新型コロナウイルスの感染拡大が日本でもいよいよ深刻になってきた。多くの企業が可能な限り従業員の勤務形態をテレワークとするなど対策に大わらわだ。そうしたなかで、平時と何も変わらず粛々と業務を続けている愚かな職場がある。「極言暴論」の読者なら言わずとも分かるであろう。そう、我らが人月商売のIT職場である。
この問題に関しては、この極言暴論で1カ月前に一度記事にしている。ユーザー企業のIT部門がITベンダーの技術者に常駐を強要し続ける愚をばっさり斬ったのだが、それから1カ月、事態は急速に悪化している。さすがに多くのIT部門が悔い改めて、テレワークなどリモートでの業務を認めるようになっているだろうと思っていた。
だが、その実態はなかなか見えない。もちろん個々の話を聞くことはあるが、大概は先進的なIT部門の話だ。それがどれだけ普遍性があるかは分からない。ところが最近、その実態の一端が見える機会があった。発端は私がTwitterで何気なくつぶやいた「問いかけ」だった。
「システム開発の現場は今、新型コロナの影響でどうなっているのだろうか。ちょっと情報が入らないので分からないのだが、実際のところではどうなのだろうか。オンサイトで強行開発、遠隔/テレワークによる開発、それとも中断?」。ツイートしたのは2020年3月31日。いつオーバーシュート(爆発的な感染拡大)が起こってもおかしくない緊迫の日々が始まってから以降の話だ。
このツイートに対して何人かからコメントが返ってくるだろうとは思っていたが、予想以上に多くの人から情報が寄せられた。確認できただけでもリプライや引用リツイートの形で70人以上が答えてくれた。で、それらのコメントを読んでもうびっくりである。人月商売のIT職場の現状をよく知っている私ですら驚きの連続だった。何せ下請けITベンダーの技術者らも含めテレワークを実施しているとした人は11人しかいなかったのだ。
もちろん正式なアンケート調査と違い、その人数が実態を反映したものではない。だが、それにしても少ない。このほか13人からは「テレワークは導入されているものの……」といった回答があった。例えば「客のIT部門はいち早くテレワークに移行したのに、ITベンダーの技術者は客先常駐のまま」といったケースだ。「まるで戦場に置き去りにされたかのよう」とのコメントもあった。