ベネト【Veneto】
ヴェネト
ヴェネト州
- ヴェネト州
- Regione Veneto
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ヴェネト州の州旗 ヴェネト州の紋章 -
国 イタリア 地域 イタリア北東部 州都 ヴェネツィア 面積 18,264 km² 人口 4,853,657 [1] 人 2012-01-01 人口密度 265.7 人/km2 県 ベッルーノ, パドヴァ, ロヴィーゴ, トレヴィーゾ, ヴェネツィア, ヴェローナ, ヴィチェンツァ コムーネ数 581 (一覧) 公式サイト [1]
ヴェネト州(ヴェネトしゅう、イタリア語: Veneto、ヴェネト語: Vèneto、バイエルン・オーストリア語: Venezien)は、イタリア共和国北東部に位置する州。州都はヴェネツィア。
地理
位置・広がり
イタリアの北東部に位置し、東南でアドリア海(ヴェネツィア湾)に面する。州都ヴェネツィアは、トリエステから東南東へ115km、ボローニャから北東へ131km、ミラノから東へ246km、首都ローマから北へ395kmの距離にある。
隣接する州は以下の通り。AUTはオーストリア領を示す。
- ケルンテン州 (AUT) - 北東
- チロル州 (AUT) - 北東
- フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州 - 東
- エミリア=ロマーニャ州 - 南
- ロンバルディア州 - 西
- トレンティーノ=アルト・アディジェ州 - 北西
地勢
地理学的な概観の特徴は他に類を見ないヴェネツィアのラグーナ(潟)である。重要な川に関しては南にポー川(とポー川の三角州)とアディジェ川、中心にはブレンタ川、北にはピアーヴェ川がある。また西にはガルダ湖がある。
北西にはアルプス山脈、特にレッシーニ山々(イタリア語: Monti Lessini)がそびえ、アジアーゴ高原とマルモラーダ氷河(マルモラーダ)のあるドロミーティ山脈などがある。また、平原にはエウガネイの丘がある。
主要な都市
人口5万人以上のコムーネは以下の通り。人口は2012年1月1日現在[1]。
- ヴェネツィア (ヴェネツィア県) - 260,856人
- ヴェローナ (ヴェローナ県) - 251,842人
- パドヴァ (パドヴァ県) - 205,631人
- ヴィチェンツァ (ヴィチェンツァ県) - 111,222人
- トレヴィーゾ (トレヴィーゾ県) - 81,026人
- ロヴィーゴ (ロヴィーゴ県) - 50,136人
その他の主要都市として、キオッジャ、コネリアーノ、ヴィットリオ・ヴェネトなどがある。
歴史
ウェネティイ族
ヴェネト州の歴史は他の北部イタリアの州と共通している。古代にはインド・ヨーロッパ語族に属する言語を話すウェネティイ族が居住し、ヴェネトの名はこの民族に由来する。
ローマ帝国
ローマ帝国の支配後、395年に東西にローマ帝国が分かれた後は、一時期ラヴェンナなどと同様、東ローマ帝国の勢力下にあった。ゴート族(東ゴート王国)やランゴバルト族(ランゴバルド王国)が流入した。
ヴェネツィア共和国
この地方に位置する都市ヴェネツィアは都市国家ヴェネツィア共和国として、アドリア海の海上交通を掌握した。ラグーナによって陸からの進攻から比較的安全だったこともあり中世を通じて独立を保ち、イスラム圏とヨーロッパの中継貿易により、海上国家として繁栄した。最盛期にはパドヴァやベルガモなどの内陸の都市を勢力下におくだけでなく、キプロス島、クレタ島なども領有して栄えた。
1797年にナポレオン・ボナパルトに攻略されてヴェネツィア共和国は滅んだ。
ロンバルド=ヴェネト王国
ナポレオン戦争が終わり、1815年6月9日にウィーン議定書(ウィーン会議)が締結され、ベルギーの領有権と交換にオーストリア領ロンバルド=ヴェネト王国となった。
イタリア王国
第二次デンマーク戦争後のプロイセンとオーストリア間での領有権を巡って始まった普墺戦争へ、1866年にイタリア王国が干渉して宣戦布告した第3次イタリア独立戦争の初期にオーストリア=ハンガリー帝国から分離されて、イタリア王国に統合された。
第一次世界大戦中にはイタリア戦線の最前線となり、カポレットの戦いとピアーヴェ川の戦いでピアーヴェ川一帯は最激戦地となった。
現代
ヴェネツィアを訪れる外国人観光客が多いため、イタリアの経済・財政を支える豊かな地域である。その分、州からの税収が中央政府を通じて貧しいイタリア南部に流れているとの不満が強い。このため北部同盟の呼び掛けにより2017年10月22日、西隣のロンバルディア州とともに自治権拡大を問う住民投票が実施された。約6割の投票率で、自治権拡大への賛成が9割を超えた[2]。
行政区画
ヴェネト州は、以下の7県からなる。
左端の数字はISTATコード、アルファベット2文字は県名略記号を示す。人口は2012年1月1日現在[1]。面積の単位はkm²。
県名 | 綴り | 県都 | 面積 | 人口 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
023 | VR | ヴェローナ県 | Verona | ヴェローナ | 3,121 | 899,817 |
