写真:Hiroko Oji
地図を見るアンブラス城はインスブルック中央駅前から540番のバスに乗ること約10分、南郊外の丘の上に聳え建つ白壁に赤い鎧戸の可愛くも美しいお城です。
このお城は、10世紀に同じ場所にあった城が1133年にバイエルン公ハインリヒ10世に破壊され、13世紀に元の建材を再利用し、要塞として建設されたもの。1363年にハプスブルク家の所有になり、フェルディナント2世によって現在のルネサンス建築に再建され妻フィリッピーネへ贈られました。
城自体は、一時、兵舎や軍事病院、イギリス式庭園を増設した夏の離宮などさまざまな役割を果たした後、博物館として長きにわたり修復が行われ現在にいたっています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るバス停から建物までは、池もある林の中を、木々の間からインスブルックの美しい市街の向こうに見えるノルトケッテ連峰を眺めながら10分ほどのお散歩コース。城内敷地からも、さらに一段高いところからの素晴らしい眺望が楽しめます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る城内には大きく分けて上のお城と下のお城の2つの部分があります。その間にしっかり手入れされた美しいイギリス式庭園が広がり、庭園や城内の散歩道では放し飼いにされた孔雀にも出会えます。少々近づいても平気で優雅にお散歩する姿がかわいらしい。
写真:Hiroko Oji
地図を見るチケット売り場のある下のお城の建物から入って最初の展示室が「英雄の武器庫」。ヴェネツィア戦争、農民戦争、パヴィアの戦い、ウィーン包囲戦、レパント海戦などで優れた軍事的・歴史的な業績を残した英雄たちが使用した鎧兜に槍や鉄砲などの武器、肖像画が集められています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る続くこちらの武器庫は「トーナメントアーマーの部屋」。インスブルックの鎧職人は、皇帝マクシミリアン1世の時代からヨーロッパで最も有名で、フェルディナンド2世は、鎧の大部分を宮廷の鎧師ヤコブ・トップフに作らせました。
ここにはフェルディナンド2世のアンティーク風結婚式用の鎧と、宮廷のために設定されたフリートーナメント「プランケンゲステック」(※1)とフットトーナメント(※2)に出場するトーナメントアーマーのスーツ(鎧)や槍や剣が展示されています。
※1:イタリアの平和馬上槍試合のことで、アーマー(戦闘員)が馬に乗り、最初は鋭い槍で次に剣で互いに攻撃するスポーツとしてのトーナメント
※2:フェンスで囲まれたトラックでペアまたはグループで行われる、徒歩による槍試合
写真:Hiroko Oji
地図を見る3つ目の武器庫が「バロック様式の武器庫」。ホールの正面には、三十年戦争前半の様子の記録があり、右側には騎兵用の武器、左側には歩兵用の武器が展示されています。
木に描かれた天井画は、1586年頃、フェルディナンド2世の宮廷画家ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンタナによって描かれたもの。この時点で知られていた7つの惑星や、火・水・空気・土の4つの要素、黄道帯の12の星座や1530年代に初めて天文学に導入された「ベレニケの髪 Coma Berenices」を含む37の星座が描かれています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る武器庫に続く部屋は「トルコの部屋」。ここにはハプスブルク家とオスマン帝国の間の武力紛争を彷彿とさせる品々が展示されています。
展示品は、フェルディナント2世による1556年のハンガリー「キリスト教の主要な敵」への軍事遠征、さらに1566年のトルコ戦争においての戦利品で、鞍・矢・矢筒・反射弓・サーベル・盾・ヘルメットなどです。
写真:Hiroko Oji
地図を見る肖像画ギャラリーには、ルーカス・クラナッハ、ティツィアーノ、アントン・ファン・ダイク、ディエゴ・ベラスケスらの絵画を含む200点以上の肖像画が展示されています。
肖像画で描かれているのはハプスブルク家の人々と、皇帝マクシミリアン1世、皇帝カール5世、スペイン王フェリペ2世、若き日のマリア・テレジア達に加え、16世紀の有名な将軍達です。
