富士通のメインフレーム撤退が波紋を広げている。同社はメインフレーム「GS21シリーズ」の製造・販売を2030年度に終了、既存ユーザー向けの保守を2035年度に終えると発表した。2022年9月には「モダナイゼーションナレッジセンター」を新設。センター長に就いた枦山直和氏は「メインフレームからの移行はリアーキテクチャーとなるが、ミッションクリティカルシステムのモダナイズ実績から得たナレッジを横展開する」と話す。
既に富士通製メインフレームからオープン系サーバーへの切り替えを表明しているのが、横浜銀行など地方銀行5行が参加するシステム共同化陣営「MEJAR」だ。2022年11月には、広島銀行が日本IBM陣営を離れMEJARに参画すると発表した。
MEJARの勘定系システムはNTTデータが開発した。現在は富士通のメインフレームで稼働しているが、2024年1月にオープン系サーバーへ切り替える。その成否の鍵を握るのが、NTTデータの「PITON」だ。NTTデータの木村尚雄第二金融事業本部企画部事業企画担当部長は「リホストを前提に、既存資産を有効活用しながら基幹系のオープン化を実現するフレームワーク」とPITONを説明する。
PITONはメインフレーム上のミドルウエアが提供しているトランザクションやジョブ、センターカットなどの制御機能を提供する。富士通の統合運用管理ツール「FUJITSU Software Systemwalker」を連携させ、「ジョブの正常終了や異常終了時の戻り値などを、富士通メインフレームと同等レベルで把握可能にする」(木村部長)。