Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

【続・留学生が見たリアル中国(3)完】中国人ショック「台湾は好きだが中国は嫌い」 北京での講演会の赤裸々な議論 (1/3ページ)

2013.06.06


春節を前に店頭に並んだ「釣魚島を愛している」(手前)、「東京大爆発」と書かれた花火のケース=北京(共同)【拡大】

 中国共産党機関紙、人民日報が「沖縄の帰属は未解決の問題」とする論文を掲載したことを受け、北京の某大学でこの問題をテーマにした講演が開かれたため、聞きに行った。会場からは「中国の自治区にしたらいい」という下心丸出しの意見も出る一方、「チベットやウイグルの帰属まで議論になる」と中国が抱える民族問題への“ブーメラン”を懸念する声も。若者たちの間に徹底していたのは、帰属の正当性そのものや沖縄県民の声よりも「中国にとって得か否か」だった。

■「チベット、ウイグル問題を突かれる」

 講演したのは、台湾中央研究院近代史研究所の林泉忠・副研究員。林氏は中国・アモイ生まれで香港育ち。東京大の法学博士号(国際政治学)を取得後、沖縄・琉球大の教員を約10年間務めたという経歴の持ち主。今回の人民日報の論文には批判的な立場であり、インターネット上で批判も浴びているようだ。

 林氏は講演の初めに、200人以上が詰めかけた会場で挙手によるアンケートをとった。「琉球(の帰属)について再び議論すべきか?」。

 結果は「賛成」85人、「賛成しない」24人、「なんともいえない」16人。約4割が意見を表明しなかったようだ。

 林氏がそれぞれの意見について理由を説明するよう促す。

 「私は琉球問題についてよく知らないので、議論を通じて皆がはっきり分かるようになればいい」と女子学生。続いてマイクを握った男子学生はこう言った。「現在の国際政治においては、米国の覇道を除けば、武力による民族への圧迫は少なくなっている。だから琉球の議論には賛成だ。小民族独立の潮流に適合する」

 ほう、中国人がそれを言うか。と思ったら、やっぱり次のような意見が出た。

 「私は反対だ。もし琉球の帰属を議論できるなら、チベットも(内)モンゴルも新疆(ウイグル自治区)も帰属について議論できる。中国はたちまち、この三つの問題について日本からたたかれることになる。これは受け入れられない」

 一方、こんな理由で「賛成しない」とした男子学生もいた。

 「今、琉球の帰属を議論しても中国の利益を最大化できない。今後もっと中国が強大になり、米国を追い越したころに議論するか、あるいは琉球を(中国の)自治区にしてしまえばいい」

 ザワザワ…。この計算高い下心こそ、多くの中国人の本音なのかもしれない。

 

産経デジタルサービス