小泉氏、「解雇自由化」払拭に苦慮…討論会で労働者のメリット強調
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自民党総裁選に立候補した小泉進次郎・元環境相が、公約である解雇規制の見直しを巡り、「解雇自由化」のイメージを
企業が経営悪化などの理由で整理解雇をする際は、判例に基づき、人員削減の必要性や解雇回避の努力など四つの要件を満たす必要がある。
解雇回避努力には、配置転換などがあるが、小泉氏は討論会で、大企業にはリスキリング(学び直し)や再就職支援を新たに加える考えを改めて示した。
労働者が望まぬ配置転換や退職に直面する状況を改善し、成長産業への転職などを図るとともに、企業側にも「きめ細かい対応」(小泉氏)を課すというわけだ。再就職先が決まる前に離職を余儀なくされた場合の生活保障を含めることも検討している。
小泉氏は6日の出馬表明の記者会見で、解雇規制見直しについて「4要件が満たされないと人員整理が認められにくい状況を変えていく」と述べた。企業側の視点に立った説明が規制緩和と受け取られ、ほかの候補者から批判される事態となった。13日の日本テレビ番組では「緩和でも自由化でもない」と釈明に追われ、労働者側の視点に立った説明に腐心している。
もっとも、要件の見直しには着手するため、石破茂・元幹事長は14日の討論会で「4要件を具体的にどのように見直していくのか。本当に労働者の権利が守られるのか」と疑問を呈した。高市経済安全保障相も13日の共同記者会見で、「判例が積み上がって4要件が確立された。短い期間の議論で立法して判例を覆すのは容易ではない」と述べた。
小泉氏側の説明や例示が分かりにくいとの指摘も自民党内から出ている。小泉氏は14日の討論会で「例えば100人を整理解雇しなければいけない時に、今だと40人は配置転換、残り60人は今のままだと解雇だ」と話したが、財界関係者は「企業が解雇を決断しても、簡単に首を切れるわけではない」と首をかしげる。
父親の純一郎元首相による規制緩和、構造改革で非正規雇用が増加したとのイメージも影響しているようで、小泉氏の陣営関係者は「なんとか真意が伝わるようにしたい」と発信方法に頭を悩ませている。