Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

畠山 鎮とは? わかりやすく解説

畠山鎮

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/10 05:39 UTC 版)

 畠山 鎮 八段
平成30年11月、姫路市で行われた人間将棋にて
名前 畠山 鎮
生年月日 (1969-06-03) 1969年6月3日(55歳)
プロ入り年月日 1989年10月1日(20歳)
棋士番号 192
出身地 神奈川県
所属 日本将棋連盟(関西)
師匠 森安正幸七段
弟子 斎藤慎太郎黒田尭之
段位 八段
棋士DB 畠山 鎮
2019年9月13日現在
テンプレートを表示

畠山 鎮(はたけやま まもる、1969年6月3日 - )は、将棋棋士棋士番号は192。神奈川県出身。森安正幸七段門下。日本将棋連盟棋士会副会長(2017年2月 - )

棋歴

  • 兄の畠山成幸とともに、将棋界唯一の双子棋士である。奨励会への入会は兄に1年遅れ、三段リーグ参加は1期遅れ(半年遅れ)であったが、3期目の第5回三段リーグ(1989年)で12勝6敗の成績を収めて四段昇段(プロ入り)を決めた。三段リーグから1つの期に四段昇段するのは2名であるが、もう一人の昇段者は同じく12勝6敗の成幸、つまり、双子の同時プロ入りであり、「こんなことがあるのか」と将棋関係者を驚かせた。同成績であるが順位は鎮の方が良かったため、棋士番号は鎮、成幸の順についた。
  • 初参加の第3期竜王戦(1990年度)6組で決勝進出。決勝で兄の成幸に敗れるが、6組からの1期抜けを果たす。次の第4期(1991年度)では、先崎学、兄の成幸、中川大輔らを下して5組優勝し、本戦出場。初戦で丸山忠久に敗れる。
  • 新人王戦では、第24回(1993年度)にベスト4に進出。第28回(1997年度)では決勝で藤井猛に敗れ準優勝。第30回(1999年度)でもベスト4。
  • 第12期竜王戦(1999年度)3組で2位となり、本戦出場。初戦で久保利明に勝利し、次戦で森内俊之に敗れる。
  • 第14期竜王戦(2001年度)2組で2位となり、初の1組昇級を決めるとともに、本戦出場。本戦では郷田真隆に勝ち、木村一基に敗れてベスト4。
  • 2003年、NHK杯戦中井広恵に敗れ、同棋戦における史上初の女流棋士の勝利を献上してしまった。
  • 第19期竜王戦(2006年度)1組で、羽生善治中原誠などに勝利して4位となり、4度目の本戦出場。杉本昌隆に勝ち、丸山忠久に敗れベスト4。
  • 成幸が順位戦B級2組に昇級したとき(1996年)、鎮はまだC級2組であった。七段・八段に昇段したのも、兄のほうが早い。しかし、鎮は竜王戦で1組まで上り詰め、順位戦でも、兄がB級2組で長らく停滞している間に昇級を重ね、2006年にはB級1組に上がり、成幸を追い抜いた[1]
  • 第75期順位戦(2016年度)B級1組の最終戦で松尾歩に敗れ、3勝9敗の成績でB級2組に降級することとなった。当期順位戦では弟子の斎藤慎太郎がB級2組で1位の成績を修めB級1組への昇級を決めていたため、皮肉にも「弟子との入れ違い」という形になってしまった。
  • 第76期順位戦(2017年度)B級2組では、10回戦(5回戦は抜け番で休み)までで8勝1敗となり、1期でB級1組への復帰を決めた[2]
  • 第77期順位戦(2018年度)B級1組で、斎藤慎太郎との師弟対決が9月25日に実現した[3]。順位戦では、師弟対決は総当たりとなるB級1組以上で組まれる。日付が変わる激戦の末に畠山が斎藤を下した[4]。順位戦の最終結果は5勝7敗のクラス11位で残留を果たした。
  • 第78期順位戦(2019年度)B級1組で、9月12日に行われた斎藤慎太郎との師弟対決に勝利し、勝数規定によって八段に昇段した[5]。しかし、順位戦では斎藤以外の棋士に苦戦して3勝9敗のクラス13位(最下位)に終わり、B級2組へ降級。9勝3敗のクラス2位でA級への昇級を決めた弟子の斎藤と対照的な結果となった。
  • 2022年3月5日、第1回ABEMA師弟トーナメント決勝で斎藤慎太郎とのチームでチーム鈴木(鈴木大介梶浦宏孝師弟)に勝利し、チーム戦の非公式棋戦ながら棋士人生初の優勝を果たした[6]
  • 2023年9月11日、通算600勝を達成し史上60人目の将棋栄誉賞を受賞した。順位戦B級2組では、第81期第82期と連続で降級点を喫し、C級1組に降級となった。