024 | VI | ヴィチェンツァ県 | Vicenza | ヴィチェンツァ | 2,722 | 858,732 |
025 | BL | ベッルーノ県 | Belluno | ベッルーノ | 3,678 | 209,720 |
026 | TV | トレヴィーゾ県 | Treviso | トレヴィーゾ | 2,477 | 876,051 |
027 | VE | ヴェネツィア県 | Venezia | ヴェネツィア | 2,463 | 846,275 |
028 | PD | パドヴァ県 | Padova | パドヴァ | 2,141 | 920,895 |
029 | RO | ロヴィーゴ県 | Rovigo | ロヴィーゴ | 1,789 | 242,167 |
文化
言語
ヴェネト州では、地方言語(dialetto、方言)としてヴェネト語が広く話される。また、北東部ではドイツ語(バイエルン・オーストリア語系の南バイエルン・オーストリア語)が使用される。
2006年の国立統計研究所(ISTAT)の統計によれば、6歳以上の住民の家庭内での会話における言語状況は以下の通り[3]。イタリア語(Italiano)、地方言語(Dialetto)、他の言語(Altra lingua)についてのデータで、左列が全国平均、右列がヴェネト州の数値である。イタリアの州の中では「地方言語のみ、あるいは主に地方言語を用いる」住民の割合が最も多い州である。
家庭内の会話における使用言語 | 全国 | 州 |
---|---|---|
イタリア語のみ、あるいは主にイタリア語 | 45.5% | 23.6% |
地方言語のみ、あるいは主に地方言語 | 16.0% | 38.9% |
イタリア語と地方言語の双方 | 32.5% | 31.0% |
他の言語 | 5.1% | 6.0% |
世界遺産
州には世界遺産として以下がある。
- ヴェネツィアとその潟 (ヴェネツィア県ヴェネツィアなど)
- ヴィチェンツァ市街とヴェネト地方のパッラーディオのヴィッラ (ヴィチェンツァ県ヴィチェンツァなど)
- ヴェローナ市街 (ヴェローナ県ヴェローナ)
- ドロミーティ (ベッルーノ県)
- アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群(一部)
- ベルヴェデーレ(ヴェローナ県ペスキエーラ・デル・ガルダ)、フラッシーノ(ペスキエーラ・デル・ガルダ)、トンボラ(ヴェローナ県チェレーア)、ラゲット・デッラ・コスタ(パドヴァ県アルクァ・ペトラルカ)
スポーツ
サッカー
州内に本拠を置くプロサッカークラブとしては以下がある。所属リーグは2012-13シーズン現在。
- ACキエーヴォ・ヴェローナ (ヴェローナ県ヴェローナ) - セリエA(1部リーグ)
- エラス・ヴェローナFC (ヴェローナ県ヴェローナ) - セリエB(2部リーグ)
- カルチョ・パドヴァ (パドヴァ県パドヴァ) - セリエB
- ASチッタデッラ (パドヴァ県チッタデッラ) - セリエB
- ヴィチェンツァ・カルチョ (ヴィチェンツァ県ヴィチェンツァ) - セリエB
- カルチョ・ポルトグルアーロ・スンマーガ (ヴェネツィア県ポルトグルアーロ) - レガ・プロ1(3部リーグ)
- トレヴィーゾFC (トレヴィーゾ県トレヴィーゾ) - レガ・プロ1
- FBCウニオーネ・ヴェネツィア (ヴェネツィア県ヴェネツィア) - レガ・プロ2(4部リーグ)
- バッサーノ・ヴィルトゥス55ST (ヴィチェンツァ県バッサーノ・デル・グラッパ) - レガ・プロ2
5部リーグ(アマチュア最上位リーグ)のセリエDでは、トレンティーノ=アルト・アディジェ州、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州のクラブとともにジローネCに属する。ヴェネト州の地方リーグ(6部リーグ)として、エッチェッレンツァ・ヴェネト (it:Eccellenza Veneto) がある。
交通
空港
- ヴェネツィア・テッセラ空港(マルコ・ポーロ国際空港:日本国東京/成田国際空港直行便運航中)
- トレヴィーゾ空港
- パドヴァ空港
- ヴェローナ・ヴィッラフランカ空港
- ヴィチェンツァ空港
- アジアーゴ空港
- ベッルーノ空港
人物
著名な出身者
- アンドレーア・パッラーディオ - 16世紀の建築家。パドヴァ生まれ。
- アントニオ・ヴィヴァルディ - 17-18世紀の作曲家。ヴェネツィア生まれ。
- ジャコモ・カサノヴァ - 18世紀の貴族・作家。ヴェネツィア生まれ。
- アントニオ・ネグリ - 哲学者。パドヴァ生まれ。
- ロベルト・バッジョ - サッカー選手。カルドーニョ出身。
- ヨハネ・パウロ1世 - ローマ教皇。カナーレ・ダーゴルド生まれ。
- アレッサンドロ・デル・ピエロ - サッカー選手。コネリアーノ生まれ。
脚注
- ^ a b c 国立統計研究所(ISTAT). “Total Resident Population on 1st January 2012 by sex and marital status” (英語). 2013年3月22日閲覧。
