「管理職になりたくない」というモヤモヤの正体
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看板アナウンサーだった有働由美子さんが今年3月末、NHKを退職した。情報番組「あさイチ」卒業後は、管理職への転身がささやかれていたが、現場への強いこだわりを見せ、「組織を離れる決断をした」という。最近、出世や昇進をためらう若者が増えている。なぜ、管理職になりたくないのか。経営コンサルタントの高橋克徳氏に解説してもらった。
「管理職になりたくない」
あなたも本当は、そう思っていないでしょうか。
わたしはバブル期入社組です。会社に入れば、いつかは管理職という責任ある立場になることが当たり前で、自分が認められた証しであると教わってきた世代です。ところが最近、中堅・若手世代を中心に、「管理職になりたくない」と意思表示する社員の割合が増えているというのです。
実際にいくつかの調査機関が実施したアンケート結果を見ると、いずれも、男性の若手・中堅社員では5割前後、女性の若手・中堅社員では8割以上が「管理職になりたくない」と回答しています。
あなたはこの数字を見てどう思いますか。
「何を甘えたことを言っているんだ。責任ある立場になることが、個人の成長にとって必要なのだから逃げてはいけない」
こんなふうに、手厳しく叱責する人もいるでしょう。
「実は、自分だってやりたくてやっているわけではない。今の管理職が置かれた状況を見れば、中堅や若手社員がそう言いたくなる気持ちも分かる」
自らの苦い経験から、こう理解を示す管理職もいるかもしれません。
問題は、この「管理職になりたくない」という意思表示の裏に、どのようなメッセージが隠されているかです。
「なぜ、なりたくないのか」と聞けば、「自分は管理職に向いていないから」「家庭との両立が難しいため」「負担や責任が増えるから」「負担に見合う見返りがないから」などという言葉が返ってきます。
しかし、理由を深く聞いていくと、そこには「管理職」という存在、そこから企業社会のあり方そのものに抱いているモヤモヤとした根本的な違和感が見えてきます。