棋風

居飛車党である。名前に反して“マモルは攻める”と言われるほどの、攻め将棋である。逆に兄の成幸は守る(受ける)傾向があり軟体受けで知られる。

人物

  • 関西奨励会幹事を長年務め、奨励会員を礼儀作法や生活態度について厳しく指導し、関西の若手棋士が次々と台頭する礎を築いた。特に糸谷哲郎には奨励会に在籍していた時期、畠山自身「奨励会員の中でこんなに叱った子はいない」と述懐するくらい、厳しく礼儀作法を教えた。
  • 上述のような経緯もあってか、糸谷が棋士になってからも二人は深く交流があり、また糸谷のいない席においても畠山はよく彼の話題を口にする。将棋世界の関西若手の特集等において、しばしば糸谷の才能を評価している旨の発言をする他、第23期竜王戦決勝トーナメント久保利明郷田真隆戦において、控え室で検討していた畠山が「居飛車が苦しいです」と発言したところ記者に「断言ですか?」と訊かれ、「文句があるならかかってこい、糸谷!!!!」と何故かその場にいない糸谷の名前を口にしたという逸話もある[7]
  • 高校卒業直後、当時三段リーグに参加していた頃に、奨励会の規則で将棋関係以外のアルバイトが禁止されていたにもかかわらず、本人曰く「好奇心」からコンビニエンスストアでアルバイトをしていたことがある。一度将棋に専念するつもりでバイトを辞めるが、その数日後に店に泥棒が入り内部犯行が疑われたため店に戻ることになり、結局四段昇段の2ヶ月前まで働いていた[8]

弟子

棋士

名前 四段昇段日 段位、主な活躍
斎藤慎太郎 2012年4月 1日 八段、王座1期、A級在籍4期
黒田尭之 2019年4月 1日 五段

(2023年3月2日現在)

昇段履歴

  • 1984年12月10日 : 6級 = 奨励会入会
  • 1985年03月10日 : 5級
  • 1985年07月10日 : 4級
  • 1985年09月10日 : 3級
  • 1986年02月10日 : 2級
  • 1986年04月10日 : 1級
  • 1986年11月05日 : 初段
  • 1987年09月10日 : 二段
  • 1988年03月20日 : 三段(第3回奨励会三段リーグ<1988年前期>よりリーグ参加)
  • 1989年10月01日 : 四段(第5回奨励会三段リーグ成績1位) = プロ入り
  • 1993年12月24日 : 五段(勝数規定 /公式戦100勝、通算100勝66敗)
  • 1999年04月27日 : 六段(勝数規定 /五段昇段後公式戦120勝、通算220勝142敗)[9]
  • 2006年04月01日 : 七段(竜王ランキング戦1組在籍 = 昇段規定改定[10]、順位戦B級1組昇級[11]、通算369勝246敗)[12]
  • 2019年09月12日 : 八段(勝数規定 /七段昇段後公式戦190勝、通算559勝470敗)[5]

主な成績

非公式戦優勝

  • ABEMA師弟トーナメント(2022年・第1回 - チーム畠山<畠山鎮・斎藤慎太郎>)