- ^ イタリア北部2州で住民投票、自治権拡大に9割超賛成『日本経済新聞』朝刊2017年10月24日
- ^ 国立統計研究所(ISTAT). “La lingua italiana, i dialetti e le lingue stranieri” (pdf) (イタリア語). p. 5. 2012年11月3日閲覧。
外部リンク
- ウィキトラベルには、ヴェネト州に関する旅行ガイドがあります。
- 州公式サイト:Home - Regione del Veneto (イタリア語)
- イタリア政府観光局公式サイト内の州紹介ページ:ヴェネト州 | イタリア政府観光局 (日本語)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 11:25 UTC 版)
パッシートのなかでも有名なワインが、ヴァルポリチェッラに典型的な赤ワイン用ブドウ品種から造られる。すなわち、コルヴィーナが40-70%、ロンディネッラが20-40%、モリナーラが5-25%のブレンドである。ブドウは谷あいの斜面で、伝統的な藁のマットないしは棚の上で乾燥される。ヴェネトにおけるパッシートには2つのスタイルが存在する。 発酵を完全に行い辛口に仕上げれば、アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラとなる。アマローネ(伊:Amarone)の字義は「苦み」であり、甘さとは正反対の意味を持つ。アマローネは非常に円熟味がありレーズンのような赤ワインであり、酸は少なく、アルコール度数は15%以上のものが多い(法的には14%である必要がある)。アマローネは収穫年から5年後に売り出されることが典型的であるが、これは法的な規定によるものではない。アマローネ用のブドウの搾りかすはヴァルポリチェッラ・リパッソの生産に使われる。アマローネはD.O.C.に1990年に登録され、2009年12月にはD.O.C.G.に昇格した。 発酵を最後まで行わないと、甘口ワインであるレチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラになる。発酵が終了する理由はいくつかあり、栄養分の枯渇やアルコール度数の上昇、貴腐菌の代謝物の影響などが挙げられる。ブドウの乾燥を谷底で行うと貴腐が発生しやすいため、レチョートの生産には適している。これはアマローネを造る際に貴腐菌を避けるため乾燥工程を斜面の上方で行うのと対照的である。レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラはチョコレートを使ったデザートとよく合うと言われている。これはカカオが豊富な酸を含むからである。 レフロントロ・パッシートはトレヴィーゾ県コネリアーノにほど近い丘陵地で生産される赤のパッシートである。プロセッコの中心地のうちわずか数ヘクタールの地域で、年間ボトル数千本のみが生産される。このワインはマルツェミーノ種で造られ、D.O.C.G.に登録されている。モーツァルト作曲のドン・ジョヴァンニにおいて、主人公がこのワインを素晴らしいと述べているなど、歴史的に高い評価を受けてきた。 レチョート・ディ・ソアーヴェはヴェローナ周辺で造られる白ワインで、ソアーヴェに使われるガルガーネガ種が用いられる。名前の由来となった"recie"はヴェネト語で「耳」を意味するが、これはブドウが過熟すると主たる房の上方に2つの小さな房が生じるという品種の特性から来ており、このような状態のブドウはこのワインにとって望ましい。5世紀ごろから存在する歴史の古いワインであると考えられており、カッシオドルスもレチョート・ディ・ソアーヴェと思しきヴェローナ産の甘口白ワインについて言及している。クリスマス菓子である、パネットーネやヴェローナのパンドーロと合わせるのが伝統的な組み合わせである。 トルコラートもヴェネト州で造られる白のパッシートである。穏やかな黄金色で甘い香りを持ち、余韻が長く、丸みと厚みがある。ブレガンツェのアスティコからブレンタ川の間に広がる、バッサーノ・デル・グラッパとヴァルダスティコの谷に挟まれた細長い土地である"Strada"(ないしはワインの道)で生産される。名前の由来はヴェネト語で「捻った」という意味の言葉であるが、これは伝統的な生産手法としてブドウの房を捻って乾かすことによる。 ラマンドロ・パッシートはフリウリ近郊で造られるパッシートである。多くはウーディネに近いニーミス周辺の丘陵地で生産され、ヴェルドゥッツォ・フリウラーノ種から造られる、甘くフルボディで蜂蜜のような香りを持つワインである。この場所は著名なピコリットの産地でもあり、極めて高品質なパッシートを産出する。トレヴィーゾやヴェネツィアではラマンドロスタイルのワインが造られることもあり、それにはヴェルドゥッツォ・フリウラーノやヴェルドッツィオ・トレヴィジャーノが使われる。ヴェネツィア菓子のブッソラとヴェルドゥッツォを用いたパッシートが良く合うと言われている組み合わせである。
※この「ヴェネト」の解説は、「ヴァン・ド・パイユ」の解説の一部です。
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