真珠養殖に使用「アコヤガイ」 宮城県沖で初確認 温暖化影響か

真珠の養殖に使われるアコヤガイは、これまで千葉県沖が生息の北限とされてきましたが、ことし10月に宮城県沖で初めて確認されていたことが分かりました。専門家は、地球温暖化の影響ではないかと指摘しています。

アコヤガイは真珠の養殖に使われる二枚貝で、海水温が12度前後に下がると死滅してしまうことから、生息の北限は太平洋側では千葉県とされてきました。

しかし、10月に石巻市の漁業者が、沖合でアコヤガイとみられる貝を見つけ、連絡を受けた宮城県の水産技術総合センターが調べたところ、石巻市と気仙沼市で、同じ貝が合わせて26枚見つかったということです。

県が、日本真珠振興会の三重県にある研究室に依頼して分析した結果、DNAの配列から、これらの貝がアコヤガイだと確認されました。

見つかった貝の中に真珠の粒は確認できませんでしたが、越冬して1年以上生育したとみられるものもありました。

海水温の上昇で、宮城県沖では特産のホヤやカキなどの死滅が相次いでいて、県では真珠の養殖を始められないか調査を進めています。

日本真珠振興会ミキモト分室の竹内猛主席研究員は、宮城県での真珠養殖の可能性について、「全国的に真珠の養殖は難しくなっている。新しい生息域として宮城県でも見つかったことは、アコヤガイの遺伝的多様性を維持するうえで大事になる可能性がある。たまたま2、3年、海水温が高くなっただけなのか、今後、生息に適した環境になっていくのかが大事なポイントになる」と話していました。

漁業者 “水揚げ時、違う貝があるのに気づいた”

石巻市荻浜の沖合でカキの養殖を行っている江刺寿宏さんは、11月13日に養殖用のいかだにアコヤガイが付いているのを見つけたということです。

江刺さんは、将来的にアコヤガイの養殖ができないかを調査するため、6月に三重県にある養殖場を視察していたことから、すぐにアコヤガイだと気付きました。

江刺さんが最初に見つけたものは、手のひらに収まるサイズで、その後も複数回見つけ、中には、手のひらよりも大きいサイズもあったということです。

江刺さんは「カキの水揚げをしているときに、ひとつだけ違う貝があるのに気づき、よく見たらアコヤガイでした。近年の水温上昇で、養殖のカキが死滅して大きな影響を受けているので、もしかするとこのアコヤガイが、カキに代わる養殖になるのではないかと期待しています」と話していました。