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 表計算ソフトの「Microsoft Excel」上でプログラミング言語「Python」のコーディングができる新機能が登場した。米Microsoft(マイクロソフト)が2024年9月に正式提供を開始した「Python in Excel」だ。これにより、Pythonのライブラリーを用いた数値計算や統計分析、データの可視化などがExcel上で可能になった。

 Python in Excelは、「Microsoft 365 Business」と「Microsoft 365 Enterprise」のユーザーが利用できる。現時点ではWindows版Excelのみの機能で、Mac版やiPhone/iPad版、Android版、Web版のExcelでは利用できない。なお、Pythonのコードはクラウドで実行されるため、インターネットへの接続が必要だ。

 同機能はPythonの開発環境「Anaconda」を利用しており、Anacondaに含まれるライブラリーを利用できる。数値計算に特化した「NumPy」、データを操作する「pandas」、データを可視化する「Matplotlib」や「seaborn」などだ。

セルにPythonコードを設定

 Excel上でPythonを利用すると、これまでは難しかったデータ分析が簡単にできるようになる。具体的に見ていこう。

 まずExcelを開いて任意のセルを選択する。次に「数式」タブを選択し、リボンから「Pythonの挿入」を選ぶ。すると、「PY」というExcelの関数が表示され、PY内にPythonのコードを記述できるようになる。セルに「=PY」と直接書き込んだ場合も同様の挙動になる。

 例えば、A1セルとB1セルの値を加算する場合、Pythonのコード内で「xl」という関数を使ってセルの値を参照し、変数に代入する。それぞれの変数を足すと、PY関数を設定したC1セルに加算結果が表示される。xlではセル単体だけでなく、「A1:B1」といったように範囲での指定も可能だ。

加算のコードと実行結果
加算のコードと実行結果
(出所:日経クロステック)
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