ホンダの中国市場での苦戦が続いている。2025年3月期第2四半期累計(2024年4~9月、2Q累計)の販売実績では前年比62.4%の38万1000台と大幅に数を減らした。第2四半期単独の集計では前年比57.1%と第1四半期からさらに数字が悪化した。前年比で増加した米国、日本市場との対比が鮮明だ。中国市場での販売減を受けて、2025年3月期通期での販売見通しは第1四半期での見通しから10万台下方修正した。
2024年11月6日の決算説明会に出席した同社取締役代表執行役副社長の青山真二氏は、中国市場を中心とした販売台数の減少について「想定以上に減少のスピードが速い」と苦戦を認めた。一方で、将来的な動向について「事業構造としてはマイナス方向の加速度は遅くなっている」と業績の悪化が緩やかになりつつある見通しを示した。
同氏は事業構造の改善の要因に固定費の削減を挙げる。広汽本田汽車(広汽ホンダ)と東風本田汽車(東風ホンダ)の2社の合計で149万台あった生産能力を2025年3月期中に96万台まで削減する。両社がそれぞれ12万台規模の新エネルギー車向け工場を稼働させる増加分を加味した生産能力は120万台である。青山氏はこの生産能力について、「(120万台でも)今の販売ペースに比べると多い。さらなる(生産能力の)削減を進めることを前提に社内、パートナー企業とも話を進めている」と明かした。また、希望退職の形で広汽ホンダ、東風ホンダ共に数千人規模の人員削減を進めるとした。
中国での販売の鍵となるのが電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)といった新エネルギー車(NEV)だ。青山氏は説明会でNEVについて「強い商品を今日時点では持っていない」と表現した。2024年末以降の投入を予定する新たなEVブランドの「燁(イエ)」シリーズで巻き返しを図る。