菌糸体間の関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 00:18 UTC 版)
寒天培地上に野外の試料を接種して培養すると、そこから多数の菌糸が伸び出すのが見られる。当然ながら複数種の菌糸が伸び出し、それらは同じ範囲で入れ違いながら伸びている。この段階では、複数の菌糸体が同じ空間で重複していると考えられる。 しかし、ある程度成長すると、それらは密な場所と素な場所が出来て、ある程度の空間のずれを生じるように見える。つまり菌糸体はそれぞれの個体としての勢力圏を持ち、互いの間に反発的な働きがあるものと考えられる。このことは、それぞれの菌糸がその周囲の基質から栄養をとることで生きていることから考えても、納得のいくところである。 野外において菌糸を見いだすことは難しいので、この様子を把握するのは簡単ではない。比較的観察しやすいのは広葉樹の枯葉の場合で、土壌に落ちて分解の始まった枯葉を見ると、いくつかの区画に分かれ、それぞれが、やや異なった色になっている場合がある。これは、各々の区画がそれぞれ異なった菌糸体である場合がある、これらは小型の子嚢菌である場合が多く、よく見れば粒状の小さな子実体が見られることもある。それぞれの区画の分かれ目では互いの菌糸の間の競争が行われているのであろう。キノコにおいても同様な現象があると考えられている。
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