「オーバーツーリズム」の京都・東山、敷地に無断侵入・欄干破壊…住人たちは何を思う?
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大勢のインバウンド(訪日外国人客)らが訪れる世界遺産・清水寺(京都市東山区)周辺。課題となっている「オーバーツーリズム」について、住民らはどう感じているのだろう。「地元の本音」を知りたいと、現場を歩いた。(東大貴)

「写真禁止」
1月30日、清水寺に続く参道「二年坂」や「
この時期は、中国の旧正月「春節」にあたり、中国人観光客の姿も目立った。江西省から訪れた程洪さん(60)は「東京や大阪も有名だけど、京都は特別。竹林(の
参道を1本外れると、古民家が立ち並んでいた。全国屈指の観光地だが、生活空間は想像よりすぐそばにある。
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軒先に「写真禁止」を示す英語の注意書きを掲げる家もあった。付近では記念撮影用の着物をレンタルするビジネスが盛んで、住人の女性(39)は「古民家を背景に撮影しようと、無断で敷地内に立ち入る人がいる」と自前で対策を講じたという。
周囲は民泊に姿を変えた古民家も多く、路上駐車も目立つ。住人の女性は古都の風情が失われると懸念し、「景観を守る手立てを講じてほしい」と訴えていた。
悪質な振る舞い
悪質な観光マナーも問題となっている。近くの高台寺
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飲みかけのペットボトルが地蔵の隣に放置されたこともあり、青山
食べ歩きも多く、「清水坂」で創業100年以上という清水焼専門店を営む女性(81)によると、店内では天ぷらを持った手で商品に触れたり、溶けたアイスクリームを落として立ち去ったりする外国人がいたという。
中国語や英語で注意を呼びかける貼り紙を掲げて以来、こうした行為は減ったが、女性は「にぎわうのはうれしいけれど、一部の人にはモラルを持ってほしい」と求めている。

今年は大阪・関西万博が開かれる。ただでさえ混雑している人気観光スポットには、今まで以上に観光客が押し寄せる可能性もある。地域住民の生活を考えれば、対策は急務だと感じた。
京都市は「分散化」呼びかけ
京都市の観光総合調査によると、2023年の市内の観光客数は約5028万人、宿泊客数は約1475万人で、コロナ禍前の水準に戻りつつある。なかでも、外国人宿泊客は約536万人と過去最高となった。
市はオーバーツーリズム対策として、観光客に場所や時間などの「分散化」を呼びかけているが、外国人が清水寺周辺や錦市場(中京区)などに集中する状況は解消されていない。
市は新たな対策として、1人1泊あたりの宿泊税の上限額を1000円から1万円に引き上げる方針を示している。オーバーツーリズムに詳しい阿部大輔・龍谷大教授(都市計画)は「観光で得た利益を、京町家の修復や伝統芸能の人材育成、公共施設への投資に充てるなど、市民生活や街の魅力向上に生かす発想が重要。宿泊税の使い方を考える際、市民の意見を募るのも一案だ」と指摘する。