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麻布台再開発で見られなくなる東京の風景!我善坊谷坂と落合坂めぐり

麻布台再開発で見られなくなる東京の風景!我善坊谷坂と落合坂めぐり

更新日:2019/10/02 13:39

雲本 らてのプロフィール写真 雲本 らて 散歩ブロガー、坂道探検家
東京メトロ六本木一丁目駅や神谷町駅から徒歩数分にある港区麻布台では、いま大規模な再開発が行われようとしています。我善坊谷坂と落合坂はそんな再開発される街のど真ん中に位置する坂道で、将来的にはなくなってしまう予定です。今回はそんな坂道を中心に、今のうちに歩いておいてほしい再開発ともに消えゆく界隈の街並みを紹介しておきます。

消えゆく我善坊谷坂

消えゆく我善坊谷坂

写真:雲本 らて

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再開発エリアのちょうど真ん中あたりに位置する「我善坊谷(がぜんぼうだに)坂」は、このあたりの地名である我善坊谷に由来しています。我善坊谷とは、龕前坊谷(がぜんぼうだに)の転化と言われています。

江戸時代に二代将軍秀忠の正室である崇源院(すうげんいん/一般にはお江として知られています)が亡くなった時に、この地で荼毘に付し、龕(仏像を納めた仏具)の前に僧坊(僧尼が生活する宿舎)を建てて、冥福を祈ったことから「龕前坊」と呼ばれるようになり、このあたりは地形的に谷だったことから、龕前坊谷になったというのが通説です。

消えゆく我善坊谷坂

写真:雲本 らて

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我善坊谷坂は、谷筋から崖地を一気に上る坂道のため、途中の景色も印象的です。江戸の情緒が残る景色の中、坂の中腹あたりからは東京タワーも見ることができます。

またこの坂道は江戸時代から存在する坂道ですが、再開発計画によれば完全になくなってしまう坂道です。ぜひ今しか体験できない風景を見におとずれてみてください。

<我善坊谷坂の基本情報>
所在地:東京都港区麻布台1丁目1と2の間
アクセス:東京メトロ・六本木一丁目駅より徒歩5分、および神谷町駅より徒歩5分

消えゆく落合坂

消えゆく落合坂

写真:雲本 らて

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「落合坂」は、東京メトロ六本木一丁目駅からなら徒歩数分の場所にあります。坂上は麻布通りに面しており、そこから我善坊谷へと下る坂道で、坂名は赤坂方面から往来する人が、落ち合う場所にあるので落合坂と呼ばれるようになったという説が有力です。

消えゆく落合坂

写真:雲本 らて

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落合坂の坂下あたりからは東京タワーも見えます。緩やかで長い坂道のため、歩きながら麻布台の街並みも楽しむことができます。ただ再開発計画によればこの落合坂も江戸時代から存在する坂道ですが、なくなってしまいます。

またこのあたりは再開発エリアの西側に位置しています。数年前から地域の住民が立ち退きはじめ、現在は空き家が目立ちひっそりとした雰囲気が印象的です。

消えゆく落合坂

写真:雲本 らて

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落合坂の坂上あたりには、「横川省三記念公園」も隣接しています。元朝日新聞の記者で、日清・日露戦争では従軍記者として活躍した横川省三氏を記念して造られた公園です。園内には石碑やカエルの形をしたかわいい水飲み場などがあります。

ただここも再開発によりなくなるか位置が変わってしまうため、今しか見られない風景といえるかもしれません。

<落合坂の基本情報>
所在地:東京都港区麻布台1丁目1と4の間
アクセス:東京メトロ・六本木一丁目駅より徒歩3分

永井荷風も歩いた我善坊谷と我善坊谷坂

永井荷風も歩いた我善坊谷と我善坊谷坂

写真:雲本 らて

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我善坊谷坂と落合坂のある我善坊谷の北側は、再開発により大きく街並みが変化しましたが、そのエリアにかつて小説家の永井荷風が、1920年5月から1945年3月の空襲があった時まで住んでいたといわれる「偏奇館」がありました。そして荷風は我善坊谷の南東に位置する西久保八幡神社そばの裏路地に、別宅「壺中庵」を借りていました。

そんなことからも偏奇館と壺中庵を行き来するには、我善坊谷坂を通ると一番近く、そのため我善坊谷坂は永井荷風がよく歩いた坂道としても知られています。

永井荷風も歩いた我善坊谷と我善坊谷坂

写真:雲本 らて

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現在の神谷町駅からほど近い西久保八幡神社そばの裏路地(神社の北側エリア)に別宅「壺中庵」があったと言われています。このあたりも昔からの雰囲気が残る地域ですが、再開発でなくなってしまいます。メインの通りから迷路のように入り組んだ裏路地が多くあるエリアです。ぜひ今のうちに歩いてみることをおすすめします。

今しか見れない東京の風景を歩く

今回紹介した場所は、すべて再開発でなくなってしまう風景ばかりです。再開発計画を見てもリニューアルされるなどそういう話もありません。再開発自体は現地の工事看板などからも2019年の春頃から始まるようなので、それまでは今の景色が見られるでしょう。

東京でもこれほどの大規模再開発はめずらしく、街ごと景色が変わり、はたまたその前後が体験できる機会はなかなかないと思います。ぜひ、今しか見られない風景を目に留めておいてください。

2018年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

※2019年9月現在、森ビルによる「虎ノ門・麻布台プロジェクト」の再開発工事のため、我善坊谷坂と落合坂は無くなっています。また現地は立ち入り禁止となっていますので、ご注意ください。

掲載内容は執筆時点のものです。

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