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経費で落とせる費用とは?必要経費として認められる基準を解説

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経費で落とせる費用とは?必要経費として認められる基準を解説

監修: 香川 晋平 税理士

必要経費とは

必要経費とは、事業で収入を得るために使用された費用の総称です。一般的には「経費として認められるもの」という意味で広く使われていますが、厳密には所得税法の用語となり、法人税法においては「損金」といいます。

必要経費は所得を計算する際に差し引かれますが、計上できるのは定められた基準に沿ったもののみとなります。

経費として認められる基準

経費として認められるのは、以下の基準に該当する費用です。

  • 総収入金額に対応する売上原価、その他総収入金額を得るために直接要した費用
  • その年に生じた販売費、一般管理費、その他業務上の費用

上記のいずれかを満たした費用であれば、以下の所得のいずれかから差し引くことができます。

  • 事業所得:事業活動を通じて得た所得
  • 不動産所得:賃貸物件などを貸し付けて得た所得
  • 雑所得:ほかのどの所得にも属さない所得

給料などの「給与所得」や資産売却による「譲渡所得」といったその他の所得では経費を差し引くことはできません。

経費の計上時期

経費として計上できるのは、基本的にその年度において費用発生が確定している金額です。具体的には、以下の3つの要件をすべて満たす場合となります。

  • 事業年度終了日までに契約が成立している
  • 事業年度終了日までにその契約内容に基づいて商品やサービスの授受が完了している
  • 金額が合理的に算定でき、事業年度終了日までに確定している

ですので、先に支払いを済ませていても、その年度の費用でなければ「前払費用」などどして資産計上しなければなりません。反対に、費用を実際には支払っていなくとも、役務の提供が事業年度中に済んでいれば、「未払費用」などどして計上することになります。

ただし減価償却資産の場合は、一度資産として計上したのちに使用期間(耐用年数)に応じて分割して費用化することになっています。

経費として計上できる費用

経費として計上できる科目は、原則として「収支内訳書」や「損益計算書」に記載されています。どのような費用が経費になるのか、具体的に例を挙げて説明します。

給料などの人件費(給与賃金・外注工賃)

事業活動を行うにあたり、人を雇ったり、フリーランスなどの個人事業主や他社に業務を依頼(外注)することもあるでしょう。そのような場合に支払った給料や報酬は経費として認められます。

事務所家賃などの販管費(地代家賃・水道光熱費)

事業活動をする場合には事務所を構えたり、持ち家の一部を事務所として利用する場合もあるでしょう。事務所などを借りればテナント料や店舗家賃といった地代家賃が発生しますし、そこで仕事をすれば水道光熱費も発生します。また、建物や設備が壊れた際に発生する修繕費も経費に計上できます。

ただし、自宅兼作業場という場合は、事業で使用している分を按分計算しなければなりません。

情報収集や発信などの営業費用(通信費・広告宣伝費)

現代のビジネスではスマートフォンやパソコンなどは必須アイテムです。これらを使うための携帯料金や回線使用料も経費に計上できます。また、事業をPRするためにチラシやホームページを作成したり、広告を出したりした際の宣伝費用も経費として扱うことができます。

リスク管理に関する費用(貸倒金・損害保険料)

取引先の倒産や、事務所が災害に遭うリスクなどを考え、貸倒引当金を計上したり、火災保険や地震保険等に加入することがあります。こうした費用も一定の条件を満たせば経費として計上することが可能です。

接待や慰安に関する費用(接待交際費・福利厚生費)

ビジネスでは取引先などに接待をしたり、従業員の労働環境をよくするための取り組みも必要です。このような接待費用や福利厚生費用も、事業を行ううえで必要になるので計上できます。

ただし「接待交際費」については、個人事業主であれば金額上限はありませんが、法人の場合には「飲食した交際費の50%」または「年間800万円以下の交際費」が経費計上できる上限とされています。

経費として認められないもの

事業活動に関連する出費であっても、必要経費として計上できないものもあります。

家族に対して支払う家賃・給与

個人事業主が配偶者や親族のために支払った家賃や給与などは、必要経費として計上できません。これは配偶者や親族が事業主と「生計を一にする」とみなされ、給与として計上することで課税逃れをさせないためです。

