再エネ拡大しない場合の「リスクシナリオ」、LNGは2040年度に4割増…原発は2割に据え置き
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経済産業省が公表したエネルギー基本計画の原案で、再生可能エネルギーを想定通りに拡大できない場合などについて試算した「リスクシナリオ」が明らかになった。火力の発電量が増え、2040年度に必要な液化天然ガス(LNG)は原案より最大で約4割多くなるとしている。原案では40年度に13年度比で73%減らすとした温室効果ガスの排出量は、61%減にとどまる。
経産省は近く有識者会議で試算を示し、再生エネの拡大支援策やLNGの確保策を議論する。これまでの会議では有識者から、将来の国際的なLNG需要の高まりに備え、短期的な価格変動を避けられる長期契約の重要性を指摘する声が出ている。
原案では、40年度の電源構成目標を再生エネは4~5割、火力は3~4割としている。再生エネの拡大には新技術の導入を見込むが、技術革新が進まずに発電コストが下がらない場合、再生エネは4割にとどまる。
再生エネのうち、太陽光は薄くて曲げられる次世代の「ペロブスカイト太陽電池」を切り札に導入を急ぐ考えだが、普及に向けたコスト削減は見通せていない。
原案では、太陽光は40年度に23~29%で再生エネの6割程度を占めると見込んでいるのに対し、リスクシナリオでは実用化の遅れなどで14%とした。
火力は4割となる。二酸化炭素(CO2)の排出量が多い石炭火力を減らしてLNG火力の重要度が増すため、40年度に必要なLNGは23年度実績比で11%増の7400万トンとなり、原案と比べると2~4割多くなる見通しだ。
安定的に発電できる原子力の割合は、リスクシナリオでも原案と同じ2割に据え置いている。