刑法犯の検挙件数19年ぶり増加、コロナ禍収束が影響か
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法務省は20日、今年の「犯罪白書」を公表した。昨年1年間の刑法犯の検挙件数は前年比7・7%増の26万9550件で、19年ぶりに増加に転じた。新型コロナウイルス禍が収束し、犯罪の機会が増えたことなどが影響したとみられる。白書は、SNSを通じた「闇バイト」問題に初めて言及し、少年が重大犯罪に加担していると警鐘を鳴らした。
刑法犯の検挙件数は1985年の103万2879件をピークに、減少傾向に転じた。2005年からは18年連続で減り、コロナ禍の22年は25万350件で戦後最少となっていた。
23年の検挙件数の内訳を見ると、強盗1232件(前年比16・2%増)、傷害1万7954件(同13・3%増)、暴行2万4869件(同6・7%増)となっており、増加が目立った。新型コロナウイルスが23年5月に感染症法上の「5類」に移行し、人の移動が活発化して犯罪が発生する機会も増加したことなどが一因になったとみられる。
特殊詐欺も、前年比8・6%増の7212件となった。高額の報酬を示唆して犯罪の実行者を募集する「闇バイト」に触れ、少年が特殊詐欺や強盗などに加担し大きな社会問題になっていると指摘。こうした犯行には、SNSでつながって離合集散を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)が関与している場合があるとした。
刑法犯以外を含む検挙状況では、児童虐待が前年比9・4%増の2385件、危険運転致死傷は同6・5%増の783件で、いずれも過去最多だった。大麻取締法違反も同19・5%増の8232件、サイバー犯罪も同0・9%増の1万2479件となり、これまでで最も多かった。
このほか、白書では、再犯状況も分析した。昨年の刑法犯の検挙者数18万3269人のうち、再犯者は8万6099人で、「再犯者率」は前年から0・9ポイント減の47・0%となった。過去最悪だった20年の49・1%からは低下したものの、高止まりの状態が続いている。
22年に刑務所を出所後、2年以内に再び罪を犯して入所した「再入率」は13・0%で過去最少を更新した。