今年8月、フランス人デザイナーのローランス・デカド(Laurence Dacade)が手掛けるシューズブランド「ラカド(LACADE)」が本格始動する。デビューコレクションは全5型で、価格帯は5万〜8万円台。メイドインジャパンにこだわり、全て東京・浅草の工場で製作している。このほど来日したデカドに、シューズの特長や日本とのつながり、今後の目標を聞いた。
デカドは2002年、自身の名を冠したシューズブランド「ローランス・デカド(LAURENCE DACADE)」をスタートした。エレガントな佇まいと歩きやすさを両立したデザインが特長で、これまで「ジバンシィ(GIVENCHY)」や「バルマン(BALMAIN)」、「カール・ラガーフェルド(KARL LAGERFELD)」などとコラボした。現在はフランスのビッグメゾンでチーフシューズデザイナーも務めている。
「ラカド」のシューズは、日本の女性のファッションに着想している。デカドは、5型に共通しているかかと部分のスタッズを「日本の女性はロングスカートがよく似合う。このデザインは、スカートからのぞくと良いアクセントになるだろう」と説明する。デザイン画にはソックスまで描き込み、どのシューズも日本で定番の足元コーデを前提にしている。フラットなシューズに支持が集まる日本市場に向け、あえてハイヒールはラインアップしない。
そんな「ラカド」の成り立ちを語る上で欠かせないのは、1人の日本人女性。ブランドの創立者である麻生千明氏の存在だ。彼女は02年に米・ニューヨークのグレッグ ミルズ ショールームでホールセールビジネスの経験を積んだのち独立し、09年に南青山にショールーム アイコン(19年に解散)を立ち上げた。現在は、フリーのセールスエージェントとして活躍している。麻生創立者は、「私がグレッグ ミルズ ショールームで働き始めた年に、ローランスは『ローランス・デカド』を立ち上げ、商談に来た。そこから親交が深まり、今では20年来の友人だ」と振り返る。デカドは「『ラカド』は千明とのフレンドシップ(友情)から誕生した。そもそも私がシューズのデザインを始めたきっかけも、とある日本のブランドからの依頼だった。その後、『ローランス・デカド』を初めて買い付けてくれたのも日本のショップ。日本とは何かと縁がある人生だったと思う」と続ける。
しばらくは、公式ECやポップアップストア、セレクトショップへの卸で販売し、認知を獲得していく。麻生創立者は、「まずは日本でゆっくりとブランドを育てたい。身につける人の生涯に寄り添うシューズ作りを心がけているため、全く焦る必要はないと感じている。タイミングが来たら、アジア、そして世界へ羽ばたける準備も整えていけたら」と展望する。