フジHD 国内取引9,654社 芸能プロや番組制作など小規模企業への影響懸念
「フジ・メディア・ホールディングスグループ」国内取引先調査
スポンサー離れとコマーシャルの差し止めが相次ぐフジテレビだが、親会社のフジ・メディア・ホールディングス(フジHD)のグループ会社の国内取引先数は9,654社あることが東京商工リサーチ(TSR)の調査でわかった。
一連の問題はフジテレビのグループ企業にも影響が広がっている。約1万社に及ぶ取引先は、小規模事業者も多いだけに、信頼回復の遅れが取引先の存亡にも影響する可能性が出ている。
TSRの約390万社の企業データベースから、フジテレビを含むフジHDの有価証券報告書(2024年3月期)に記載されている連結子会社の18社、持分法適用関連会社6社とフジHDを合わせた25社の1次(直接)、2次(間接)の取引企業を抽出した。
フジHDの取引先計(仕入・販売、直接・間接含む)は9,654社だった。業種別では、広告代理店や芸能事務所などサービス業他が2,571社(構成比26.6%)で最も多い。次いで、テレビ番組制作や電気機械器具卸売など卸売業や製造業、情報通信業など、幅広い産業に広がっている。これはメディアやコンテンツ事業だけでなく、不動産や観光事業など、経営の多角化が進んでいるためとみられる。
取引先9,654社のうち、8,939社(構成比92.5%)が未上場で、売上高10億円未満が3,826社(同39.6%)、資本金1億円未満が7,122社(同73.7%)と、中小企業との取引が多いこともわかった。取引先の本社地は、東京都の5,273社が最も多いが、47都道府県に取引企業は広がる。
元タレントのトラブルへの対応をめぐり、フジテレビはCMの取りやめが相次いでいる。フジHDも1月23日、「本事案による連結業績への影響については、フジテレビへの広告出稿の減少等による影響が見込まれる」と発表した。
フジテレビの2024年3月期の売上高は2,382億1,900万円で、当期純利益は36億6,000万円をあげている。2008年に持株会社へ移行後、売上高のピークは2012年3月期の3,290億1,300万円、当期純利益のピークは2020年3月期の155億400万円だった。単純比較で売上高はピーク時の約3割減(27.5%減)、当期純利益は約8割減(76.3%減)と厳しい業績が続いている。
一方、2024年3月期末の現預金は5億7,400万円にすぎない。ただ、安定した売掛金から無借金経営を続け、自己資本比率は78.7%と高水準を維持している。親会社であるフジHDの連結純資産合計は2024年9月末時点で8,771億900万円、総資産合計は1兆4,756億6,400万円を誇る。
今回の影響は、フジテレビからグループ企業にも急速に広がっている。信頼回復への対応が遅れ、業績低迷が長引くと視聴者、スポンサーだけではなく、制作会社や多くの取引先からもフジ離れが加速する可能性が出ている。
※本調査は企業情報サービス(tsr-van2)の企業相関図から、フジ・メディア・ホールディングスの有価証券報告書に掲載の国内連結子会社と持分法適用関連会社に掲載されている25社の仕入先、販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)で抽出、分析した。取引先計は、1次、2次の仕入先と販売先を合算後、重複を除いた。2025年1月24日現在。