者は「以前から脳卒中を県の課題と位置付けてきた。...
残り 645/1290 文字
この記事は会員限定です。
- 有料会員に登録すると
- 会員向け記事が読み放題
- 記事にコメントが書ける
- 紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)
※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。
カテゴリーをフォローする
おすすめ情報
コメントを書く
有料デジタル会員に登録してコメントを書く。(既に会員の方)ログインする。