【SA-5】(えすえーご)
旧ソ連が開発した、初の長距離地対空ミサイル
NATOコードではSA-5「ガモン」と言い、ロシア国内ではS-200「アンガラ」と呼ばれる。
1950年代初期に開発が始まり、1963年には初期型であるS-200が配備された。
本ミサイルは、SA-2「ガイドライン」・SA-3「ゴア」に続く固定式中距離地対空ミサイルの一種で、同系の分類では最終型にあたる。
その後、現在までこのような型は見られていない。
理由は短距離地対空ミサイルに続き中・長距離地対空ミサイルも1970年代から攻撃拠点を直ぐに変え移動する事が出来る「機動性重視」の時代に入ったためで、移動の出来ない「固定式」は過去の産物と化してしまった。
しかし、SA-5は現在でも多くの国で使われており、その理由は「射程距離の長さ」からだと思われる。
主な使用国はロシア・ウクライナ・ウズベキスタン・カザフスタン・トルクメニスタン・ベラルーシ・モルドバをはじめとするCIS諸国、ポーランド・ハンガリー・ブルガリア・スロバキア等の旧ワルシャワ条約機構参加各国、イラン・シリア・インド・北朝鮮等のアジア諸国である。
本ミサイルのシステムは、200~600kmの範囲で索敵可能なP-35/37・PRV-11・P-15M2・P-14等の各種レーダーと発射機・弾体からなる。
ミサイルの弾体は2段式固体燃料ロケットで飛翔し、発射後の誘導はARH及び指令誘導を用いる。
弾頭は核弾頭と通常弾頭の2種類がある。
最大射程は少なくとも70km以上と言われるが、「250~300kmまで到達可能」との不確定情報も有る(飛行高度は30~35,000m)。
なお、一説では対地攻撃にも利用可能だという。
2001年10月のウクライナ軍の演習で、当ミサイルがイスラエル・テルアビブからロシア・ノボシビルスクに向けて黒海上空を飛行中であったシベリア航空のTu-145旅客機を誤射・撃墜し、乗員・乗客78人が全員死亡する大事故を起こしている。
スペックデータ
全長 | 10.5m(S-200) 10.8m(S-200V) 10.8m(S-200D) |
直径 | 86cm、48cm(ブースター) |
翼幅 | 2.85m |
発射重量 | 2,800kg |
射程 | 7~160km(S-200) 7~250km(S-200V) 7~400km(S-200D) |
速度 | 700~2,500m/sec |
飛行高度 | 30~20,000m(S-200) 30~29,000m(S-200V) 30~35,000m(S-200D) |
推進方式 | 2重推進固体燃料ロケットモーター、固体補助ブースター(4本) |
弾頭 | HE 高性能炸薬破片弾頭(100kg)または核弾頭(25kT) |
誘導方式 | 指令(コース補正信号を用いる)/アクティブレーダー |
バリエーション
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