ただし条件を満たせば、青色申告者の場合は「青色事業専従者給与」として支払った給与を経費として扱うことが認められます。白色申告者の場合は「事業専従者控除」として一定額の税額控除が認められます。

法人の場合は家族への給与も、不相当に高額でない限り経費とすることができます

事業を行うために融資を受けたお金(借入金)

事業活動を行うにあたり金融機関などから融資を受けることもあるでしょう。これらは「借入金」という負債項目で扱うので経費としては計上できません。ただし、借入金の返済のために支払った「利息」の部分は経費として扱います

各種税金(所得税・住民税・法人税など)

個人事業主の所得にかかる所得税や住民税は、事業ではなく個人に対して発生している税金であるため経費として認められません。法人の場合も、法人税や法人住民税は損金として計上できません。

ただし「事業税」や「固定資産税(業務に要した部分)」、「印紙税」など、事業に関連した部分にかかる税金については経費として計上できます。

出張で発生する実費弁償(出張手当)

出張の際、旅費交通費や宿泊費のほか、出張によって発生する細かな実費弁償を「出張手当」として支給することができます。出張手当が認められるには、役員や従業員など階級ごとに旅費規程としてルールを定めておく必要があります。

ただし個人事業主の場合、事業主本人への支給が経費として認められるのは実費分のみで、手当部分は経費として計上できません。

罰金や科料など

法律違反などをした結果、「罰金」や「科料」などの財産刑に処せられた際の支払いは必要経費に含めることはできません。

経費として認められる具体例

相談

ここまでで説明したように、経費として認められる基本的な判断基準は大きく次の3つとなります。

  1. 事業に関連する支出であること
  2. 支出を証明できる証拠があること
  3. 常識・良識の範囲内であること

以上を踏まえて、具体例をみていきましょう。

食事代やカフェで作業したときのお茶代

たとえば、「取引先との打ち合わせで相手方の食事代を負担した」場合、その出費は経費として計上することができます。

取引先などと飲食を共にし、それが仕事に直接関わることであったり、間接的であっても自身の事業に資するものであれば「接待交際費」として計上することができます。このとき、事業との関連性を説明できるように領収証の裏に日付や相手先の会社名、人数、会った目的などをメモしておきましょう。

また、「自宅では集中できないのでカフェで仕事をした」といった場合、1人で利用したとしても「仕事をする場所を確保するため」の支出なので経費として計上可能です。

しかし1人での利用は、事業との関連性をきちんと説明できなければ経費として認められない可能性が高いので注意しましょう。

打ち上げや接待での飲み代

「接待交際費」は事業に関係する接待に支払う費用ですが、事業に関連したかどうかの区別が曖昧になりがちです。

たとえば「取引先とプロジェクトの打ち上げで飲みに行き、代金を全額負担した」という場合。これについては飲み会、という場を使って取引先との関係を深めることで新たな契約を結んだり、契約を継続したりなどで利益につながると考えられるため、経費として認められる可能性が高いでしょう。

また、「同じ業界の友人と飲み会をして代金を割り勘で払った」場合、相手とプライベートでは友人関係であったとしても、情報交換や仕事の紹介につながるケースもあると考えられ、経費として認められやすいでしょう。

いずれにせよ、だれがだれと、どんな目的があって使用された費用なのかをきちんと説明できるように領収書をもらったり相手の名前をメモするなどの対応を忘れないようにしましょう。

旅行などのレジャー費用

それでは、レジャー費用を経費にできる場合はあるのでしょうか。

たとえば一人だけでの観光旅行であれば遊びが目的ですので、旅行ライターなど直接事業に関係しない限り、当然経費としては計上できません。

一方、たとえば「従業員全員で海外に慰安旅行に行った」場合には、「福利厚生費」として旅費と宿泊費を全額経費とすることが可能です。

このような社員旅行については、社会通念上妥当な内容であり、すべての従業員・役員に対し平等に実施されているのであれば、経費として認められるとされています。

おわりに

経費として認められる費用を漏れなく計上するだけで節税になります。さまざまな対策を講じる前に、計上が漏れている経費がないかチェックしましょう。

しかし、条件を満たさないのに経費として計上してしまうと税務調査で指摘されたり、ペナルティとして加算税など必要以上の税負担が発生してしまうことになります。

税務の専門家である税理士と相談しながら適切な計上をし、正しく節税や税務申告をしましょう。

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