けんこう‐こつ〔ケンカフ‐〕【肩甲骨/肩×胛骨】
肩甲骨
【英】:Scapula
胸郭の背側上外部で第2~第8肋骨の間に接する骨であるから三角形の偏平骨。肋骨面(前面)と背面の2面、内側縁・外側縁・上縁の3縁、上角・下角・外側角の3角を区別する。外側角の部分は上縁と外側縁の合するところで肥厚しており、その外側端に楕円形の関節窩がある。関節下の上・下には関節状結節および関節下結節があって、それぞれ上腕二頭筋長頭、上腕三頭筋長頭がおこる。また、関節下の内方はやや細くなっており肩甲頚という。肋骨面は全体に浅くへこんでおり肩甲下窩という。背面の上部には肩甲棘というほぼ水平に走る隆起があり、その尖端は大きく扁平な突起となって関節窩の外方へ突き出していて肩峰とよばれる。肩峰の内側面には鎖骨との関節面である肩峰関節面がある。背側面は肩峰棘によって二分され、上方の比較的小さいくぼみを棘上窩、下方に広いくぼみを棘下窩という。上縁は外側に向かってやや下方に向いているが、その外側端には肩甲切痕という小さい切れ込みがある。また、肩甲切痕と関節窩の間から鈎状の烏口突起が前方に突き出している。
語源はローマ時代にはscapulaは「背なか」を意味していた。17世紀にフランスの解剖学者リオランJ.Riolanがギリシャ語のSkaptein(掘る)に由来するscapulaを肩甲骨に初めて採用したという。この骨の形がシャベルに似ているからである。日本では肩甲骨のことを俗に「貝がらぼね」という。
肩甲骨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/12 02:01 UTC 版)
骨: 肩甲骨 | |
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ヒトの左肩甲骨 | |
名称 | |
日本語 | 肩甲骨 |
英語 | shoulder blade |
ラテン語 | scapula |
関連構造 | |
上位構造 | 肩帯 |
画像 | |
アナトモグラフィー | 三次元CG |
関連情報 | |
MeSH | Scapula |
グレイの解剖学 | 書籍中の説明(英語) |
肩甲骨(けんこうこつ、英名: shoulder blade、羅名: scapula、pl. scapulae、肩胛骨とも)は、四肢動物の肩帯を構成する骨の一つである。日本語で「かいがらぼね」[1]「かいがね」[2]ともいった。
ヒトの肩甲骨は肩に一対あり、後方から肋骨を覆っている三角形状をした大型の骨である。
構造
表面
肋骨面 (前面)
肋骨面あるいは前面(図1)は凹面になっていて、肩甲下窩(けんこうかか)と呼ばれる[3]。
肩甲下窩の内側3分の2には、外側に向かって斜めに上行する数本の稜線が走る。この稜線からは肩甲下筋腱が起始して、稜線の間は貝殻面状になっている。肩甲下窩の外側3分の1は滑らかで肩甲下筋の線維に覆われている。
肩甲下窩の上部には陥凹部が横走し、ここから骨が直角に立ち上がっているように見え、関節窩まで続いている。この構造がしっかりとした角を形成しており(肩甲下角と呼ばれる)、アーチ型のこの構造によって肩甲骨は脊柱と肩峰を支えられるだけの力を生み出している。
背側面(後面)
背側面(図2)は上下方向にアーチを形成しており、肩甲棘(けんこうきょく)によって不等に二分[3]される。肩甲棘より上方を棘上窩(きょくじょうか)、下方を棘下窩(きょくかか)という[3]。
- 棘上窩は上方のより狭い部分で滑らかな凹面をなし、脊椎側が上腕骨側よりも広い。内側3分の2は棘上筋の起始部である。
- 棘下窩は棘上窩よりもかなり広く、上部では脊椎側の縁にかけてかすかな凹面をなしているが、中央部では明らかに凸面となり、腋窩に近い縁では深い溝が上部から下部に向かって走行している。棘下窩の内側3分の2は棘下筋の起始部であり、外側3分の1は棘下筋に覆われている。
背側面で目立つ構造は腋窩側の縁にある隆起で関節窩下部から下方に、また脊椎側縁にむけて内側方向に走行し、下角の約2.5cm上方の部分まで達している。この隆起には線維性の隔壁が付着し、棘下筋と大円筋および小円筋を分離している。