在籍クラス

順位戦・竜王戦の在籍クラスの年別一覧
開始
年度
(出典)順位戦
出典[13]
(出典)竜王戦
出典[14]
名人 A級 B級 C級 0 竜王 1組 2組 3組 4組 5組 6組 決勝
T
1組 2組 1組 2組
1989 48 昇段前 3 6組 -- 4-1
1990 49 C250 6-4 4 5組 0-1 5-0
1991 50 C223 8-2 5 4組 -- 1-2
1992 51 C205 6-4 6 4組 -- 4-1
1993 52 C214 6-4 7 3組 -- 2-2
1994 53 C219 7-3 8 3組 -- 1-2
1995 54 C211 7-3 9 3組 -- 2-2
1996 55 C207 9-1 10 3組 -- 3-2
1997 56 C120 7-3 11 3組 -- 1-2
1998 57 C106 6-2 12 3組 1-1 3-1
1999 58 C111 8-2 13 2組 -- 2-2
2000 59 C103 6-4 14 2組 1-1 3-1
2001 60 C108 8-2 15 1組 -- 2-2
2002 61 B220 8-2 16 1組 -- 1-2
2003 62 B202 6-4 17 1組 -- 1-3
2004 63 B207 6-4 18 2組 -- 5-1
2005 64 B205 10-0 19 1組 1-1 3-1
2006 65 B112 7-5 20 1組 -- 0-2
2007 66 B107 6-6 21 2組 -- 0-2
2008 67 B106 6-6 22 3組 -- 2-2
2009 68 B108 4-8 23 3組 -- 3-1
2010 69 B111 5-7 24 2組 -- 3-2
2011 70 B110 5-7 25 2組 -- 1-2
2012 71 B111 6-6 26 2組 -- 2-2
2013 72 B107 5-7 27 2組 -- 1-2
2014 73 B109 5-7 28 2組 -- 1-2
2015 74 B109 4-8 29 2組 -- 0-2
2016 75 B111 3-9 30 3組 -- 3-1
2017 76 B201 9-1 31 3組 -- 0-2
2018 77 B113 5-7 32 3組 -- 1-2
2019 78 B111 3-9 33 3組 -- 0-2
2020 79 B202 6-4 34 4組 -- 0-3
2021 80 B207 6-4 35 5組 -- 1-2
2022 81 B208x 2-8 36 5組 -- 2-2
2023 82 B227*x 2-8 37 5組 -- 1-2
2024 83 C103 38 5組 --
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/PO含まず)。
順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 )
順位戦の「F編」はフリークラス編入 /「F宣」は宣言によるフリークラス転出。
竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。

年度別成績

公式棋戦成績
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
1989 15 10 5 0.6667 [15]
1990 49 30 19 0.6122 [16]
1989-1990
(塁計)
64 40 24
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
1991 36 19 17 0.5278 [17]
1992 29 18 11 0.6207 [18]
1993 46 31 15 0.6739 [19]
1994 38 19 19 0.5000 [20]
1995 33 21 12 0.6364 [21]
1996 33 20 13 0.6061 [22]
1997 39 23 16 0.5897 [23]
1998 41 28 13 0.6829 [24]
1999 36 20 16 0.5556 [25]
2000 44 27 17 0.6136 [26]
1991-2000
(小計)
375 226 149
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
2001 38 25 13 0.6579 [27]
2002 33 18 15 0.5455 [28]
2003 31 18 13 0.5806 [29]
2004 40 19 21 0.4750 [30]
2005 34 23 11 0.6765 [31]
2006 27 15 12 0.5556 [32]
2007 32 15 17 0.4688 [33]
2008 28 14 14 0.5000 [34]
2009 36 17 19 0.4722 [35]
2010 32 15 17 0.4688 [36]
2001-2010
(小計)
331 179 152
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
2011 35 19 16 0.5429 [37]
2012 30 13 17 0.4333 [38]
2013 26 11 15 0.4231 [39]
2014 33 15 18 0.4545 [40]
2015 30 11 19 0.3667 [41]
2016 31 12 19 0.3871 [42]
2017 32 18 14 0.5625 [43]
2018 30 12 18 0.4000 [44]
2019 24 6 18 0.2500 [45]
2020 32 14 18 0.4375 [46]
2011-2020
(小計)
303 131 172
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
2021 28 10 18 0.3571 [47]
2022 23 6 17 0.2609 [48]
2023 32 14 18 0.4375 [49]
2021-2023
(小計)
83 30 53
通算 1157 606 551 0.5237 [50]
2023年度まで