写真:Hiroko Oji
地図を見るアンティクアリウム(古代博物館)は、フェルディナント2世が古物収集館として設立したもので、古代や神話の有名人の石膏、大理石、テラコッタの小像、粘土で作られた頭部のコレクションなどが並び、1695年にはローマ皇帝のブロンズ像20体も追加されました。
また、プラハ出身の画家、フロリアン・アベルの「皇帝マクシミリアン1世の慰霊碑」も展示されています。これはこの種の絵画の中では最大かつ最も保存状態の良いスケッチのひとつとされています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る下のお城の南側に続く、赤い木製手すりがある建物内にはルネッサンスの「芸術と好奇心の部屋」が入っており、世界中から収集した展示品の数々がずらりと並んでいます。
これらは希少価値のある百科事典的なコレクションで、貴重な自然物や芸術品の数々です。
写真:Hiroko Oji
地図を見る金・銀細工、青銅の彫刻、絹の絵画、貨幣、楽器に加え、クリスタル、高価なガラスや磁器、象牙や珊瑚に水晶、ヤシの葉などといった材料ごとに整理された品々が、壁面や天井までの高さの20の木製キャビネットに収納されていて、見ごたえのある展示室が続きます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る図書館と古代博物館と一体となっている狩猟用の小武器庫のスペース「スモールアーモリー」には、狩猟用短剣、狩猟用ナイフ、クロスボウ、剣、短剣、ピストル、ライフルなど、狩猟や戦争のための武器が並びます。
その中で日本人にとってはつい目が釘付けになってしまうのが、16世紀後半〜17世紀初頭の2つの武士の甲冑。1600年頃に将軍家康の贈り物としてヨーロッパに渡ったもので、オリジナルの状態で保存されている極めて珍しいものとされています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る下のお城からいったん庭園に出て、上のお城の麓部分にある建物内に入ると「スパニッシュ・ホール」に行くことができます。簡素な階段を上った上階についたとたん、ホール前の空間からその壁を埋め尽くす装飾の素晴らしさにうっとりしてしまいます。
写真:Hiroko Oji
地図を見るスパニッシュ・ホールは、ルネッサンス期の最も美しいホールのひとつ。1529年〜1572年にかけてフェルディナンド2世によって、舞踏会やその他の祝祭の場として建設されました。
壁面の装飾フレスコ画や鹿の角の剥製に加え、さまざまな木材を組み合わせた扉と、ところどころ金メッキが施され象眼細工が施された格間天井の木製装飾が素晴らしいの一言に尽きます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る長さ43mあるホール壁面を埋め尽くすのは、チロルのアルブレヒト1世伯爵からフェルディナンド2世大公まで、27人のチロル支配者全身像の肖像画。彼らの背景には自然豊かな風景が広がり、反対側の窓の装飾と調和してより広く感じられます。
北と東の壁の天井とフレスコ画の間を占めるフリーズゾーンには、漆喰で縁取られた円形の額縁が並び、青空と雲が幻想的に描かれ、それぞれに鹿や羊の角が飾られています。
アンブラス城は建物内の膨大な展示に加え、庭園や敷地内の林の中から眺められるインスブルック市街と背後に控えるノルトケッテ連峰の眺めも大変すばらしく、都会の喧騒に疲れた時やのんびりお散歩するのにちょうどいい訪問先です。ぜひスケジュールに組み込んでお訪ねくださいね。
住所:Schlossstrabe,20 6020 Innsbruck
電話番号:+43-1-52524-4802
開城時間:10:00〜17:00
アクセス:インスブルック中央駅前から540番バスで約10分「Schloss Ambras」下車、または6番トラムで「Tummelplatz」下車
2025年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2025/2/24更新)
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