この隆起と腋窩側の縁(内側縁)にはさまれた部分のうち上方3分の2は細長く、その中央には肩甲骨回旋動静脈がはしり、またここは小円筋の起始部になっている。
その下3分の1の部分はやや広い三角形の形をしており、大円筋起始部である。またその上を広背筋が走行しており、しばしば広背筋のうちのある線維はこの部分に起始部がある。
この腋窩側のせまい上下二つの部分は腋窩縁から下方・内側方へ斜行する隆起によって隔てられ、この隆起にも線維隔壁が付着していて大円筋と小円筋を分離している。
周縁
肩甲骨には三つの周縁がある。
- 上縁は最も短く薄い。凹面で上角から烏口突起まで続いている。ヒト以外の動物では頭側縁に相当する。
- 腋窩側縁あるいは外側縁は最も厚い。関節窩の下縁に始まり、斜め下方・後方に走り下角に終わる。動物では尾側縁に相当する。
- 脊椎側縁あるいは内側縁は最も長く、上角から下角に続く。動物の背側縁に相当する。
肩峰
肩峰(けんぽう)は肩の最も上の部分となる大きくやや三角型あるいは楕円形の突起である。前方に行くにつれ平たくなり、関節窩を覆うかのように始めは外側に、やがて前方および上方に曲面を描いている。
発生
肩甲骨の大部分は膜性骨化によって形成される[4]。周囲の部分には出生時には軟骨であり、その後軟骨内骨化によって形成されるものがある[5]。
突起や骨の厚い部分は内部に海綿骨組織を含むが、その他の部分は緻密骨の薄い層のみで形成されている。
棘上窩の中央部および棘下窩の上部、特に前者はヒトでは通常非常に薄く半透明になっていて、時として骨が欠失し、隣接する筋群が線維組織のみで隔てられていることもある。
肩甲骨と関節する骨
肩甲骨肩峰が鎖骨と関節し肩鎖関節をなし、上腕骨と関節し肩関節をなす。
肩甲骨から起始する筋
肩甲骨に停止する筋肉
脚注
参考文献
- 原著 森於菟 改訂 森富「骨学」 『分担解剖学1』(第11版第20刷)金原出版、東京都文京区、2000年11月20日、19-172頁。ISBN 978-4-307-00341-4。
- medcyclopaedia
- bartleby.com
関連項目
- 人間の骨の一覧
- 回旋筋腱板(ローテータカフ)
- オモプラッタ(ポルトガル語で、肩甲骨の意味。格闘技の関節技。)
外部リンク
- 肩甲骨 - 慶應医学部解剖学教室 船戸和弥
肩甲骨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 04:37 UTC 版)
脊柱とは関節しておらず(このために前肢の自由な動作が可能となる)、外側の面に肩甲棘とよばれるはっきりした隆起線が前後に走る(爬虫類の肩甲骨には肩甲棘がない)。
※この「肩甲骨」の解説は、「哺乳類」の解説の一部です。
「肩甲骨」を含む「哺乳類」の記事については、「哺乳類」の概要を参照ください。
肩甲骨
出典:『Wiktionary』 (2021/07/29 12:36 UTC 版)
名詞
翻訳
「肩甲骨」の例文・使い方・用例・文例
- 肩甲骨に関して、または、それの近くで
- 肩甲骨と上腕骨に関連するさま
- 肩甲骨と胸骨を結ぶ骨
- 肩関節を形成する上腕骨の上部を支える肩甲骨の上部にある陥没部
- 肩甲骨の最も外側にあるとげ状突起物
- 上腕の頭部と肩甲骨の腔の間の球窩関節
- 肩甲骨を回転させ、胸郭を持ち上げる筋肉
- 肩甲骨を下に引く、または肋骨を持ち上げる骨格筋
- 肩甲骨を動かすのを助ける上背のいくつかの筋肉の総称
- 脊柱の方へ肩甲骨を引き寄せるひし形筋
- 脊椎とその少し上方へと肩甲骨を引っ張る菱形筋
- 人間における、鎖骨と肩甲骨によって形成された骨のアーチ
- 首から肋骨への前四分体の、また肩甲骨を含む部分
- 牛の肩甲骨から切り取った肉
- 肩甲骨から取り除かれたロースト
- 上腕骨頭は、肩甲骨のくぼみに収まっている上腕の頭部である
- 肩甲骨の間でうなじのすぐ下にある灸点
- 肩甲骨の間でうなじのすぐ下にある灸点にする灸
肩甲骨と同じ種類の言葉
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