Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

イタリア・コモ湖の世界遺産!「オッスッチョのサクロ・モンテ」

イタリア・コモ湖の世界遺産!「オッスッチョのサクロ・モンテ」

更新日:2021/03/27 13:06

橘 凛のプロフィール写真 橘 凛 ライター、エッセイスト
アルプス山脈南に近い北イタリアは、観光人気が高い湖水地方です。その中でも、コモ湖は、古くから貴族に愛された高級リゾート地。そんなコモ湖に、世界遺産の「オッスッチョのサクロ・モンテ」があります。「サクロ・モンテ」とは、山中の教会群のことで、ロンバルディア州(州都ミラノ)とピエモンテ州(州都トリノ)に点在します。今回は、ミラノから日帰り出来る「オッスッチョのサクロ・モンテ」についてご紹介します!

「サクロ・モンテ」について詳しくご説明!

「サクロ・モンテ」について詳しくご説明!

写真:橘 凛

地図を見る

「サクロ・モンテ」については、初めてその名称を聞く方も少なくないでしょう。イタリア語で「聖なる山」を意味し、中世時代に建設された、山中の教会群のことです。イタリア国内に数多く見られますが、その中でも、特に見事な9つのサクロ・モンテが、「ピエモンテ州とロンバルディア州のサクリ・モンティ」という名称で、2003年にユネスコ世界遺産に登録されました。美しい自然と礼拝堂群が見事に融合する聖地として、現在も多くの巡礼者、また観光客が訪れる地となっています。

「サクロ・モンテ」について詳しくご説明!

写真:橘 凛

地図を見る

そもそも「サクロ・モンテ」は、15〜16世紀ごろ、キリスト教の聖地とされるエルサレムが当時イスラム統治下だった為、彼の地への巡礼が難しく、その代替手段として造営され始めたというのが由来です。現在のピエモンテ州に位置するヴァラッロ(Varallo)に最初に築かれ、その後、ヴァラッロをモデルに、残り8つのサクロ・モンテが造営されたという歴史があります。当時ヨーロッパで強まりつつあったプロテスタント勢力に対抗するという意図もあり、ミラノ司教の強力な支援や多額の寄附金により、豪華絢爛な教会が数多く建立されました。

ソッコルソの丘の上に建つサクロ・モンテ

ソッコルソの丘の上に建つサクロ・モンテ

写真:橘 凛

地図を見る

地図で見ると、まるで「人」という形をしたコモ湖。その西側先端にあり、最も大きな街であるコモ市から北上すること約25キロのところに、「オッスッチョのサクロ・モンテ」はあります。オッスッチョとは村の名称です。コマチーナ島という小さな島に面した、湖岸から約200メートルのソッコルソの丘の上に建てられており、周囲はオリーブの木立と森林に囲まれた自然豊かな地域です。

ソッコルソの丘の上に建つサクロ・モンテ

写真:橘 凛

地図を見る

写真の地図のように、標高が低いところから順に、最も高いところにある聖域教会まで、14に及ぶ礼拝堂があります。いずれも典型的なバロック様式の建築で、宗教改革とプロテスタント勢力への対抗として計画されました。17世紀半ばから18世紀初頭までの間に建設された14の礼拝堂は、頂上にある聖母マリアを祀る教会(聖域教会)まで、曲がりくねった小道で繋がれています。

ソッコルソの丘の上に建つサクロ・モンテ

写真:橘 凛

地図を見る

写真が、最も標高が低いところにある、最初の礼拝堂です。14つの礼拝堂を通して、イエス・キリストの生涯が描かれています。この最初の礼拝堂は「聖母マリアの受胎告知」をテーマとしています。ひとつずつ順に参拝していくことで、巡礼の道が開かれていくという造りになっているのです。

ハイキングコースとしても人気のある巡礼の道

ハイキングコースとしても人気のある巡礼の道

写真:橘 凛

地図を見る

それぞれの聖堂の中には、見事な彫像が飾られており、外から拝観することが出来ます。写真は6番目の礼拝堂で、「主イエスの説教」がテーマです。すべての礼拝堂には合計230を超える等身大の彫像があるというから驚きです!

ハイキングコースとしても人気のある巡礼の道

写真:橘 凛

地図を見る

こちらは9番目の礼拝堂で、十字架を背負い、ゴルゴダの丘に登るキリストの姿が非常にリアルな作品です。これらの彫像は、アゴスティーノ・シルバをはじめ、当時のさまざまな分野の芸術家によって制作されました。彫像の衣装は、当時の人々においても、特に高貴で人気のあったデザインを忠実に再現しています。

ハイキングコースとしても人気のある巡礼の道

写真:橘 凛

地図を見る

緩やかな坂道の道中では、聖母マリアへの祈りを表す、ロザリオという十字架のペンダントを持って祈りを捧げる人々を見かけます。また、参拝を進めるうちに、どんどん見晴らしが良くなっていきます。ハイキングコースとしてもとても人気があるのも頷けます。

聖母マリアを祀る聖域教会

聖母マリアを祀る聖域教会

写真:橘 凛

地図を見る

巡礼の最後が、元々の本体は1537年の建築のものとされる聖域教会です。こちらも典型的なバロック様式建築で、高さのある鐘楼が目印です。こちらは1719年に完成しました。

聖母マリアを祀る聖域教会

写真:橘 凛

地図を見る

教会の中は、美しい大理石の床と支柱、そしてフレスコ画が天井全面に装飾された見事なもので、必見です。主祭壇には、聖母マリアの戴冠式を表す彫像が飾られており、ここにロザリアの祈りを最後に捧げる信者の姿が見られます。

聖母マリアを祀る聖域教会

写真:橘 凛

地図を見る

教会の外には、開放的な広場があり、1720年に鋳造された古い鐘が置かれています。嵐による激しい損傷により、1996年に取り外され、ここに安置されています。

「オッスッチョのサクロ・モンテ」までのアクセスをご紹介!

「オッスッチョのサクロ・モンテ」までのアクセスをご紹介!

写真:橘 凛

地図を見る

海抜419メートルにある聖域教会からの景色は素晴らしいものです。眼下にはオッスッチョの村とコモ湖、そして遠くには冠雪したアルプス山脈までもが見晴らせます。

「オッスッチョのサクロ・モンテ」までのアクセスをご紹介!

写真:橘 凛

地図を見る

聖域教会の裏手には、トラットリア(食堂)があり、ハイキングで疲れた身体を軽食や飲み物や癒してくれます。また、周囲には木製のテーブルや椅子が置かれ、眺めの良いピクニック・ランチを楽しむことも。

「オッスッチョのサクロ・モンテ」までのアクセスをご紹介!

写真:橘 凛

地図を見る

最後に、「オッスッチョのサクロ・モンテ」までのアクセスをご紹介します。ミラノからコモの街までは、電車で約1時間で到着します。ミラノ・カドルナ駅から乗車するのが乗り換えなしで行けるのでおすすめです。その後、コモ・ラーゴ(Como Lago)駅のバスターミナルより、「Managgio-Colico方面(C10)」に乗車し、オッスッチョ(Ossuccio)の停留所にて下車してください。

コモの街(写真参照)も、魅力たっぷりです!コモ湖について他の情報は関連メモにありますので、興味がある方はご覧ください。

「オッスッチョのサクロ・モンテ」の基本情報

住所:Via Santuario, 22010 Ossuccio CO
電話番号:+39-0344-55277
アクセス:コモ・ラーゴ(Como Lago)駅よりバス「Managgio-Colico方面(C10)」に乗車。オッスッチョ(Ossuccio)にて下車(約50分)

2021年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2021/02/21 訪問

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -