失敗にこそさまざまな教訓・知見が潜んでいる。製品故障から工場の爆発まで、実際に起こったさまざまな事故・トラブルの原因を技術的な視点からひもとく。
事故は語る
目次
-
折りたたみ自転車が前後に破断、溶接されていなかったアルミ製フレーム
2023年4月、男性が折りたたみ自転車で走行中、フレームが破損し転倒するという事故が発生した。男性は歯が折れ、あごを5針縫うけがをした。自転車は折りたたむためのヒンジ部とフレームをつなぐ箇所で折損し、前後に破断していた。依頼を受けた国民生活センターが調査したところ、折損したアルミニウム(Al)合金…
-
JERA火力発電所の火災事故の全貌、空気搬送設備導入で再稼働なるか
2024年1月31日にJERAの武豊火力発電所(愛知県武豊町)で起きた、爆発を伴う火災事故。事故調査委員会は、ボイラーの前段にある一次貯蔵用設備「バンカー」付近において装置の摩擦が発生し、発電の燃料として使っていた木質ペレットに着火したことにより粉塵(じん)爆発が起きたと結論付けた。
-
事故12回の末に営業終了の富士急ド・ドドンパ、車両と乗客の頭部が共振か
ド・ドドンパで最初に事故が発生したのは2020年12月18日。2両目の客席最前列に座っていた乗客が、頚椎(けいつい)と胸椎圧迫骨折などの重傷を負った。その後も事故が相次ぎ、合計12件の事故報告があった。乗客12人が主に頚椎の骨折や捻挫など重軽傷を負った。
-
ブレーキ力低下を見逃した点検不備、東海道新幹線の保守用車脱線事故
JR東海は2024年8月5日、同年7月22日に生じた保守用車衝突脱線事故の原因について、保守用車のブレーキの点検整備方法に問題があり、ブレーキ力低下に気づかずに運用していたためと明らかにした。
-
パナ系電動自転車の電池パックが発煙・発火、水分侵入防止策が逆に湿気を保持
2024年4月、パナソニック サイクルテック(以下、パナサイクル)が電動アシスト自転車用電池パックのリコールを発表した。2020年5月に発生した焼損事故をはじめとする13件の発煙・発火事故が発端だ。電池セルが雨水などに触れないように防水処置を施していたが、逆にそれによって電池パック内部の水分が抜け…
-
非純正バッテリーは「低価格で高リスク」、相次ぐ火災事故受け経産省などが注意喚起
家電や電動アシスト自転車などに搭載するリチウムイオン電池(LIB)の非純正品を巡り、火災事故が多発している。非純正LIBは低価格で入手できる一方、電圧の安全設計が不十分といった品質上の問題がある製品があり、火災で建物を全焼させる被害も報告されている。
-
東北新幹線の地震脱線事故、なぜ停車後に1m超も逸脱したのか
2022年3月16日に発生した福島県沖を震源とする地震により、東北新幹線が停車直後のタイミングで脱線した。運輸安全委員会は2024年3月28日、同事故の調査報告書を公表。脱線・逸脱の原因として、「車体のローリングによって車輪が上昇して脱線。逸脱防止ガイドがレールを乗り越えるなどして逸脱した」との見…
-
空中でドアプラグが吹き飛んだボーイング機、ボルト4本付け忘れか
2024年1月5日、米アラスカ航空の「ボーイング737MAX-9」型機で離陸直後、機体左側のドアプラグが外れた。米国家運輸安全委員会による予備の事故調査報告書によると、工場の従業員がドアプラグを留めるボルト4本を取り付け忘れた可能性が高い。
-
人は間違えシステムは故障する、羽田衝突事故で専門家が語った安全の基本
2024年1月2日に羽田空港で起きた航空機衝突事故。現在、国の運輸安全委員会による事故調査が行われている。現時点で原因は明らかになっていないものの、航空業界で一般的とされる、人に依存した管制の在り方などが問題視されている。今回の航空機事故を例に、安全学が専門の明治大学名誉教授で鉄道総合技術研究所会…
-
「イプシロンS」燃焼試験の爆発、原因は溶融した点火器による固体ロケットの破損
「イプシロンS」ロケットの第2段「E-21」が地上燃焼試験時に爆発したのは、固体ロケットモーターを点火する点火器のイグブースターが溶融して、燃焼中のモーター内に入り込んだのが原因だった。
-
木質ペレット燃料が原因でまた火災事故、JERAは火力発電所を緊急点検
