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セブン&アイ・ホールディングス(HD)は1日、百貨店「そごう・西武」について、同日付で米投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」への売却が完了したと発表した。売却額は8500万円。そごう・西武の企業価値は2200億円としたが、同社が抱える有利子負債約3000億円などを考慮して決定した。セブン&アイは当初、そごう・西武の企業価値を2500億円としていたが、実際の売却額は大幅に下回った。
セブン&アイは同日、2024年2月期連結決算の業績予想で、最終利益を4月時点の予想に比べて550億円少ない2300億円に下方修正した。過去最高を見込んでいたが、一転して減益となる。そごう・西武の経営を支援するため、同社に対して保有する債権1659億円のうち916億円分を放棄する影響などを見込んだ。井阪隆一社長は1日朝、記者団の取材に応じ、「残念ながら私どもの経営資源では、そごう・西武を成長させることができなかった」と話した。
一方、そごう・西武労働組合のストライキを受けて8月31日に臨時休業した西武池袋本店(東京都豊島区)は1日、営業を再開した。
今後は、新たな親会社となったフォートレスのそごう・西武再建策が焦点になる。そごう・西武の代表取締役には、1日付でフォートレス日本法人の劉勁氏が就任したことが分かった。田口広人社長は代表権のない取締役執行役員社長となった。セブン&アイの役員を兼務している山口公義副社長らは退任した。
フォートレスは池袋本店などに約200億円以上を投資して改装する計画だ。現時点では雇用継続も表明している。ただ、フォートレスは9月中にも、そごう・西武が保有する池袋本店の土地などを、連携する家電量販大手のヨドバシHDに3000億円弱で売却する方針だ。そごう・西武は入居するテナントの一つになる。労組が強く求めていた百貨店としての店舗運営が見直される可能性がある。