金山巨石群は「岩屋岩蔭遺跡巨石群」「線刻石のある巨石群」「東山巨石群」の3つを合わせた総称。このうち「岩屋岩蔭遺跡」と「線刻石のある巨石群」は目と鼻の先にあります。
この巨石群、岐阜県下呂市の山間にあり、一見天文観測には不向きなのでは?と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。しかしその谷間が開けているのは、夏至に太陽が昇る方角から冬至に太陽が沈む方角。そのため場所の特性を活かした観測が可能なのです。
「岩屋岩蔭遺跡巨石群」の主体は妙見神社です。妙見神社と言えば「北極星」信仰。麓にある岩から妙見神社の右側の岩を見上げると、その先に北極星・北斗七星を見つけることができます。
目印となる右側の大きな岩には9つの盃状の穴があり、そのうちの7つの穴を線で結ぶと、現れるのは北斗七星のあのひしゃくの形。現在の北斗七星の形とは微妙に異なっていますが、その形から推測されるその年代はなんと紀元前5500年!はるか昔の縄文時代から天体観測が行われていたことになります。エジプトのピラミッドは一説にはBC2500年頃の建造と言われていますので、なんと3000年も古いことに!
ちなみに近隣から発掘された土器や石器は今からおよそ8000年前のもの。7500年も昔の北斗七星が刻まれていても不思議はないのです。
「岩屋岩蔭巨石群」では春分・秋分の日も観測できます。北斗七星の刻まれている岩を回り込むと、その岩はなんとも不自然な形。上に岩が乗っているのか、くっついているのか、はたまた下部を四角に切り取ったのか…。その不自然な形の岩と右側にある岩の間に、小さな隙間があります。この小さな隙間に、春分・秋分の日にはピンポイントで太陽が沈む…。これは偶然なのでしょうか。
「線刻石のある巨石群」には目を見張るような巨石があります。人の背丈と比べてみれば一目瞭然!※写真に写っているのは大人の男性。
巨石に囲まれて、まるで異空間に入り込んでしまったかのようです。そこは言葉では表現し難い、独特な空気が漂う不思議な空間。金山巨石群がパワースポットであるのも頷けます。
先ほどの写真の斜めに大きく突き出した岩の下からも暦を観測できます。大きく突き出した岩を背に、正面の大岩を見ると春分・秋分の頃に太陽が昇るのは岩の右端。そして夏至の頃には、岩の中央から太陽が昇ります。
この岩の中央に「人工」と思われる痕が見られますが、何かの目印なのか、詳しいことは分かりません。このように人が加工したと思われる痕はところどころに見受けられます。それを探して目的を推理しながら巡るのも、楽しいのではないでしょうか。
「線刻石のある巨石群」の名前の由来となったのがこの岩。岩には斜めに2本の線が刻まれています。この2本の線が示しているのは夏至の頃の太陽の方位や高度。さらに、その線の上には大・中・小の3つの楕円が刻まれています。その形は夏至の前後約1か月間、この岩の下にある洞窟にに差し込むスポット光と一致。そのため、この岩は夏至の観測に重要な役目を果たしていたと考えられているのです。
この線刻石の下の洞窟、中に入ると頭上には岩と岩の隙間が見えます。この隙間に、太陽光がまっすぐ差し込むのが夏至の15時。ここに差し込む光の形が岩に刻まれた楕円と一致するのですが、夏至の頃が一番大きな楕円となります。
線刻石から北の方角、一際高い場所にある岩です。線刻石の麓からこの岩を見るとその上に見られるのが北極星。そしてこの岩は不自然なほど形が四角く、人の手で加工したかのようにも見えます。
冬至の季節にはこの岩の割れ目に日が沈みます。まるで刀で切ったかのように垂直な割れ目。自然の割れ目ではこのように平らにはならないでしょう。縄文時代に、石をきれいに割るだけの加工技術があったのだと認めざるを得ません。
この数々の巨石はたまたま観測に適した位置にあり、利用されたのでしょうか?偶然だとしたら、ここにあるそれぞれの巨石が、観測のための役割を持っていることに疑問が残ります。
そして春分・夏至・秋分・冬至などを観測することで、1年の時節を知ることができた巨石天文装置。縄文時代にそこまで暦を知る必要があったのでしょうか。
「線刻石のある巨石群」の一番高い位置にある岩から見下ろした風景。かなりの高さがあり、下に見える岩も意味のある配置に見られます。仮に近くに岩があったとしても、観測に最適な位置にこの巨石を動かすのには相当の技術が必要なのではないでしょうか。
またそこまでして暦を必要としたとするなら、縄文時代に農耕が行われていた可能性が高くなります。
この巨石群との関係は不明ですが、飛騨地方には「飛騨王朝伝説」も存在。私たちが想像しているより、はるかに高度な文明が存在していたのかも知れません。
金山町観光協会では不定期で天文観測会を開催しています。ご紹介した観測方法はほんの一部ですので、興味のある方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
金山巨石群は研究が進めば、まだまだ沢山のことが明らかになるでしょう。縄文時代の認識が変わるかも知れません。そんな浪漫の詰まった場所をぜひ訪れてみてください。
アクセス
電車:JR高山本線 飛騨金山駅〜バス「八坂」バス停下車〜徒歩、約2.5km
車:東海北陸自動車道 郡上八幡IC〜R256号〜県道86号経由、約31.5km
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