武豊火力発電所(愛知県武豊町)の5号機で、2024年1月31日に発生した爆発火災事故。運営するJERAは、火元は燃料を貯蔵する「バンカー」と呼ばれる設備付近と見られると明らかにした。爆発により、燃料を燃やすボイラーの建屋壁面が損壊。バンカーからボイラーへと続くベルトコンベヤーが火災で焼けた。
-
羽田空港衝突事故で対策検討委員会、システム強化とヒューマンエラー防止が論点
2024年1月2日に羽田空港で起きた、日本航空機と海上保安庁の航空機が滑走路上で衝突し炎上した事故。国土交通省は有識者による「羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会」を立ち上げた。2024年1月19日に初会合を開き、再発防止に向けた安全対策などの議論が始まった。今夏、中間報告をまとめる方針。
-
デンカ青海工場の爆発死亡事故、背景に「設備は安全」の思い込み
2023年6月14日にデンカ青海工場のクロロプレンモノマー製造設備の配管が破裂し、3人が死傷した事故の原因が明らかになった。原因は、配管内に堆積したスケール。クロロプレンモノマーが化学反応を起こし、TNT爆薬に匹敵する発熱量の爆発物質に変化していたのだ。
-
米子バイオマス発電所の事故、木質燃料の粉塵が連続的に爆発か
中部電力などが出資する米子バイオマス発電所(鳥取県米子市)で2023年9月9日、爆発を伴う火災事故が発生した。木質燃料を受け入れる建屋の壁が吹き飛び、貯留タンクに木質燃料を運ぶためのバケットエレベーターも損傷した。爆発の詳細原因は調査中だが、木質ペレットが要因となった粉塵爆発が起きた可能性がある。
-
「イプシロンS」爆発事故、原因は輸送中の接触か部品の溶融・破損か
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2023年7月14日に能代ロケット実験場(秋田県能代市)で発生した「イプシロンS」ロケットの第2段固体モーター爆発事故の原因を以下の2つのシナリオに絞り込んだ。
-
米海兵隊のオスプレイ墜落事故、クラッチの不具合判明も根本原因は不明
米海兵隊は2023年7月21日、2022年6月に米カリフォルニア州で発生した米軍輸送機「MV22オスプレイ」の墜落事故に関する調査報告書を公表。事故の原因はオスプレイのプロペラとエンジンをつなぐクラッチの不具合によるものだと断定した。
-
レール部材の疲労折損で脱線した伊予鉄、事故後の調査でも4分の1に亀裂
2022年2月7日、伊予鉄道(愛媛県松山市)横河原線の見奈良駅(同県東温市)構内において、プラットホームに進入しようとした3両編成の上り列車の運転士が、前方のレールの分岐部に異常があるのに気付いた。ブレーキをかけたものの、1両目の前台車の全2軸が本来進むべき上り線ではなく下り線に進入して脱線した。
-
イプシロンS燃焼試験の爆発事故、無視できない検査のコストダウン
2023年7月14日に発生した「イプシロンS」ロケット第2段地上燃焼試験爆発事故について宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製モーターケースの一部が設計時の想定以上に高温になって強度が低下し、燃焼時の内部圧力に耐えきれなくなって爆発した可能性が高いと公表した。
-
異常燃焼などでモーターケースの強度が低下か、イプシロンS燃焼試験の爆発事故
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2023年7月14日に能代ロケット実験場(秋田県能代市)で発生した「イプシロンS」ロケットの第2段モーター「E-21」燃焼試験の爆発事故の原因を、「推進剤燃焼異常」「インシュレーション断熱不良」の2つに絞り込んだ。
-
燃焼試験中に爆発、イプシロンSロケット第2段
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発中の「イプシロンS」ロケットの第2段モーターが、能代ロケット実験場(秋田県能代市)での地上燃焼試験中に爆発した。同試験は117秒間の燃焼予定で、午前9時に点火。しかし、点火から約57秒後にモーターが爆発して全損した。試験施設も激しく損傷したもようだ。