その他表彰

脚注

注釈

出典

  1. ^ ただし、成幸には棋戦優勝歴(早指し新鋭戦)があるのに対し、鎮には優勝歴がない。
  2. ^ 第76期名人戦・順位戦 B級2組”. www.shogi.or.jp. 2024年8月6日閲覧。
  3. ^ 2018年9月|月間対局結果」『日本将棋連盟』。オリジナルの2018年10月2日時点におけるアーカイブ。2018年10月2日閲覧。
  4. ^ 朝日新聞将棋取材班「ツィート」『Twitter』2018年9月25日。オリジナルの2018年10月2日時点におけるアーカイブ。2018年10月2日閲覧。
  5. ^ a b “畠山鎮七段が八段に昇段”. 日本将棋連盟. (2019年9月13日). https://www.shogi.or.jp/news/2019/09/post_1823.html 2019年9月13日閲覧。 
  6. ^ “初代No.1師弟は畠山鎮八段・斎藤慎太郎八段 フルセットの激闘制し「びっくりしています」/将棋・ABEMA師弟トーナメント”. ABEMA TIMES. (2022年3月6日). https://times.abema.tv/articles/-/10016495 2023年12月9日閲覧。 
  7. ^ 2010年7月28日 決勝トーナメント 久保利明二冠 対 郷田真隆九段|第26期竜王戦”. live.shogi.or.jp. 2024年8月6日閲覧。
  8. ^ 畠山鎮三段(当時)「優しさなんて捨てたい。僕は普通の男じゃないから」 | 将棋ペンクラブログ”. web.archive.org (2014年7月29日). 2024年8月6日閲覧。
  9. ^ 近代将棋(1999年7月号)』近代将棋社/国立国会図書館デジタルコレクション、166頁https://dl.ndl.go.jp/pid/6047371/1/84 
  10. ^ この年から竜王戦の昇段規定が改定され、1組に在籍した時点で七段となるため。
  11. ^ 竜王戦の規定による昇段と、順位戦の規定による昇段とが、たまたま同じ日付になった。
  12. ^ 2006年4月1日付・昇段昇級者など(2006年4月7日時点のアーカイブ)”. web.archive.org (2006年4月7日). 2024年8月6日閲覧。
  13. ^ 名人戦・順位戦”. 日本将棋連盟. 棋戦. 2023年12月2日閲覧。
  14. ^ 竜王戦”. 日本将棋連盟. 棋戦. 2023年12月2日閲覧。
  15. ^ [1][名無しリンク]
  16. ^ [2][名無しリンク]
  17. ^ [3][名無しリンク]
  18. ^ [4][名無しリンク]
  19. ^ [5][名無しリンク]
  20. ^ [6][名無しリンク]
  21. ^ [7][名無しリンク]
  22. ^ [8][名無しリンク]
  23. ^ [9][名無しリンク]
  24. ^ [10][名無しリンク]
  25. ^ [11][名無しリンク]
  26. ^ [12][名無しリンク]
  27. ^ [13][名無しリンク]
  28. ^ [14][名無しリンク]
  29. ^ [15][名無しリンク]
  30. ^ [16][名無しリンク]
  31. ^ [17][名無しリンク]
  32. ^ [18][名無しリンク]
  33. ^ [19][名無しリンク]
  34. ^ [20][名無しリンク]
  35. ^ [21][名無しリンク]
  36. ^ [22][名無しリンク]
  37. ^ [23][名無しリンク]
  38. ^ [24][名無しリンク]
  39. ^ [25][名無しリンク]
  40. ^ [26][名無しリンク]
  41. ^ [27][名無しリンク]
  42. ^ [28][名無しリンク]
  43. ^ [29][名無しリンク]
  44. ^ [30][名無しリンク]
  45. ^ [31][名無しリンク]
  46. ^ [32][名無しリンク]
  47. ^ [33][名無しリンク]
  48. ^ [34][名無しリンク]
  49. ^ [35][名無しリンク]
  50. ^ [36][名無しリンク]
  51. ^ “畠山鎮八段、600勝(将棋栄誉賞)を達成|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟. (2023年9月29日). https://www.shogi.or.jp/news/2023/09/600_18.html 2023年9月29日閲覧。 

関連項目

外部リンク




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「畠山 鎮」の関連用語

畠山 鎮のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



畠山 鎮のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
日本将棋連盟日本将棋連盟
Copyright(C) 2024 Shogi Association, All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの畠山鎮 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS